第14回 問題解決の手本引き

美人編集者のUさんから「今年の最終号なので、締めくくりに少しはまともなことを書いてくださいね」と難題を言われた。。。

『いつもまともなことを書いていたのにぃ』と思っても、泣き言を面に出さないのが大人のたしなみ(T_T)。

そこで、たまには役に立つことを書いて不特定多数(少数?)の誰かに感謝されて幸せな年末年始を迎えようというのが今回のミッション(?)となりました。

美人編集者からの難題に限らず、世の中にはありとあらゆる問題が山積しています。
そして、日夜人々は問題解決のために頭を捻り、体を動かし、金品を動かしているのです。
人生の目的は、問題解決だと言っても過言ではありません。(って、過言ですね)

試しにAmazonのサイトで【問題解決】を検索すると、「問題解決の手本」やら「手引き」やら、関連する図書が1,100冊余りも表示されます。これほどに世の人々は「問題解決」に悩んでいるのです。

そもそも「問題」とは何でしょうか?

広辞苑や大辞林をパラパラッと斜め読みすると、

1.答えを出させるための問い
2.研究の必要のある事柄
3.取り扱いや処理を迫られている事柄、解決を要する事項
4.面倒な事件、厄介なこと、ごたごた

などが言葉の意味として記載されています。

各項目いずれも「問題」ですので、ひとつづつ解決方法を考察していきましょう。

【1.答えを出させるための問い】
これは、主に、学校の試験問題や資格試験、クイズやパズルなどが当てはまりますね。

例えば、こんな問題。

『東北から東京の会社に就職した若い男性が、ある日渋谷で、たまたま東北から遊びに来ていた幼なじみの若い女性と出会いました。ふたりはその偶然に興奮して、一晩中あることをしました。

さて「あること」とはなんでしょう?
(ヒント:「あること」の最初の文字が「せ」で最後の文字が「す」です)』

もはや誰でも知っているクイズの古典ですから、答えはご存じですね。

はい、答えは「世間話」です。

ヒントと違うと思った方は、なにか不純なことをイメージしませんでしたか?ポイントは<東北出身>ですね。
つい興奮した二人は一晩中お国訛りで「せけんばなす」をしたのでした。

このようにクイズとはいえ、問題のポイントを的確に捉えなければ正解へ辿り着けないのです。

【2.研究の必要のある事柄】
これは、ビジネス上の問題も対象になりそうですが、どちらかというとクイズより答えを導き出すのに物理的・精神的な努力を要するものが対象となりそうです。

昔、フジテレビで放映されていた「トリビアの泉」の「トリビアの種」がそうでしょう。
視聴者からの疑問を実証実験により解決するというコーナーでした。

例えば、「日本刀とピストルはどちらが強いのか?」
(意味わかんないですけど、次元vs石川五右衛門みたいなことですかね)

「フィギュアスケートの選手は何回転で目を回すのか?」
(若き日の安藤美姫(今も十分に若いですが)が1000回転しても平気だったため、最後はドクターストップで終了だったような・・・)

このように数々の問題を実証実験で解決してました(?)。

【3.取り扱いや処理を迫られている事柄、解決を要する事項】
これがいわゆる一般の「問題」でしょう。

「今月の売上が足りない。どうする?」

「昼だ。昼飯は何を食べよう?」

「もう50歳だ、そろそろ結婚を考えるか?それとも薄毛外来に行くか?」

「デフレだ。でも恋はインフレーションだ」

「都会では自殺する若者が増えている。でも、傘がない」

等々、考えてみると日常そのものが問題であり、問題解決の連続です。

最近、近所の学生寮でこんな問題が発生しました。

ある学生A君が、両隣の学生との関係がうまくいかないので、寮の管理人がA君の親と相談して、部屋を移動させることにしました。

移動先の部屋の近くの学生からは文句が出ましたが、年内に移動すると約束済みなので、変更の可能性はありません。

ところが、つい最近、管理会社が変わって、寮の管理人が変わった途端、A君の移動の話は曖昧になり、A君の親と学生、関係のない近所の住人まで巻き込んで大変な問題に発展してきたのです。

