第69回 「シリコンバレー訪問記 その4~IoTブティック「Be8Ta」~」

シリコンバレーは、デジタルテクノロジー、特にIoT(Internet of Things)をより身近に感じることができる街。

ビックデータと身の回りの製品がデータを送受信する「モノのインターネット」(IoT)は、間違いなくビジネスと社会に革命を起こすと言われています。

では、我々KNOWLEDGE INTEGRATORは、このような新たなビジネスチャンスにデジタルビジネスをどう乗りこなせばよいでしょう。

「b8ta(ベータ)」は、パロアルトのAppleストアのそばにあるIoT関連のショールーム。店構えや内装は、ITや電気というより、どちらかといえば東京の青山や表参道あたりにあるアパレル関係のお店をイメージしたおしゃれな施設でした。

《表参道のようなお洒落な通りに面したスタイリッシュな店舗》


■リアル世界のGoogle AdSense

この店舗がユニークなのは、単にお洒落なだけでなく、今までにないユニークなビジネスモデルの実験場となっているところ。

シリコンバレー在住の渡辺千賀さんの表現を借りると、“リアル世界のGoogle AdSense”。

つまり、紹介されているIoT商品の前に何十秒か立っていると、ベンダーに課金される仕組みなんだとか。その人がどの程度商品を見ていたか、天井についているカメラで検知するらしい。ビジネスとして成立しているかは別として、なるほどそんな手があったのか!という感じ。

 

■様々な生活シーンのIoTグッズが並ぶ

こちらでは、外出時のアイテムがIoT化されたものも多数展示されていました。
シスコは、IoTと呼ばず、IoE(Internet of Everything)を提唱していますが、まさに何でもインターネットにつながるイメージですね。

《自転車やスケートボード、スーツケースなど外出時のモノとの連動》

 

いわゆるスマートハウスの世界。家庭の中でも様々なモノがインターネットに接続されます。

《おなじみドアの開錠やホームWifiに加えペットの監視まで》

 

スターウォーズ/フォースの覚醒でおなじみの「BB-8」は、実はアメリカの Orbotixが製造・販売を行っているボール型のデバイス、“スフィロ”がベースになっているのです。“スフィロ”は、スマートフォンをBluetoothで接続し、アプリを使ってデバイスを操作することができます。

また、知人の高萩さんが大阪イノベーションハブで開催されたハッカソンをきっかけに事業化したMoffBandも展示されていました。

妖怪ウォッチを抑えて、Amazonの電子玩具部門で一位になったことのあるスマート・トイ。MoffBand誕生秘話は、あしたのコミュニティーラボの記事をご覧あれ!

《いわゆるスマート・トイの“スフィロ”と“MoffBand”》

 

《あのOculusをはじめ、ゲームと連動した体験型のスマート製品も展示》

 

《ヘルスケア関連のスマート製品》

 

《キッチン関連のスマート製品》

 

■接続機能を持つスマート製品の4つのステージとインテグレータの役割

ハーバードビジネススクールのマイケルE.ポーターによると、このようなIoT製品には以下の4つのステージがあると言います。(HBR2015/4 IoT時代の競走戦略)。

1.モニタリング(Monitoring:製品の状態、外部環境を総合的にモニタリング)

2.制御(Control:製品を制御し、ユーザーエクスペリエンスのパーソナル化)

3.最適化(Optimization:製品性能の向上、予防診断、サービス、修理)

4.自律性(Autonomy:製品の自動運用、他製品との自動的な連携、自己診断と修理等)

 

現在の日本企業の大半は、「1.モニタリング」の段階に甘んじているそう。一部のロボットを扱う企業は「2.制御」の領域まで来ているらしい。まだそんな状況なので、IoTビジネスはこれから本番を迎えます。

我々は、自社の製品だけでなく、世の中に流通する様々なIoTデバイスを理解し使いこなさなければなりません。
なぜならその組み合わせは無限大で、新たなサービスの可能性が拡がるから。
このようなIoTデバイスを日常的に触れることのできる“場(ba)”が、日本にも必要かもしれません。

 

(つづく)