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異なる事業ドメインのデータを集約し、電話受付業務を効率化

季節の花を追いかけて、蜜蜂たちと共に南から北へと移動する養蜂家。

日本のほぼ中心に位置する岐阜県では、養蜂家たちが旅の中継点として集まったことから養蜂関連のビジネスが明治の中ごろより盛んに行われていたそうです。

そんな岐阜県で木材商として文化元年(1804年)に創業した秋田屋本店様。

秋田屋本店様も、養蜂という業種にビジネスチャンスを感じ、これまで商売として扱ってきた木材を使った養蜂器具の製造に着手。以来120年以上に渡り、養蜂に関するビジネスを続けられています。昭和38年、日本国内で初めて生ローヤルゼリーの医薬品としての製造承認、医薬品としての製造承認、医薬品製造業の許可を取得。

そして、医薬品製造部を独立、日本養蜂株式会社を設立しました。

また、移動の多い養蜂家たちが、全国どこからでも秋田屋本店の養蜂器具や消耗品を取り寄せられるよう、毎年「秋田屋商報」というカタログを発行、1915年頃から通信販売による商品の提供を続けられています。

通信販売という販売方法についても、かなり早い段階からの参入ということになります。

プライベートブランド AKIPUREの立ち上げ

これまでもはちみつや健康食品などの自社製品を販売されてきた同社でしたが、大手食品会社などへのOEM提供がメインだったそうです。そこで、自社ブランドを確立し、より手軽に全国のお客様にご利用いただきたいとの意向から、インターネットでの通信販売を企画。長年の養蜂で培ったノウハウを生かし、新たにはちみつを使った化粧品や健康食品を独自に開発、AKIPUREというブランドによるインターネット通販が2009年より始まります。

このような様々な挑戦を経て、現在では製薬・食品メーカーへの原料卸、全国の養蜂業者への養蜂器具の販売、はちみつを使った健康食品の開発・販売と、秋田屋本店を支える3つの大きな事業が確立されたのです。

“小売”にフォーカスするにあたっての課題と解決

「当社は、企業、個人養蜂家、そして一般消費者と3つの異なるお客様のカテゴリがあります。特に、BtoCと呼ばれる対個人のお客様は人数も多いですし、ご注文に際し、“前回と同じものを”といったあいまいな注文も少なくありません。
これまでは、電話で注文を受けると莫大なファイルの中から過去の注文情報を探し出してご注文を受けていたんです。これは、とても非効率に思いました。」と、常務取締役 北野様。

更に、卸売り先(製薬・食品メーカー)の最終納品先である販売店から直接お問い合わせを頂くことも多く、一次納品先である製薬・食品メーカーの過去の納品情報だけでは的確な応対が出来ないこともネックとなっていました。

そこで、オフコンの販売管理システムとは別に、電話着信時に過去の注文履歴やお問い合わせの履歴がすぐに把握出来るCTIシステムの導入で解決できるのでは考え、基幹システム導入をサポートしたSI会社であるMBSに相談。

そして、電話受付業務の効率化を目的としてSI会社より紹介されたBIG顧客管理Pro CTIをご導入いただきました。

オフコンとの併用で全体的な効率化を図る

同社では、卸売り、小売とも、販売管理についてはオフコンシステムを利用しています。
つまり、基幹システムである販売管理、ECサイト、CTIシステムとお客様のデータベースを3つ持つことになります。

データベースが散在していることに不便を感じないか?との問いには、「BIG顧客管理Pro CTIは、データを集約し、電話受付業務をサポートするためのものと割り切っているため、特に不便を感じたことはないです。」と語ります。

北野様の思い描いた通り、BIG顧客管理Pro CTIのデータベースには、販売管理とECサイトの注文データを定期的にインポートした購入履歴に加え、どのようなお問い合わせがあったのか、といった応対履歴を集約。電話応対時のポータル的な役割として位置づけられているようです。

顧客データは事業ドメインごとに分けず、全てを同一データベースとして運用。予め顧客情報をカテゴリー分けしているため、電話着信時にどの事業ドメインの、お客様かがわかるようになっています。部門の垣根を越えて、誰でも電話受付の出来るしくみになっているのです。

CTI導入効果

BIG顧客管理Pro CTIは、本社の卸売部門と、この3月に養蜂部門とAKIPURE部門が独立して構えた城南事業所の両方でご利用頂いています。

「養蜂部門とAKIPURE部門では、特に養蜂が盛んとなる春には、事務所にいるスタッフ全員で電話応対に追われていました。現在、誰でも電話に出られるように体制は整えていますが、一通話あたりの時間を短縮できたので、現在は3名のスタッフで十分ですね。」と北野様。

受注担当である山下様は、「個人養蜂家が外出先からが携帯電話でかけてくる“前回と同じものを”という注文の電話でも、オフコンからインポートした購入履歴が既にモニタに表示されているわけですから、大変スムースに対応できるようになりました。

当社の養蜂器具には似たような商品が多数あり、お客様がどの商品を使っているのか、その商品に付随する消耗品は何なのか、特定するのが難しいんです。お客様は、外出先ではご自身がどの品番のどういった商品を使っているのかわからずに電話してきますから、とても便利ですね。

また、お問い合わせの内容やコメントなどをメモとして応対履歴に残しておけますので、次に電話があったときに助かります。」と語ります。

また、CTI導入以前の、”通話中に過去の受注伝票をファイルから探し出す”という苦労を知らない今年入社の新人スタッフも、「CTIシステムのない電話受付なんて、考えられません。名前の聞き取りにくいお客様でもパソコンに表示されますので、心強いです。」と話します。お客様の会社名や個人名を覚えることに必死な新入社員にも、心強いツールになっているようです。

他にも、CTI導入以前にネックとなっていた 本社 卸部門の卸売り先(製薬・食品メーカー)の販売店から直接同社に寄せられる問い合わせに関しても、BIG顧客管理Pro CTIで解消。販売店を“最終納品先”として顧客マスタに登録することにより、どのルートでどういった商品が納品されているのか、把握できるようになりました。

データベースが複数存在するのは、業務効率を低下させるのではと懸念しましたが、電話受付には必ずCTIシステムを利用するというルールを徹底したからこそ得た効果だといえます。

AKIPUREブランドの発展に期待

これまでも様々なビジネスに挑戦してきた秋田屋本店様ですが、今年立ち上げたばかりのAKIPUREブランドのEC展開は、ネット上での一般消費者が相手という新しいビジネスフィールドとなります。

ネット通販は相手の顔が見えない分、お客様とのone to oneマーケティングが特に重要視されています。今後は電話受付業務だけでなく、顧客分析やDM発行などの販売促進にもBIG顧客管理Pro CTIを利用していきたいとの展望をお話頂きました。

システムの運用は、現在のところ3つのシステムの特性を生かし、順調に稼動されています。今後も、それぞれのシステムの足りない部分を補い合い、シナジー効果を発揮して、更なるone to oneマーケティングを追求していただきたいと願っています。