Blue Tonic「Syndicate key」(井上富雄) 87Non Standard
めんたいロックから、渋谷系まで、幅広い音楽活動を続ける井上富雄率いるブルートニックは、これ以上ないほど80年代後半の空気を体現しています。
スノッブと荒くれの奇妙な混淆ともいうべきサウンドは、恐れ知らずなポップに着地し、和風なファンクネスを衣装として纏います。
井上のギターは、カッティング中心の非ブルース的軽量プレイ。同時代の英国に影響を受けてはいるのですが、そこは、独自の解釈というか、自然に日本風のシャリシャリ感が強調され、線の細さを逆説的に強みにする結果に導いています。
パンクの少し後のニューウェイブ世代。前の世代にも、後の世代にも見られない、微細なバランス感覚は、唯一無二といえるでしょう。