最終回 137日間の旅の終わり~アルゼンチン・カナダ・日本へ帰国

パラグアイの民宿小林を出て、アルゼンチンのプエルト・イグアスに着いた頃にはすっかり日が暮れていたので簡単に街中で夕飯を済ませた。

翌日、イグアスの滝をアルゼンチン側から見学することに。国立公園になっていて、回るコースが色々ある。私達はまず滝壺まで近づける30人乗りぐらいのボートに乗り、激流の滝に突っ込んで全身びしょ濡れになった。ものすごい水量の中に突っ込んでいったので、呼吸が苦しくなるぐらいだったが、最高におもしろかった。

 

その後2㎞位ハイキングコースを歩いて滝を上から見学、最後は公園内を走る列車に乗り悪魔の喉笛と呼ばれる一番大きな滝を見学した。どこもスケールが大きく、自然が雄大でハイキングコースを歩いているとたくさんの野生動物に出会えた。ブラジル側でも出会ったハナグマ、カプチーノと呼ばれるサル、くちばしの赤いトゥッカーノという鳥、トカゲやナマズ、カメなど手の届く距離で見ることができ感激だった。結局丸一日イグアスの滝で過ごしたが、あっという間だった。私達が訪れる数か月前は豪雨の影響で、滝の上に架かるハイキングコースの橋が壊れて一時クローズになっていたことも考えると本当にいいタイミングでしかも最高の天気で訪れることができ、本当によかった。

トゥッカーノ
カプチーノ

プエルト・イグアスを出た後、そのまま帰国しても良かったが、せっかくなのでカナダでナイアガラの滝に寄って帰ることにした。

ブラジルのフォズドイグアス空港から、チリのサンティアゴとコロンビアのボコタを経由して、カナダのトロントまで結局24時間かけてたどり着いた。

トロントへの到着は22時過ぎだったが、入国に苦戦した。入国審査のところで違う部屋に行けと言われ行ってみると複数の係員が詳細に話を聞いていた。カナダは移民が多いので入国審査が厳しいのかなと思いつつ、部屋で並んでいるのはアジア系ばかりでなんとなく偏りを感じたのは正直なところだ。30分ほど待ってようやく私達の番になったが、「コロンビアには何をしに行った?」「南米には何をしに行った?」「仕事は?」「お金は?」「帰国したら何するの?」などなど根掘り葉掘り聞かれた。中南米は違法薬物の取引も多いので、運び屋と疑われていたのでは、と思っている。

真相はわからないが、ここまで執拗に聞かれたのは初めてだったので疲れが倍増した。
結局ホテルに着くころには24時を回っていてヘトヘトだったが、大きなバックパックを背負った私達に「そんな荷物で何しに来たの?」と声をかけてくる酔った宿泊客もいて、あんまりいい気分はしなかった。
ポイントで宿泊した少し高級なホテルだったので、たしかにバックパックを持っているような客はおらず、場違いだったのかもしれない。

翌日はナイアガラフォールズの街まで移動し、2泊した。ホテルから徒歩圏内にナイアガラの滝があり見に行ったが、イグアスの滝を見た後だったので正直そこまでの感動はなかった。各地で絶景をみすぎたせいなのか、滝は少々人工的に感じてしまった。ナイアガラの滝はアメリカとカナダの国境沿いにかかっており、せっかくなので橋を渡ってアメリカ側にも行って眺めてみた。アメリカ側からはより滝が間近に見えるところもあったのと、ナイアガラならではの遊園地のような景色を背景にした滝の姿も見ることが出来、いい経験となった。

さっと見学してまたカナダに戻ったが、また入国時にトラブルがあった。今度は別の事務所に連れていかれた。あまり尋問はされなかったが、アメリカへ入国して1時間ちょっとくらいでカナダに戻ってきたので、何か受け渡しのために国境を越えたのでは、と疑われていたようだ。15分ほど待たされたが何とか戻ってくることができた。こういう時の時間は体感はもっと長く感じて、別に悪いことは何もしていないのだが、モヤモヤとヒヤヒヤが混じって落ち着かない感じになった。後から考えるとあっさり終わったのだが、一連の出来事でカナダにいいイメージはなくなってしまった。が、南米がそれだけ治安が悪いということなのかもしれず、無事に帰ってこれてよかったという思いにもなった。

その後は本場のデニーズに行ったり、街をぶらぶらしたりして、あっという間に滞在は終わり、シカゴを経由し日本へ無事到着した。成田空港に着いたときの安心感は半端ではなかった。

これにて私達の合計137日の旅は終わり。旅を終えて思うことはやはり思い切ってよかったということ。

アラフォー夫婦が仕事を辞めて旅に出るなんて、何を考えているんだ、と特にヨメ側の両親には猛反対されたが、反対を押し切っても行って良かったと思う。心配はかけたがなんだかんだ送り出してくれたことには感謝だ。新車2台分くらいの旅費はかかったが、我ながら良いお金の使い方だと思っている。
ちなみに旅に出たから人生観が変わるということはなかった。
が、日本の良さを改めて実感したし、自分が恵まれた環境にいることも体感した。何より旅先でもたくさんの人に助けてもらい、私達も同じように旅人に還元していきたいというぼんやりとした夢ができた。今は二人ともサラリーマンに戻って日常を過ごしているが、新たな目標に向かい旅は続いている。


追伸:編集長Uさんの計らいから長期連載の機会をいただけたことにとても感謝しています。毎度毎度〆切間際は喧嘩をしながらも旅を客観的に振り返り、記録に残す良い機会になりました。皆様お付き合いいただきありがとうございました。


あらためて、旅は最高!