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~テレアポからテレマーケティングへ~ スタッフの個性を重視したテレマーケティング室の確立

大阪府豊中市にある株式会社ヤシロさまは、大阪、北海道、沖縄に全部で11ヶ所ある霊園の企画・設計などのトータルプロデュースを始め、新規開発や墓地・墓石の販売・メンテナンスサービスなどを行われています。

本社企画部の統括するテレマーケティング室と呼ばれるコールセンターでは、多種多様なソフトウェアの中から、BIG顧客管理Pro CTIをご導入いただいております。

目的をテレフォンアポイントによる“新規見込み客の獲得”とはっきり限定されているため、数ある機能の中から発信、いわゆるアウトバウンド機能しか使わないという、とてもユニークな活用をされています。

導入のきっかけ

システム導入前、4名だったアポインターは電話帳を見ながら一件ずつダイヤルしていました。しかし、この方法ではどうしてもかけ間違いなどの人的ミスが生じます。応対内容はアバウトで、集計は手書きベースのものを使用していたため、正しいデータを蓄積し辛い(というより出来ない!)という問題点が浮上していました。

また、アポインターが無作為に電話をし「ちょうどお墓を探していたから」といったコアな情報が段々と減少していったことをうけ、通話件数を増やす目的でエリアを大幅に拡大し、アポインターの人員を倍以上に増やすといったあたりまえの改善策をとってしまったため、さらに混乱を極めました。

この情報飽和状態で目まぐるしく変化する競争の激しい市場から少しでも多くの見込み客を発掘するためには、根本的な改革が必要と考えました。 そして、人的労力の軽減、テレアポ実務の効率アップ、情報集計によるノウハウの構築などを目指し、本格的なシステム化に踏み切ったそうです。

効率化と人的労力の軽減

一生に何度も購入することのない「お墓」という商品の特性上、お客さまに安心感を与える丁寧な対応がきちんとこなせるといった高いスキルや人間性を求めるという事がこちらのテレマーケティング室での大前提条件となっており、ヤシロさまのアポインターの平均年齢は50代後半と、一般的なコールセンターよりもかなり上の年齢層で、人生経験豊富な方を意識的に採用されているそうです。

そのため、パソコンに不慣れであるという問題点を克服するために、操作自体はシンプルに、なるべくアポインターの手間をかけないようなしくみづくりをされています。テレマーケティング室のマネージャーである担当の長谷さんは、エリアマーケティングを行った上で、“霊園から一時間以内”の主要商圏をメインとし、データベースより「氏名」「電話番号」「住所」のみを選び、無作為に一日分の「架電データ(電話リスト)」をアポインター別に振り分けます。

アポインターは大体決まっている自分の席でログインし、“自分用”にカスタマイズされたメニューよりアイコンをクリックするだけでリストが抽出され、すぐに電話が出来るよう自動化されています。また、入力ミスを無くすため、入力必須項目はすべてマスタ化して選択するだけ、応対内容はその場で入力せず、BIG顧客管理Proの台帳設計で作成した「登録カード」に記入し、あとからスタッフが入力するようにしています。

このしくみでアポインターの手間を省くことにより“電話をかけて見込客情報を上げる”という本来の仕事に専念でき、かつ正確な集計ができるようになりました。

一日のデータはテキストにエクスポートし、独自の集計フォーマットで集計、単にアポイントを取るだけではなく、データを元に、エリア別時間別レスポンス率、見込みランク別のセグメント化、潜在需要の測定などといったマーケティングを徹底的にされているようです。
時には、DMの開封率を計るためのフォローコールをしたり、CRMの一環として顧客へのCS向上を図ったりと、単調になりがちな業務に変化を与え、アポインターの士気向上も試みます。

アポインターが発掘した見込客情報を元に、営業マンがクロージングするというスタイルで展開しているヤシロさまですが、「アポインターはどんどん電話をして正確な情報を上げる、営業が決める、とはっきり区別することにより、その道の“プロ”意識を芽生えさせることが出来ました。部門間の相互理解、協力もあって、独自のモデルが完成しつつあります。

ここまで来る道のりは決して平坦な道ではありませんでしたが、みんなで力を合わせれば何とかなるもんです。また、イリイさんを始め多くの関係者の皆さんの尽力のおかげと感謝しております。」と、長谷さんは語ります。

アポインターの個性を重視

ヤシロさまでは人材教育にかなり積極的です。長谷さんは、人材育成専門のコンサルタントに相談しながら試行錯誤した結果、ひとつの方法を見つけ出しました。

頭ごなしに叱ったり命令をするのではなく、システムに蓄積される発信ログを利用し「なぜこんなに通話時間がかかったのか」「通話数が少ないのはなぜか」と、アポインターと一緒に考え、アポインター自らに“気づき”を促しました。さらに、集計データを元に個別業績管理と分析を行い、客観的なデータから長所、短所をアドバイスすることにより、アポインターは会社の意図を受け止め、単なる“パートさん”から“プロフェッショナル”へと成長しました。

アポインターは全員関西の方ですが、北海道や沖縄などへも電話をしています。アプローチの際にはその土地の方言集やよくある名前、地名やアクセスなどのマニュアルを駆使し、対応されているそうです。
また、急なスクリプト(電話アプローチの脚本のようなもの)の変更にも30分程でトークの組立てを行うなど、まさにプロフェッショナルといった感じです。

ガチガチな教育ではなく、アポインターの個性を重視し、伸ばして活かす教育方針のせいかヤシロさんのアポインターは個性豊かな方が多く、そのパーソナリティだけでもすぐにアポイントが取れそうな雰囲気が伝わってきました。

今後の展望

システム導入により、コール数は年間を通じて2倍になり、市場が大きく増えた分、業績結果も順調のようです。今後はアウトバウンドだけでなく、インバウンド機能も活用し、将来的にはテレマーケティング室を、現在30,000以上いる顧客とのコミュニケーションを図れる「お客様センター」に発展させたいとのことでした。