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通販業への本格参入に備えてBIG通販ProからSimplexへ入れ替え

スーパーなどで広く流通され、認知度の高いうどんや冷やし中華などを手がける麺類総合メーカー、株式会社 岩崎食品工業から2004年に独立。通販用に立ち上げた新ブランドを全国展開している。スーパーでは買えないこだわりのうどんなどの商品は、個人消費や贈答用として人気を博している。

製造元である岩崎食品工業から独立して通販事業を専門に手がけることとなり、BIG通販Proを3年前に導入。

折り込みチラシによる地元の方々への告知が功を奏し、じわじわと全国へその味が広がります。その後、BIG通販Proによる受注業務ではとても追いつかなくなる事態に。

通販業界への参入

翁の郷様が製造元である岩崎食品工業様から独立した背景は?

- 10年くらい前より、新聞折込チラシを配布し、近隣の住民向けに工場直販というスタイルで製造元である岩崎食品工業から商品を提供していたんです。

おいしかったので送って欲しいというお客様からの電話注文もあり、本来卸売りオンリーだった岩崎食品工業の一部門で、兼務して直販業務も行っていました。

それでも業務が出来ないことはなかったのですが、力を入れているわけではないので、直販事業は伸び悩んでいたんです。

今の時代、お客様と直接関わることのできる直販事業が伸びないと、この会社の未来はない。そう考え、卸売100%の製造元から独立して直販専門の事業を立ち上げることになりました。(常務取締役 神田様)

やはり、直販部門の独立には通販ブームが追い風となったのでしょうか?

-もちろん、インターネットの普及や通販ブームの影響もありましたが、暗にそのブームに乗ろうという考えはありませんでした。

当時はインターネットでの通販がはやりだしたころですから、有名ショッピングモールから出店の打診は多く寄せられました。

しかし、ショッピングモールに出店しても、結局はそのショッピングモールに商品を卸すというイメージで、お客様もモールに数多く存在する商品のひとつを購入するにすぎません。必ずしも、当社の商品だからと購入してくださるわけではないわけですよね。

要するに、スーパーマーケットがネット上のショッピングモールに変わるだけ。それは我々の目指す通販の形とは違っていたんです。

そこで、お客様を自分達の力で探し出し、自社のみで展開しようと考えました。

では、新規顧客獲得はどのように行われたのでしょう。

-工場に隣接した店舗に買いに来てくださるお客様を対象に、ポイントサービスを提供し、POSレジに顧客情報を登録していきました。それが、顧客管理の始まりです。

その後、POSレジから抽出した顧客データを元にDMを出したり、新聞折込チラシを埼玉県内、3エリアに配布したりしました。

新聞折込チラシは、はじめは3万世帯、次は7万世帯、10万世帯とどんどん増やしていきました。埼玉はうどんが有名ですし、乾麺は日持ちもするので贈答品としても重宝され、近隣だけでなく贈られた方からの注文も入るようになりました。

当社の場合、自分たちの目の届く範囲で、一からコツコツ新規のお客様を増やしていった、という感じです。

通販事業の展開に備えてシステムを整備

通販事業の本格的な展開に備えて事前に行ったことはどのようなことですか?

-通販事業を本格的にやっていこうというのが目的の独立でしたので、いざ顧客数が増えたときに耐えうるシステムを導入し、体制を整えることから始めました。

通販の原則は、遠方のお客様が電話で商品を買ってくれる、ということですよね。以前から電話での注文はありましたが、受注内容、宅配便の送り状、入金の有無などを全て手書きで管理していたんです。

これでは、お客様に住所やお名前など、何度も同じことをお聞きしなければいけないし、「前回と同じものをちょうだい」というお客様の要望にお答えするのに時間がかかります。さらに、過去の注文データを生かして次の受注につなげるというこが出来ないわけです。POSレジで顧客管理をしてはいましたが、あくまでも店舗に買い物に来てくれる方の情報しか管理出来ていませんでしたし、すぐにデータがいっぱいになってしまったんです。

そこで、POSレジのデータを生かしつつ、販売管理も出来るシステムを探したのですが、POSレジと販売管理をうまく連動できるシステムがなかなか見つかりませんでした。

POSレジによる顧客管理から、BIG通販Proに切り替えられたポイントはどのようなことでしたか?

-色々なところに相談したところ、POSレジと販売管理の連携は不可能ではないが、かなりのコストを要するという意見がほとんどでした。

何かを妥協しないといけないのなら、まずは通販業務の改善ということを優先して再度検討しました。
そして、販売店よりBIG通販Proをご紹介頂いてBIG通販Proを導入しました。

BIG通販Proは2年半ご利用頂きましたが、Simplexへの切り替えを検討されたのはなぜですか?

-きっかけはあるキャンペーンでした。そのキャンペーンで、一気に顧客数が増え、業務が追いつかなくなったんです。

どのようなキャンペーンだったのでしょう?

- 当社の商品を贈答で送られたお客様は、おいしかったのでまた送って欲しいと後日電話で注文頂くケースもあれば、スーパーマーケットなどを探されることもあるようなんです。ところが、当社の乾麺は、お店には卸していないオリジナル商品なので、お店では見つからない。それであきらめてしまうお客様も少なくないということを聞いたことがありました。

ああ、やっぱりおいしいんだと(笑)。もともと当社の商品はおいしいという自負もあったので、それじゃあ翁の郷を知らない多くのお客様に、まずは食べていただこうということで、08年6月に、色々な商品を選んで買える、お得な“お試しセット”のキャンペーンを実施しました。

キャンペーンの成果は?

