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ランドセルのオーダーメイド注文にCTIシステムを活用

小学校入学時の思い出として、誰もがイメージ出来る“真新しいランドセル”。

最近は、百貨店やスーパーのランドセル売り場には実にカラフルで個性的なランドセルが並んでいます。

大手スーパー製のランドセルは、多彩なカラーバリエーションと買いやすい価格設定で、小学校生活6年の間に買い替えを狙う戦略のようです。

一方で、子供の生活スタイルに合わせて約300もの工程を経てひとつひとつ丁寧に作られる株式会社羅羅屋様の“ララちゃんランドセル”は、品質と安全性、アフターサービスに定評があり、飽和状態のランドセル市場の中でも不動の人気を誇っています。

ララちゃんランドセルのカタログの末尾は、“ランドセルを通じて、子どもたちが『モノを大切にする気持ち』を育めるように”と結ばれています。

販売ルートの確保と拡大

ランドセルを作り続けて35年。発売した当初はまだ知名度も低く、最初から大型百貨店やデパートでの大量販売には困難を強いられました。さらに、現在のように通信販売というスタイルも確立されていなかったため、当時のランドセル販売の定番とされていた、幼稚園まわりを地道に行ってきたそうです。

常務取締役 北 良義明様

「競合他社も行っていたことですが、最初は本当に地道な営業活動でした。数名で近隣の幼稚園をまわり、情報を交換する中で、父兄の参加する行事である運動会やお遊戯会に商品を展示する、という販売スタイルを知りました。

そこで実際にランドセルを持ち込み、父兄の方に実際に触っていただいたり、園児に背負わせたりして、品質の良さとお手頃な価格であることをアピールし続けました。

幼稚園での販売ですから、見た目以前に品質と安全性、購入後のアフターサービスといった信頼性が特に重要視されていました。ララちゃんランドセルは園長からの推薦状や父兄同士のクチコミといううしろ盾もあり、10年くらいかけて徐々に販売ルートを拡大していきました。」

このように常務取締役 北様は当時を振り返ります。

そういった地道な営業活動が実り、創業から10年間で首都圏エリアにララちゃんランドセルのブランドイメージが定着していったのです。

そして、次に羅羅屋様が狙ったのが全国展開です。

この時も、同社は“量販”にこだわらず、まずは幼稚園に狙いを定めます。
とはいえ、東京に本社がある同社は、全国の幼稚園へのアプローチの方法として、幼稚園とのつながりの強い教材卸業者をパートナーととらえ、いわゆる代理店販売というスタイルを確立しました。

そして、パートナーによるカタログ配布や展示会への積極的な参加で、ララちゃんランドセルというブランドを全国区にするという目標を実現していきます。ちょうどそのころはじめたテレビコマーシャルのイメージも相乗効果となり、飛躍的に販売数が増えていきました。

顧客管理の重要性

販売数が急増しても、お客様へのサービスの提供は創業時から変わることなく継続されている同社。

ララちゃんランドセルは、百貨店等で購入しても卒業するまでの6年間の保証サービスが付帯されるそうです。購入後にお客様登録することで、メンテナンスサービスを受けることができます。

システム導入前は簡易的な顧客管理のみで、修理が必要となったお客様から電話を頂いても、どのような商品を使っているのかを把握するのに時間を要し、すぐに対応することができない状態だったそうです。

「全国展開も成功し、創業から15年くらいは幼稚園での直販と代理店販売で十分やってこれました。しかし、若い世代が父兄となり、インターネットなど販売チャネルの多様化も重なり、2000年を機にお客様の好みも販売ルートもずいぶん様変わりしました。そんな時代だからこそ、それまで以上にお客様とのつながりを強化しなければいけないと感じたのです。

例えば電話応対です。当社の商品を購入頂き、ハガキも返信して頂いているのに、修理や問合せの電話をしたときに、名前を名乗り、どんな商品をいつ購入したのか全て説明しなければならないとしたら、メーカーとしては不合格です。
せっかくご提供頂いたお客様の情報をしっかり管理しなければいけないと、強く思いました。」 と北様は語ります。

