第16回 関知外の勘違い

童謡「ゆき」の歌詞は「ゆきやこんこん」ではなく、「ゆきやこんこあられやこんこ」が正しいというのは、クイズの問題でよく採り上げられます。

(この場合の「こんこ」というのは「来ん此・・・ここに来い」という意味らしいです)

「ゆきやこんこ♪」が正解という人たちは、雪は「しんしん」降ったり、「ちらちら」降ったりするが、「こんこん」とは降るもんじゃない、と主張します。

でも、子供の頃から「ゆきやこんこん♪」と唄ってきた身にとっては、「こんこ」はどうも馴染めない。

念のために広辞苑と大辞林を調べてみると、「こんこん」の意味に「雪やあられの降る様子」とキチンと表記されています。
歌詞は「こんこ」が正解ですが、雪は「こんこん」と降るのです(でも、「ゆきやこんこん」という間違い用例が多くて、辞書が根負けしたのかもしれませんが)。

かように世の中には勘違いや思い込みが多いものです。
人生の83%が思い込みというのも、あながち嘘ではなさそうです(83%は私の思い込みと告解しておきます)。

ルパン三世の盗みのテクニックが極めて優れているのは、アルセーヌ・ルパンの孫という血統の問題ばかりでなく、人の勘違いや思い込みにつけ込むという心理トリックを多用するところにあります。

銭形警部や金庫室のオーナーに巧みに変装して、利腕を使い、煙幕を張った金庫室に侵入し、鮮やかに宝石を奪うとき、彼の心理作戦は功を奏するのです。

某国営放送はコマーシャルはしないし、特定の企業名もあげないように注意深く番組を制作しているようですが(審判がいて、証拠を掴まれると罰金や査問の対象になるのでしょうか?)、禁止事項は隠せば隠すほど逆に際立ってしまうのが世の常です。

かなり古い話になりますが、年末の男女対戦型の長寿歌番組で、山口百恵が唄う歌詞を「真っ赤なクルマ♪」と置き換えさせたり、松本伊代の歌う歌詞を「わたし、まだ十六だから♪」と変更させたりしましたが、結果として「ポルシェ」と「伊代」の宣伝となってしまいました。

また、ある司会者は「仮面舞踏会」という曲名を「仮面ライダー」と思い込み、別なある司会者は別人を紹介するのに「ミソラ」という思い込みを口走り、その後、転身の追込を受けたというのも周知の事実です。

最近、作家サリンジャー氏が亡くなりました。

名作の誉れ高い「ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)」をウン十年前に読んだことがあります。
が、当然のことながら、その内容はほとんど覚えていません。

ただ、ぼんやりとした記憶の中に残っているストーリーは、主人公の若者の将来の夢が、崖っぷちの上のライ麦畑で子供たちと野球をやって遊ぶときにキャッチャーになりたいというくだり(本当は子供たちが暴走して崖を飛越して骨折しないようにキャッチする?)と、終わり近くに訪れる病院の若い女医さんの白衣の下には何も身につけていないというくだり、だったのですが。。。

どっちも明らかに勘違いです。
未読の方、真に受けないでください(誰も信じちゃいないと思いますが)。

特に女医さんの件は、「赤頭巾ちゃん気をつけて」のような気もします。(というより、私の頭の中で、いわゆる青春文学にすべて女医さんが出てきて、主人公の若者が興奮するに違いないという思い込みが、刷り込まれているようです・・・)

スペンサーという私立探偵が度胸一番活躍するシリーズものを書いていたロバート・B・パーカー氏も最近亡くなりました。
けして良い読者ではないので、「初秋」等の著書名を聞いたときに、その探偵の名前がスペンサーだったかパーカーだったか、とっさに思い出せないのです(ロビンソンとスピッツとどちらが歌の題名でどちらがグループ名か混戦するのといっしょです)。

でも、スペンサーの恋人がスーザン・ボイルという歌手だったというのは明白な間違いです。

今、カナダで開催中の国際的なスポーツの大型イベントでも、勘違いが散見されます。

開会式前から、日本の若い選手のズボンがずり下がっていた件はいろんな意味で注目を集めることとなりました。

なぜ彼のズボンがずり下がっていたのか?
その真相は意外なものでした。

前日までの練習でヒモが切れていたのに、慣れた感触を失わないためにそのヒモを結び直して使っていたところ、テレビカメラに映る直前に思わぬ転倒をして、その衝撃でヒモが切れて腰パン(?)になってしまったようなのです。

しかも口べたな彼は、それを上手く説明できなかった上に、高性能なマイクの前で「頭が真っ白になって」と横から囁く女将の言葉をそのまま答えたため、マスコミに反射的に標的とされ窮地に追い込まれたのでした・・・。(すみません。勘違いと言うよりも、もはや事実の歪曲ですね)。

女子カーリング(通称「カーリング娘。」)ですが、さすが厳しいオーディションをクリアして選ばれただけあって大活躍です。
本命ではないですが、大穴でもありません。
今日この時点では最終順位は予測はできませんが、かなり良い線いきそうです。
連闘続きですが、不屈の精神で障害を乗り越えてほしいものです。
日本の未来は♪「カーリング娘。」に懸かっているといっても過言ではありません。

かつてジャンプ王国と言われ、あるいは日の丸飛行隊、鶴丸を背負って世界の翼とも呼ばれたジャンプ陣は大健闘中ですが、烈風の如き敵手に阻まれ、苦戦をしています。

名門奪回を目指して、スキーに騎乗して勝利をつかんでほしいものです。
沈まぬ太陽として再起を図って、世界のトップに帰還してほしいと願ってやみません。

女子フィギュアスケートの重賞戦もまもなくです。
試走段階では各国代表とも力は拮抗しています。
本番出走時に直線コースを抜け出して、一気にリンクを横断して、際どい勝負に決着をつけて、黄金の配当をゲットするのはいったい誰なのでしょう?

日の丸のもと祝宴が開かれることを多いに希望します。がんばれニッポン!!。

このイベントの時だけ日の丸の旗を振り、日本を応援する人たちが大増殖するのも共同幻想的思い込みなのでしょうね。

注:本文はすべて私の思い込みと勘違いです。現実の名称や事実に類似していたとしても、一切関係はありません。また、本メルマガ発行元も本文の内容は関知外です。

余談:英国の競馬ミステリーの大御所ディック・フランシス氏も最近お亡くなりになりました。
哀悼の意を表して、日本で翻訳されている競馬ミステリー43冊の書名を本文内に織り込んでみました。
42冊までは織り込めたのですが、1冊だけ織り込めませんでした。さて、それはなんという書名でしょう?
ディック・フランシス氏のファンでお時間のある方、是非探してみてください。(正解してもなんの景品もありませんが。。。)

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