801『TNK』 (Lennon/McCartney) 76ISLAND

英国パンク~ニューウェイブは、プログレのエキスをも貪欲に呑みこむことで、大幅な多様性をまた一つ拡げたたわけですが、その最重要キーマンとして、アジェンダを示したのが、若き日のブライアンイーノだったのでしょう。

イーノ初期のソロアルバムは、ロキシ―ミュージック的な猥雑さと、プログレ的な几帳面な気難しさが奇妙に同期した、異形の習作的傑作群でしたが、その後、ロキシ―時代の同僚フィルマンザネラとバンド「801」を結成し、1976年にライブ盤の1stをリリースしました。

少し意外なのが、意外にオーソドックスなロック感をキープしたリズムセクション。しかしいかにも70年代中盤らしく、洗練されたブラックネスをたっぷり吸収してもいます。

その土台の上に、縦横無尽に乱れ飛ぶ、発射音ともいえるような、イーノのエキセントリックなシンセ。ロキシ―初期ほどチープに馬鹿馬鹿しくなく、ソロほど高踏なスノビズムでもない。
ライブならではの勢いで暴れまくってます。

そして、宇宙人チックな声色でクールに歌う、イーノ自身のヴォーカルが不気味なヌメヌメ感を醸します。『TNK』とは、『Tomorrow Never Knows』なのですが、レノンの人間味溢れるワイルド感をどうしても思い出してしまい、強烈な違和感に揺さぶられます。