さらにその頃、オーダーメイドランドセルの展開も始まり、個人情報に加えてオーダーの詳細な情報や履歴管理が課題として挙がります。

そして、顧客情報の管理と蓄積を目的に顧客管理システムの導入を検討。当時すでに導入されていた給与計算システムが当社の製品だったことから、BIG顧客管理ProとCTIシステムを候補として取り上げて頂いたのです。

当時から多くの顧客数を抱えていた同社にとって、データ登録件数が数10万件まで対応可能、という点が強く印象に残っているそうです。

CTIシステムの導入で通販会社として自信を持つ

お客様情報の管理が必要だということはわかっていても、顧客管理システムは費用対効果が見えづらい部分もあり、導入には多少の抵抗があったそうです。

しかし、社内から強い要請の声が上がり、BIG顧客管理Pro CTIの導入に踏み切られました。システム導入後の印象について、北様は次のように語ります。

「お客様から電話を頂くと、すでにお客様情報が画面に表示されている訳ですから、導入当初は画期的なシステムというイメージでした。ご注文や問合せのほとんどが電話だったこともあり、2年目以降は電話応対業務にCTIは無くてはならない存在となりました。通販というスタイルはずっと行ってきたことですが、いまひとつ胸を張って“うちは通販会社だ”といえない部分があったんです。CTI導入でお客様へのサービスを充実させることにより、はじめて自信を持って通販会社だと感じられるようになったことを記憶しています。」

きめ細やかな顧客情報管理の徹底

BIG顧客管理Proでは一台帳につき最大99項目を5つのタブに分けて管理できますが、羅羅屋様では、実にきめ細かな顧客情報管理されており、その5つのタブをフルに活用されています。

さまざまな情報を管理されている中、特に感心させられたのが見込み客管理です。

オーダーメイドの場合は特に、形や色をはじめ、縫い糸の色や刺繍の模様まで何パターンもの選択肢があり、ご注文前に相談やお問合せの電話が頻繁に寄せられるそうです。

お問合せ内容や資料請求内容、革見本を送付したといった細かな情報を登録しておくことで、スタッフ間での情報共有ができ、次にお問合せを頂いた場合に誰でも的確な応対が出来ているといいます。顧客サービスの充実を掲げる企業は多々ありますが、お問合せを頂いた時点からこれほど丁寧な対応を実現するということは、なかなか出来ることではありません。

もちろん、見込み客だけでなく、既存のお客様サービスも充実しています。

羅羅屋様には、小学校を卒業して使わなくなったランドセルをリメイクして作る、『思い出ミニチュアランドセル』という商品があります。

お子様の年齢を管理し、購入年から6年後にBIG顧客管理Proからデータを抽出して、卒業のお祝いのハガキを送ります。同時に『思い出ミニチュアランドセル』のご案内もされています。手のひらサイズのかわいらしいランドセルは、卒業後の思い出として、人気商品となっているそうです。

他にも、販売管理システムと顧客管理システムの相互で顧客情報と注文・出荷情報をやりとりして、データの二重入力を省くといった業務改善も実現されました。

更なる業務改善と顧客サービスの提供をめざして

顧客管理システムの導入から約10年。

導入前の課題だった顧客サービスの提供については、コツコツと蓄積されたデータをうまく活用され、ほぼ目標どおりに進んできたようです。

次のステップとして、更なる業務改善に取り組まれている最中です。
オーダーメイドの8割を占めるFAXによる受注業務の効率化を図り、OCR(Optical Character Reader:光学式文字読取装置)システムの導入準備を進められています。
手書きのFAXを文字化し、データ入力作業を省略することで、かなりの効率アップが期待されます。

今後、弊社のシステムに期待することとして、ECサイトからの注文情報、販売管理システムとのよりシームレスでタイムリーなデータ連携を挙げられています。

羅羅屋様は、知名度の高さから大勢のスタッフでいくつもの業務を分担しているものだと思い込んでいましたが、CTIシステムを使って実際に電話応対やオーダー注文などを受け付けるスタッフは数名だそうです。

しかも、専任ではなくほかの業務と兼務されているとのことで、さらに驚きです。

このような少数精鋭のスタッフの方々には、業務改善により空いた時間を、商品力アップや顧客サービスに充てて頂かなくてはなりません。

当社としても、羅羅屋様の挙げられている要望であるシステム間のシームレス連携をはじめとした、システムのブラッシュアップとサポートの必要性を感じました。