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介護老人保健施設の受付でCTIを活用 ケアマネージャー、相談員、事務員で施設利用者の情報共有を目指す

仙台の中心部からほど近く環境の良いベッドタウン、泉区にあるユニットケア泉様は、施設長を医師にもつ介護老人保健施設です。

様々な高齢者向けのサービス、施設がありますが、特別養護老人ホームは長期利用、介護老人保健施設は中期利用と区別され、介護老人保健施設の最大の目的は、在宅復帰支援だそうです。
高齢者が入院生活から即在宅復帰することは難しいため、リハビリなどでその手助けをする中間的な施設として位置づけられています。

ユニットケア泉様の設立は平成16年、今年で5年目を迎えます。

もともと個人病院を経営していた理事長は高齢化社会へいち早く対応し、特別養護老人ホームを15年前に設立。その後も、デイケア施設、介護支援センターなど、様々な形で高齢者と接する中で、介護老人保健施設を設立したいという展望がありました。

通常、介護老人保健施設は大規模な病院が経営母体である事が多いのですが、ユニットケア泉様は少人数の医師にも関わらず、特別養護老人ホームやデイケアでの献身的なケアが認められ、介護老人保健施設の認可がおりました。

ご家族の方が面会に来やすい便利な泉区の商業地域に設立されたユニットケア泉様の評判は上々で、現在80名ほどが入居し、生活されています。

施設名にもなっている“ユニットケア”とは、小規模人数(10名程度)を1つのユニットとし、固有の介護単位(4~5名程度で職員を固定化)でケアするもの。これにより、家庭で生活しているような「なじみの関係」が可能となり、よりよい入所生活が出来るとのこと。全室個室でありながら、部屋から一歩出れば孤独を感じることなく、安心して大切な家族を任せることが出来ます。理学療法士や介護員、看護師など様々なスペシャリストが協力し合い、楽しく生活しながらの在宅復帰を支援されています。

システム導入の背景

ご利用者に適切な介護サービスを提供するために、個人に合わせたケアプランを立案するスペシャリスト、ケアマネージャーは、ご利用者の生活に深く関わっているため、個人の既往歴やアレルギーといった情報を熟知しており、家族などからお問い合わせがあってもすぐに対応できます。しかし、事務員や担当ユニット外の介護員では個人のバックグラウンドを完璧に把握できず、紙ベースで管理されたファイルから情報を探す手間を余儀なくされていました。

「ご家族の方からの電話によるお問い合わせは事務員が対応しています。最初に電話を受ける事務員がスムーズに応対出来る、事務所だけでなく、施設全体で情報を共有することが出来る、こういったことが実現すれば仕事の効率化につながり、便利だろうなという想いから顧客管理システムの導入を検討しました。」と、副施設長の石附 順子様は語ります。

そして、既に導入されていた日立製のIP-PBX、CX8000に対応したCTIシステムの導入を検討され、パッケージで安価に導入できるBIG顧客管理Pro CTIをご採用いただきました。

CTIシステムによる電話応対の向上

現在の入居者数は80名ですが、基本的に在宅復帰までの一次利用が目的のユニットケア泉様では、ご利用者データが随時追加されます。ご利用者のデータは、紙ベースのほかにケアプラン作成ソフトでも管理されていたため、氏名、住所、電話番号など、CTI機能を使う上で最低限必要な基本情報をケアプランシステムから取り出し、BIG顧客管理Pro CTIにインポートして運用が開始しました。

CTIは、主に電話受付と取次ぎ業務を行う事務所でご利用頂いています。
電話発信者の特定については「電話着信時に、ご利用者の家族の方、業者、データベースにない新規のお問い合わせの区別がつけられ、便利になったようです。」と、石附様。
CTI導入による“電話応対の向上”という課題はクリアしたようです。

電話の取次ぎは、これまで事務員が受け付け、メモで担当者に渡していました。今回、BIG顧客管理Pro導入に伴い、ご家族からの問い合わせ、入居の問い合わせといった内容を種類別に集計したい、という施設長のご要望で、いつ、誰宛にどのような問い合わせがあったのかをデータで残すようになりました。相談員など、実際に電話を受ける担当者は、自分宛の着信情報を検索し、通話終了後に“応対済”のチェックを入れるオペレーションに切り替え、データ活用と業務効率化の両立を狙います。

施設全体での情報共有を目指す

CTIシステム導入から数ヶ月、これまで紙ベースで管理していた既往歴、服用薬の種類、体質、アレルギー、家族構成、緊急連絡先、健康保険番号といった詳細情報は、データ整備の最中です。

「電話応対の向上のほかに、もうひとつ大きな目的である“情報共有”は、全てのデータが整ってから、と考えています。」と石附様。顧客情報共有に今後期待している効果として、次のように語ります。
「例えば、ケアマネージャーが利用しているシステムでは第一緊急連絡先までしか管理しておらず、その方に連絡がつかなかった場合は第二連絡先に連絡しなければなりません。現時点では、第二連絡先は紙ベースの台帳でしか管理されておらず、2階から1階の事務所に移動して、ファイルを探すという手間がかかっています。データが整備できれば、すぐに必要な情報を引き出すことができ、更に便利になると思います。」

また、日々行われる健康状態や食事に対するアレルギーや好みといった様々な注意事項も、ケアマネージャーだけでなく栄養士とも共有することで、より利用者サイドに立ったケアを実現し、かつ業務効率化にもつながる、とお考えのようです。

ひとつの施設内に、ケアマネージャー、栄養士、介護員、理学療法士、そして事務員と様々な職種のスタッフが勤務するユニットケア泉様のような業態では、それぞれが必要とするデータが異なります。そこで、“誰が見てもわかるデータの整備と情報共有”を目先の課題に掲げ、着々と準備は進んでいます。

副施設長 石附様

顧客情報が整い次第、次なるステップとして、データの活用とアウトプットについてご検討されています。

「ご利用者のご家族は、仕事をもたれている方がほとんど。ちょっとお伝えしたい情報があっても、電話でお仕事の邪魔をするのは気が引けますが、例えばメールだったら気軽に配信できるかも知れませんね。」と石附様。E-mailによる一括情報配信やはがきを使ったご挨拶、イベントのお知らせ、緊急連絡網など、データ活用のアイディアは膨らみます。

ケアマネージャー、ユニット担当の介護員だけでなく、スタッフ全員でご利用者を知ることで、ユニット=家族という形が成り立つ。情報共有の先に、理想の”家族“づくりを目指されているようです。