第99回 AR感覚とVR感覚

最近は予測不能なことが次々起こるので気が抜けない。
サッカーW杯では日本が予選リーグを突破するし、「クレヨンしんちゃん」野原しんのすけの声優が突然降板するし。
さらに6月29日には関東甲信地方で梅雨が明けた(らしい)。
これは観測史上最速とのことで、早くも真夏の日差しが都会を襲っている(ようだ)。
そのせいか、従来梅雨とは無縁の北の大地に梅雨前線らしきものが停滞している。
今後一週間の予報はすべて傘マークがついている(7月1日現在)。
だけども問題は今日の雨 傘がない。(あれ?)

傘はないわけではないけれど、湿度が高く、なんだか鬱陶しい。
出かける気にもならず、かといって部屋の片付けをする気にもならず。
こんなときは先日購入した「oculus Go」で現実逃避だ。

「oculus Go」は単体でVRを体験できるヘッドセットだ。
「Pokemon Go」と語感は似ているが、別物だ。ちなみにポケモンGoはARを体験できるゲームだ。

(※VRは、Virtual Realityの略で「仮想現実」のこと。ARは、Augmented Realityの略で「拡張現実」のこと。
VRは、現実ではないのに、あたかも実際に起こっているかのような体験ができるのに対して、ARは現実の中に架空の世界を追加(?)する。
例えば、ポケモンGOでは、スマホ越しに自分の部屋の中にいるポケモンを捕まえることができる)

「oculus Go」は5月初めにFacebookの子会社のoculus社が販売を開始したVRヘッドセットで、その価格の安さでちょっと話題になっている。
(とはいえ、32GBメモリのタイプでも23,800円なので、安いと言えるかどうか微妙。でも、従来品の半額程度ではある)
外形は、ザックリというと、透けていないスキーのゴーグルの大きなヤツ。
それを被って(?)、電源を入れると目の前に巨大な空間が広がる。
前後左右上下360度にスクリーンがあるような錯覚(?)で、現実ではないどこかに連れ出してくれる。(実際はどこにも行かないのだが)
コンテンツもいろいろあるが(有料無料含めて1000以上)、わかりやすい例をあげると、ジェットコースター。
実際にジェットコースタ-に乗っているかのような映像が流れ出すと、体が自然に右左に動く。
気球に乗る体験やジュラシックパーク内で恐竜に襲われる(?)体験もできる。
ゾンビが後ろから来ることもあるし、絶壁から落ちることもできる。
電池内蔵で耳元にスピーカーがあるので、このヘッドセット単体ですべてが完結する。
(今までのVRヘッドセットはゴーグルの他にイヤホンが必要だったし、もっと格安なヘッドセットはスマホを装着する必要があった)
また、最初からアプリの一つとしてブラウザも搭載されているので、Amazonのプライムビデオを利用して映画もブラウザ越しに見ることができる。

雨の日の現実逃避には映画がいいかもしれない。
もうすぐお昼になるからピザでも注文しよう。
ブラウザで宅配ピザのページを開いて注文をする。
折角、VRヘッドセットを使って注文するので、支払には仮装通貨を使うことにする。
BITCOINは持っていないし、NEMはあの一件以来いまいちなので、KINCHANで支払いをする。
30KINCHANが決済された。

さて、映画の選択だ。
VR内のAI検索にシンクロすると、今の自分の気分に最適な映画を選んでくれる。
はずなのだが、なぜかスピルバーグ監督にインスパイアされた(らしい)映画が3本チョイスされた。
直前にジュラシックパークを体験したせいかもしれない。
いずれもあまり知らない監督の作品だ。
・「Back to the futon」(なにかというとすぐ布団にもぐり込む自宅警備員の話らしい)
・「無知との遭遇」(あまり出会いたくないが、遭ってしまったらしい)
・「ET/イーティ それが見えたら終わり」(イットは得体の知れないものだったが、ETも同類か)

気を取り直してAIに邦画を選ばせる。
・「線香花火、下から見るか?横から見るか?」(下から見るのは危ないと思う)
・「深谷食堂」(深谷に実際にありそうだ)
・「もしアメフト部の監督・コーチがドラえもんとのび太くんだったら」(こんな「もしドラ」はいやだ)
・「僕の名は」(・・・)

ふいに玄関のチャイムが鳴った。
玄関に移動してドアの覗き穴からみると宅配ピザのお兄さんとなぜか警官が立っている。
なんとなく嫌な予感がしたので、ドアを開けずに息を凝らしていると、
「こら!そこにいるのはわかっているぞ。ドアを開けなさい!!」と警官が怒鳴りだした。
同時にサイレンが鳴り出して、周りが赤く点滅しだした。
「仮想空間であっても「仮装」通貨は使えない。仮想通貨偽装の罪で逮捕する!」となおも怒鳴り続ける真っ赤な警官の姿が歪んできた。
そして、「プシュ」といって真っ暗になった。

充電池が切れたようだ。

「oculus Go」は充電池で稼働するが、電池の持ちがよくないのが難点だ。
だいたい2時間程度なので、ぎりぎり映画1本を見られるかどうか。
しかも残念なことに充電しながらの使用は推奨されていない。

こういった電子機器が「キャズム※」を超えるために必要なのは弛まぬ改善だ。
(※「キャズム」とは、新しモノ好きと一般消費者の間に横たわる暗くて深い溝のこと)

「oculus Go」の一番改善してほしいところはこの稼働時間だ。

以上

仮想と妄想の境目が曖昧になってしまいましたが、トレンドっぽい電子機器をご紹介させていただきました。
(この夏は「oculus Go」で「Hiromi Go」体験がくると思ふ)