第100回 毛無から増毛へ

小樽の山の中腹に美味しいソフトクリームが食べられるワイン工場がある。
最近、北海道内にワイナリーが増えていて、なぜかそれらのワイナリーのソフトクリームが非常に美味しい(ワインは呑まないのか?>自分)。
小樽のワイナリーではワイン味のソフトクリームを食べた。

その美味しさの余韻に浸りながら山を上っていくと展望所がある。
毛無山の展望所だ。
ここからは小樽が一望できるだけではなく、日本海の北の端も望める。
はるか向こうにロシアも見える。ということはないが、増毛町は見える。
毛無山から増毛が見えるのだ!
(「けなしやま」から「ぞうもう」ではなく、「ましけ」です)

ということで、8月の初めに中年おじさん仲間で増毛に行ってきました。

札幌から車で日本海に向かい、オロロンライン(たぶん、オロロン鳥が由来)を北へ走る。
石狩、望来、古潭、厚田、濃昼、送毛、浜益という難読地名の地を走り抜け、雄冬岬をまわって増毛に到着した。
(ちなみに地名は、いしかり、もうらい、こたん、あつた、ごきびる、おくりげ、おふゆみさき、ましけ)

増毛に来た目的は、ズバリ「増毛(ぞうもう)!!」。ではなく、美味しい海鮮です。
日本海の優良な漁場が近くにあり、毎日新鮮な魚介類が水揚げされる増毛漁港。
市場でその美味しい海鮮を買い込んで、一夜の宿で大宴会!
呑めや、唄えや、タイやヒラメの舞い踊り、豚もおだてりゃ木に登る。
そんな逸る気持ちを押さえて、まずは増毛観光です。

増毛と言えば、北海道有数の酒蔵のひとつ「国稀酒造」があるのです。
ここに行かずして、増毛を訪れたとは言えません。
しかも国稀酒造は日本最北端の酒蔵なのです。
たぶん、ここより北の土地では寒くて原料となる米が穫れないし、仕込んだ酒が凍ってしまうのでしょう(という勝手な想像)。

 

歴史ある木造の建物の引き戸からぞろぞろと入っていくと、国稀酒造の数々の銘酒を販売する売店が。

「ほうーっ」

ずらりと並ぶ見慣れない銘柄のお酒に感嘆の声をあげるおじさん集団。
その日の宴会のためのお酒に迷っていると、売店の妙齢のお姉さんが「試飲されましたか?」と聴いてきた。
ううんと首を横に振ると、奥を指さして「まず、あちらで試飲をどうぞ」というので、一同迷わず奥へと向かった。

酒蔵らしく(?)大きな仕込み樽が並ぶその奥に、群がる人たちが見える。
その人垣の中心には試飲用の銘酒が十数本並んでいる。
試飲をサーブしている妙齢の(時代もあった)お姉さんがこちらを見て手招きをする。

「運転手以外の人は是非飲んでね♪」

蜜に集まる蟻のように酒好きおじさんの団体は妙齢の(時代もあった)お姉さんに、じゃなくて試飲用のお酒に吸い寄せられた。
蔵出し生酒、特別純米酒、にごり酒、純米吟醸酒、辛口大吟醸酒、甘口醸造酒などなど十数種類が、小さな紙コップとはいえ、飲み放題。
気がつくと、全員がほろ酔い(一部泥酔)状態。
旅の疲れ(2時間くらいですが)とツマミ無しのカラ酒のためか、もう誰も運転ができない状態に。というか、運転手は試飲するなよ!!

そんなピンチ(?)がありつつも、無事日本酒をゲットした一同は、大人のフォースを使って、一棟借りしたロッジに到着。
気がつくと宵闇も迫り、海風は陸風に変わっている。夕方4時までの市場はとっくに店じまいしている。
市場でボタンエビや甘エビ、ミズダコにバフンウニを大人買いして、国稀酒造の日本酒で乾杯という当初の夢の目論見は見事にはずれてしまった。。。
くよくよしても仕方がないので、保険として買っておいた、タンネトウのジンギスカンと味噌ホルモンと塩ホルモン、食べ比べ用の炭やの塩ホルモンを食べるために火を熾す。
海辺で焼肉。
北海道の海水浴では、よくあるパターンだ。(今回は海水浴ではないですが・・)

毎度のことながら、いい歳をして酒で失敗するおじさんたちの夏休みの第一日目はこうして暮れていった。。。

翌日、さらに北上して小平町に向かい、欅坂46ファンの聖地である風力発電用風車が林立する中でドローンを飛ばした話はまた後日。

ということで、中途半端なおじさんたちの夏の話は、当然のように中途半端に終わるのでした。

もう、秋だし。