-そのキャンペーンだけで、4000件ほどの注文がありました。
これまでにないくらい広範囲に新聞折込を配布し、広告費も結構な額となりました。
しかし、結果的には顧客数も増えたし、リピートにもつながっていますので、費用対効果は十分得られたと考えています。

具体的に、BIG通販Proのどの部分に不足を感じられたのでしょう。

-とにかく、1日中電話が鳴りっぱなし、FAXもはがきも、どんどん送られてくる。
はがきだけでも1200通くらい送られてくるんです。昼間は受注の電話などにかかりっきりになってしまうので、はがき分の注文入力を業務終了後にまとめて受注処理を行いました。

当時、BIG通販ProはP2P(サーバーを立てず、2台のクライアントのうち一方のクライアントでデータを共有)でしたから、2台ではとても受注処理が追いつかなくなってしまったんです。

また、当時のBIG通販Proには物流システムとの連携がなく、カスタマイズで対応していたのですが、少々不足も感じていたのです。

まずは、きちんとサーバーを立てて、クライアントを追加しようという時に、Simplexを紹介されました。

BIG通販ProからSimplexへの入れ替え

BIG通販Proのクライアント追加ではなく、Simplexへの入れ替えをされたのはなぜですか?

- イリイの営業担当者から、BIG通販ProではなくSimplexを提案されたからです。

担当営業から、顧客数と売上規模によるBIG通販ProとSimplexの導入目安の表を見せられたのですが、BIG通販Proでは少し物足りず、Simplexとのちょうど境くらいに当社が該当していたんです。

まさに当社は、その表のSimplexエリアに入っていこうという状況でした。

今後、通販事業を伸ばしていきたいという当社の思いを感じられたからこそ、BIG通販Proのクライアント追加で十分と考えたのではなく、Simplexという上位モデルで提案されたのではないでしょうか。

通販事業に本気で取り組むには、キャンペーンなどの効果測定やデータ分析が不可欠となりますから、Simplexを使った戦略立てが必要だという判断でしょうね。

最終的に、今後のSimplexのバージョンアップやオプション追加といったビジョンに魅力を感じ、BIG通販Proでのクライアント追加ではなくSimplexへの入れ替えという結論に至りました。

BIG通販ProからSimplexに入れ替えはスムースにいきましたか?

-データの移行はスムースに出来ましたが、実際に受注処理をするオペレータは大変だったのではないでしょうか。(常務取締役 神田様)

-2週間後にキャンペーンを行うというタイミングでシステムを入れ替えましたので、とにかくSimplexの操作を覚えるのに必死でした。

この期間に覚えざるを得ない、とうプレッシャーの中でのことです。

画面ごとに”なぜそうするのか”をひとつずつ理解しようと考えていると、横からインストラクターの方に「今は何も考えなくていいですから、とにかく覚えてください」と言われ、 操作手順をリズムで覚えました(笑)。

そのときは何でちゃんと教えてくれないんだろう・・・と思ったりしましたが、今考えてみると、この調子だと絶対にキャンペーンに間に合わないと考えた、インストラクターの方の苦肉の策だったんでしょう。

もちろん余裕が出てからきちんと教わりましたから、4ヶ月経った現在は、こういうことだったのかと全て理解しながらやっています。

BIG通販ProからSimplexに入れ替えて便利になったと思う業務は何ですか?

-一番楽になった業務は宅配便の送り状作成や、荷物の追跡など宅配会社との連携業務です。

当社の商品は贈答利用が多いので、お客様から「贈答先にもう届いているか」というお問合せが多いのですが、受注伝票に紐付けされた送り状番号からすぐに追跡が出来るので、非常に便利になりました。

Simplexを導入した上で、一番の時間短縮になった業務です。お問合せにもすぐに回答できるので、クレームも減ったのではないでしょうか。

他には、DM作成用のデータ作成もBIG通販Proに比べて自由度が増したと思います。
(営業部 長島様)

-Simplex導入時から新たにはじめたことは、お客様ごとに対応履歴を詳細に残す作業です。

Simplexでは、他のオペレータが感じた注意事項を、次回該当の顧客情報を参照したときにポップアップで知らせるメモ機能があり、注意喚起に便利な機能だと思います。

しかし、店舗ではSimplexの画面をお客様と一緒に見ながら贈答先の確認なども行っているので、注意メモをお客様に見せてしまうことになります。ネガティブな内容は、メモではなく応対履歴に残すといった工夫をしないと、と感じています。 (オペレータ 岩崎様)

-自由度が格段にアップしたデータエクスポート機能も便利になりました。最近では受注業務に余裕が出来たので、色々な条件を立ててCSVにエクスポートして、どのように活用しようか日々考えています。
(オペレータ 佐藤様)

今後の展望

今後使ってみたい機能などはありますか?

-そろそろデータもたまってきた頃ですので、分析機能を使ってみようと思っています。特に、顧客別の購入分析をまず実施し、今後の戦略に生かせれば、と考えています。

他には、ずっと課題として残っているPOSレジとの連携についても、再度検討するつもりです。

 

とても和気藹々とした雰囲気の翁の郷様。
同社が特に力を入れているという、うどんはもちろんのこと、ラーメンもこだわりを感じられる本格的な味でした。

今後の翁の郷ブランドの発展を楽しみにしています。ありがとうございました。