第16回 和室の常識を覆してみる

6月は雨の日が多くなるので、外仕事は一旦お休みにして家の中のDIYに励むのが毎年恒例になっています。

今の家を買って、リフォームを始めて8年目に入りました。
BBQエリアやプール作りといった楽しいものから、台風で壊れた外壁の修理などの必要に迫られたものまで次から次へと仕事があります。
最近の悩みは雨漏りで、原因と思われる隙間をどんなに強力に塞いでも水が入ってきて、3カ月くらい天井裏で格闘しています。理想の家への道のりはまだまだ長いです。

修復ではない工事で取り組んでいるのは和室です。傷みがひどくずっとアトリエ替わりに使っていましたが、外工事も一区切りついたのでスタートしました。

我が家の間取りは1階に和室とLDK、2階に4つ部屋があります。和室を客間として使う家が多いようですが、私がとても早起きなので、朝ゆっくりしてもらうためにゲストは2階のベットルームに泊まります。

1階にある和室って微妙な存在です。だいたいどの家も来客時以外全く使わないか、物置化してるかどちらかです。存在感が薄い和室をどうやったら有効利用できるか?と頭をひねって考えました。

出した答えは、LDKとの壁をぶち抜いてつなげるという簡単なものでした。
ただ、LDKの面積を広げて和室を無くすリフォームではなく、空間はつなげるけど和室らしさは残したいと考えました。

いきなり壁をぶち抜くと、生活に支障が出て家族からクレームが殺到するので和室側からスタート。

まず押し入れを改造しました。押し入れは便利なようで使いにくい収納です。整理整頓が苦手なうちの奧さんなんて、天袋に収納したら最後、存在すら忘れてしまうし、物を探すことにかなりの時間を無駄にしています。そこで沢山の段を作り、見やすく取り出しやすい収納を作りました。

収納ほどDIYに向いているものはありません。
それぞれの家によって必要な収納は違います。押し入れにカラーボックスや突っ張り棒で間に合わせの収納をするより、中のものを全て出して、サイズをよーく考えて棚を作る方が空間の無駄もありません。

押し入れには襖と決まっていますが、私は障子を選びました。近所の民家が取り壊される時に格子が美しい枠を6枚もらって大事にとっておいたのです。木材や棚板はこれまでの工事で残った半端モノを活用したので、今回は超低予算です。

障子は1枚を実験的に枠を赤く塗ったり、障子紙でなく色紙を張ってみましたが、ハリウッド映画に出てくる日本の家みたいにどこかウソっぽくなってしまい失敗でした。シンプルが一番良いですね。

外国人の私には、和室とはこうあるもの、障子はこう使うものといった固定観念がありません。もしプロに同じことを依頼したら怒られちゃうんじゃないかな?自分流に好き勝手できるのがDIYのいいところです。

和室に限らず、当たり前にやっている作業や行程も、どうして必要か?違うやり方がないか?と疑ってかかるようにしています。
デザインも定番より、意外性があるものが好きです。それで成功することもあるし、大失敗してやり直すこともあります。障子紙も白が一番と納得するには、色紙を貼らずにはいられない面倒くさい性分です。DIYが好きな人には私みたいなタイプが多いかもしれませんね(笑)

この部屋の完成にはまだまだ時間がかかります。今の悩みは床と壁をどうするかです。和室=畳と砂壁の公式を崩して、全く違う素材を使ったらどんな部屋になるか?「こんな和室もありだね」って遊びに来た人を驚かせるために、今日もコツコツ実験に励んでいるのです。