第25回 「買う前にファンにしてしまう5つの法則 ~『法則5:ソーシャルメディアで事前期待をマネジメントする』~」

梅雨空で蒸し暑い日が続いてますが、如何お過ごしでしょうか?

我が家の裏庭では、オオクワッチの食べ残した菌糸カスを土に返すためにカブちゃんの幼虫を飼育しています。

この裏庭の養殖場のカブちゃんは、かつて日本一を獲った由緒正しき血統☆彡

《第二回カブトムシギネス “鎧の騎士” 85mm》

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今年も裏庭で”鎧の騎士”の末裔の羽化が始まりましたよ♪この仔は、ご先祖様ほどではありませんが、なかなかどうして立派な体躯をしておりまする。

《裏庭でタイホした”鎧の騎士”の末裔》

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さて、前回に引き続き、買う前にファンにしてしまう5つの法則を紹介します。

《買う前にファンにしてしまう5つの法則》
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※画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

今回は「法則5:ソーシャルメディアで事前期待をマネジメントする」と題してお客様の事前期待にあわない場合の対応について詳しくご紹介します。

法則5:ソーシャルメディアで事前期待をマネジメントする

事前期待とお客様満足の関係は、相関があります。最新の研究によると、お客様の事前期待は、時間とともに高まる増加関数であると指摘されています。

モノやサービスを提供する企業からすると、「あの企業(店舗)は、よいサービスを提供している」と評判を獲得すればするほどお客様の事前期待は、イースト菌を入れたパンのように膨らんでいきます。特にお客様がモノやサービスを購入する前はその傾向が顕著になり、場合によってはソーシャルメディアで増幅する可能性もあります。

このような場合には、企業や店舗からすると同じサービスレベルを保っていながら、お客様がモノやサービスを購入する前にお客様の事前期待が自社のモノやサービスの提供するレベルを追い越してしまい、過度な期待をしている状態になります。

もちろん、日々研鑽して絶え間ないモノやサービスの改善の努力を積み重ねることは考えられますが青天井にレベルを上げることは難しいのが現実です。

逆に、本来持つモノやサービスの実力が詳しく伝わっておらず、適切な評価をされない場合もあります。

この場合には適切な評価をしてもらえるような努力が必要になります。

顧客満足向上運動は、日本の企業や店舗で行なわれてきた、いわゆるCS活動ですが、多くはその本質を理解していないがために顧客満足を向上できずに
いる企業が多いと言われています。

この顧客満足を本気で向上させようとするなら、お客様の事前期待を把握・理解して、マネジメントする活動が重要だと考えています。

事前期待は、高ければ高いほどよいというものではありません。
また、逆に低ければ低いほど、その後の顧客満足が上がるというものではないのです。

過度に事前期待が高まり過ぎたり、逆に低すぎるとお客様の離反につながります。まさに、「事前期待の悲劇」です。

モノやサービスに対する事前期待は、適切なレベルに維持しなければなりません。

本来、事前期待のマネジメントの方向性は、企業や店舗の提供するモノやサービスの実力に沿った妥当な事前期待に誘導するのが妥当だと考えています。

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では、過大な事前期待を冷やすにはどうしたらよいでしょうか?

筆者が実践して効果的だったのは客観的な情報の活用です。

例えば、モノの場合には現物の情報を共有することが必要です。バーチャルの世界では、現実を理解させるためのリッチコンテンツ(写真や動画)が効果的です。

過大な事前期待を冷やすにはリッチコンテンツだけでなく、適切な情報をお客様にお伝えすることでコントロールすることが可能です。

この場合、定性的な情報に加えて、数値データなど第三者の客観的な情報をお伝えすることが効果的でしょう。

このような活動は、以前ご紹介した「正直マーケティング」、通称 ホンママーケティングの実践に他なりません。

企業や店舗が提供するモノやサービスに対する事前期待が適切な場合(妥当な事前期待)には、大きく3つの対応が必要になります。

まず1つめは、事前期待が膨らまないように維持する対応が必要な場合。

このような場合には、お客様を継続的に観察してみましょう。
そして、お客様の態度が変わっていないかウォッチをしながら、適切な情報をソーシャルメディアを活用して届けることが必要です。

2つめは、妥当な事前期待を冷まし、過小な事前期待に落とす対応です。

これは、戦略的なオペレーションです。
いったん意識的に落として、再び上げることで顧客満足を上げる作戦ですので上級者向けの戦略と言えるでしょう。

お客様に事前期待の上げ下げを意識的にしていることが露呈してしまうと、お客様の信用を失墜しかねませんので注意が必要です。

そして3つめは、独り勝ちを目指してソーシャルメディアを活用し、事前期待をひたすら煽ることです。

これは、提供するモノやサービスにかなりの自信がないと、現実を知った途端にお客様の離反を招きかねませんので、リーダー企業がとることができる作戦です。

言ってみれば、このようにお客様の事前期待をどんどん膨らませる施策は、マーケットで独り勝ちを目指す極めて高度な顧客満足度戦略と言えますね。

また、お客様が企業や店舗のモノやサービスについて過小評価している場合もあります。

このような場合には、2つの対応方法があります。

1つは、「寝た子は起さない」。つまりそのまま何もしないでそっとしておく戦略です。

これは、そもそも提供するモノやサービスに自信がない場合や販売が終息するような商品の場合にとる戦略となります。

そして、もう1つは、お客様の過小な事前期待を妥当な事前期待に高めるための取り組みです。

お客様の事前期待を上げるために、客観的な第三者の情報やお客様の声をソーシャルメディア上で紹介する取組みが効果的です。

人は、誰でも他人の言っていることが気になるものです。

さて、シリーズでお送りしてきた買う前にファンにしてしまう5つの法則もこれでいよいよおしまい。

次回からは、いよいよ新シリーズをお送りしたいと思います。

(つづく)

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