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本部電算センターとのデータ連携で業務効率化を実現

「食」の提供者である生産者(組合員)の経営安定を支え、私たち消費者に安全で安定した「食」を提供することを目的とするJA(農協)は、“生産者と消費者を結ぶ懸け橋機能の発揮”という経営理念が示すとおり、両者の橋渡し役としてのさまざまな事業を展開されています。

私たちの生活に直接関わるところでは、生産者から高く商品を買い取り、米穀や野菜など価格変動性の高い商品の仕入れと売り上げのバランスを見て適正な価格設定を行い、消費者に安全な食物を安く供給するという、極めて重要な役割を担われています。

JAの組織体系は、大きく4階層に分かれています。
一番下に組合員となる農業生産者、次に地域に点在するJA(農協)、地域の農協の取りまとめ役である全農(県単位)、そして、その全ての全農の本部(全国)です。

JA全農山形様は、山形、庄内両本部が統合し、平成20年に誕生しました。

システム導入のきっかけ

農業生産者とのつながりのほかにも、全農様の事業のひとつに“地域の名産を全国に通販で提供する”というものがあります。

全国的に認知度の高い通販サイト“JAタウン”は、全国の全農の名産品を取扱い、とりまとめたいわゆるモール型ショッピングサイトですが、それぞれの全農でも別でECサイトを運営し、消費者が直接買い物できるようになっています。

JA全農山形様の運営するショッピングサイト、“山形クラブ”の評判も上々で、山形名産のさくらんぼ、ラフランス、いも煮会セットなど、四季折々の名産品が直接購入できます。

園芸部 直販センター 調査役 森様

「平成19年から小売事業が始まった際、それまで関連会社で小売専用に使っていたシステムをそのまま利用することになりました。しかし、一年半ほど利用してみて、そのシステムの決済は郵便振込みのみで、お客様の利便性や業務の効率性を考えると決済手段に不足を感じました。また、それまで使っていた卸売り用のシステムとの並行運用となるため、システムが二分化してしまう不便といったさまざまな問題が生じ始めたのです。」と、園芸部 直販センター調査役、森氏は語ります。

前述したように、それまで別部門だった通販部門と卸売り部門が統合し、システムが二分化してしまうという問題点と、更に本部組織の統合による集中購買システム構築という新たな課題も加わり、新システム導入が余儀なくされました。

 

「そこで、システム会社に相談したところ、卸売り、通販が一本化できるシステム、BIG通販Proを紹介されました。また、本部の集中購買システムとの連携という特殊な業務フローは、カスタマイズという形でカバーできることがわかり、具体的に話は進んでいきました。」と、森氏は振り返ります。

システム概要

基本的に、債務管理、購買管理は全て全農県本部 電算センターで統括されています。電算センターでは、大規模な販売・購買システムを構築されており、各JA全農は、それぞれで構築したシステムから、電算センター指定の“販売起票システム”のフォーマットに則ったデータを送信します。

全農山形 園芸部様では、それまでの卸売り・通販システムの2システムをBIG通販Proに切り替え、受注情報を本部に送信し、入金情報は本部から受け取る、というカスタマイズを施し、“販売起票システム”との連携を実現されました。

「“販売起票システム”でのデータのやりとりには、仕入れから販売までの間に発生する、特殊な計算方法がありますが、何度も打ち合わせを重ね、実現することができました。」と、森氏。確かに、そのカスタマイズに伴う要件定義書類は通常のものに比べ、だいぶ複雑に見えました。

導入効果

通販部門では、電算センターからの入金確認が取れると、施設内にある直販センターよりお客様へ出荷されます。煩雑だった出荷指示も、ピッキングリストを利用することで以前に比べるとだいぶ軽減されたようです。

以前のシステムで郵便振り込みのみだった決済手段は、日通キャピタル e決済サービスとの連携により、各種クレジットカードやコンビニ決済にも対応、お客様の選択肢も増え、決済手段不足による顧客の離脱率軽減が期待されています。

さらにECサイトとの連携や電算センターからのデータ連携による入金消しこみ、Excelで管理していた請求書など、さまざまな場面での“手作業による業務”がなくなり、全体的な業務効率化が図られたようです。

今後の展望

導入から約半年、さくらんぼ出荷の繁忙期に重なった導入当初からすると、だいぶ業務も落ち着き、システムも順調に稼働しているようです。
システム稼働が落ち着きつつある今、次の課題としてwebサイトへの集客についてご検討されているようです。

また、販売管理システムに期待する機能として、数多くある卸先、仕入れ先や市場とのEOS(電子発注システム)についても挙げられています。本部システムとの連携が順調に稼働しているからこそ、次の課題を頂いたものと確信しています。

今後ますます組織の統合や集中管理が予測され、システムも進化していかなければなりません。JA全農様の経営理念の根底にある“食の安全”の提供をバックアップするための安定したシステムの構築が、当社に頂いた大きな課題です。