解決するのは管理人の決断ひとつだと思うのですが。。。管理会社からも圧力があるのでしょうねぇ。

なかなか問題解決は難しいのです。

【4.面倒な事件、厄介なこと、ごたごた】
この類は、専門家にまかせた方が良さそうです。素人が適当な対応をすると酷い目に遭いますから。

社内の問題は総務部が担当でしょうか、刑事事件は警察、民事事件は弁護士なのかな・・・。

昔は大岡越前守という刑事と判事を兼ねたスーパーマンがいて、数々の事件を見事に裁き、後世に「大岡裁き」という言葉を残しています。

例えば、一人の子供に二人の母親が名乗り出て、本当の母親はどっちだ、という事件。

大岡越前守は、お白州の場で、子供の両手を二人の母親に引っ張らせ、引き寄せた方が本当の母親と認めるとした上で、子供の引っ張り合いをさせました。

左右から必死に母親たちが手を引っ張ると、すぐに子供が痛いと泣き出し、思わず一人の母親が手を離しました。

そこで大岡越前守は、わが子の痛みを思って手を離した母親こそが、本当の母親という見事な裁きをみせたのでした。(でも、事実は、本当の母親だからこそ絶対に手を離さなかったのです。誤審ですね・・・たぶん)。

専門家にとっても問題解決は難しいのです。

しかし「難しい」を連呼していても何の解決にもなりませんね。
ビジネスの現場における問題解決の方法について具体的に伝授致しましょう。
年末大サービスです。

ビジネス現場での問題は上記1.から4.のうちの3.が多いと思われます。

3.の具体例として、「将来の会社の柱となる新製品をいかに企画するか?」という問題を考えてみましょう。

問題解決のために社内各部署から選りすぐりの6人でプロジェクトチームを立ち上げました。
リーダー1名と5名のメンバーからなる精鋭チームです。

ここでリーダーは、いきなりブレインストーミングなどをやってはいけません。
ブレストは、プロジェクトが行き詰まったときにガス抜き程度にやるもので、いきなり最初にやるのはリーダーが自分の無能さを公言することだからです。

メンバーも、もし初っ端からブレストをやるリーダーがいたら要注意です。
そのリーダーはメンバーのアイデアを狙ってます。

いらぬ疑いを掛けられぬようにリーダーは、まず6つの企画案を考えます。
メンバーにその6つの案を見せて、各自に分析・検討させます。
この時、リーダーは6つのうちのどれに思い入れがあるかは言ってはいけません。

さて、6つの案を熟慮したところで、プロジェクトチームは一堂に会します。

リーダーは1から6までの数字のカードを二組用意して、一組をメンバーの前に順番に並べます。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」

このカードの番号が企画案のそれぞれに対応しています。

リーダーはもう一組のカードから、自分が思い入れのある番号のカードを一枚選び、メンバーにわからないように隠します。
メンバーはリーダーがどの案を選んだか(どのカードを隠したか)を考えます(予想します)。

そして、予想したカードにマークします。

その後、リーダーが選んだ案は「4」であることがわかりました。「4」を選んだメンバーにはポイントが与えられます。

この段階でカードの並び順は以下のように変わります。

「4」「1」「2」「3」「5」「6」
(先ほど選ばれたカードが左に置かれます)

続いて、またリーダーが思い入れのある番号を隠します。
メンバーはそれを予想するのですが、ここから葛藤が始まります。

「リーダーはさきほどと同じ「4」をまた隠したのではないだろうか?いや、でもそれはメンバーがみんな予想することなので、まったく逆の「6」を選んだのでは・・・?それとも今となりにある「1」か?」

この回、リーダーが選んだのは「3」でした。「3」を選んだメンバーはまたポイントをゲットして、はずしたメンバーは没収されます。
そして、この段階でカードの並び順は以下のように変わります。

「3」「4」「1」「2」「5」「6」

以下、同様の手順が延々と一晩中繰り返され、メンバーは隠されたカードを当てようと二点張り、三点張りと熱くなり、大金を稼ぐ人や破産する人など悲喜こもごもです。

・・・って、なんだかギャンブルのようですね。

人生はギャンブルだ、なんて月並みなことは言いませんが、予見不可能な未来を予想してこそ問題解決が進捗するわけで、完全な未来予知ができない以上は、最後は大いなる決断力をもって賽の目に頼るしかないのです。

年末大サービスで増量(当社比1.4倍)した割には内容薄いですね・・・美人編集者に怒られそうです。

こうしてまた一つ大きな問題を抱え込むのでした。

教訓「問題解決を年末まで先延ばしにして忘年会に逃げ込んでませんか?」

>はい、それは私です。

Image088