第54回 おもろ式四月馬鹿

4月1日。
きょうから新年度です。

電車には新入社員らしき男女が乗っています。
初出社なのでしょう。紺のスーツが初々しいです。
自分にもそんな日があったなぁ(と、遠い目をする)。
が、もはや思い出せません。
「新人類」と呼ばれたウン十年前のあの日(と、今一度、遠い目をする)。
やっぱり思い出せません。老眼の「旧人類」となってしまったからでしょうか(みたいな話はいらないですね)。

初々しい新人といっても、いまどきの若者です。
髪型は短めながら、オシャレにカットされて、遊んでいる毛も散見されます。
(昔は刈り上げで七三分けでした)

革靴の先が妙に尖って、少し反っていたりします。
(ザラブ星人が化けた偽ウルトラマンの足のようです。←わかりにくい表現ですね)

スーツは三つボタン、上着の丈が短めでズボンのベルトの位置も少し下目です。
(ズボンでいいのかな?パンツって呼ぶほうがいいのでしょうか?それともブリーフ?そういえば、ブリーフケースには白いブリーフが入ってるの?って、どうでもいいですね)

ワイシャツもボタンダウンで、ピンク色、花柄の模様がうっすらと見えます。
(昔のワイシャツは白と決まってました。ホワイトシャツがワイシャツって聞こえちゃっただけですから。けしてワイのシャツやで、ってわけじゃないで。)

ネクタイはラメが混じった派手なストライプの細身のもの。
(今年の流行なのでしょうか?ラメ混じり。またの名をラメのミックス)

ファッションを個別に見ていくと、新人ぽくありません。というか、新人は、もう電車を降りたらしく、別な人を観察していたのでした(みたいなどうでもいい小ボケを新年度は挿んで行きたいな、と)。

新入社員を「フレッシュマン」などと呼んだりしますが、新社会人というより新入生の意味合いのほうが強いみたいなので、使わないほうがいいと思います。(なにしろ新人をフレッシュマンと呼ぶと、2年目以降の社員はみんな賞味期限切れみたいになっちゃいますから)

「新人」を広辞苑で引いてみると「新たに加入した人。新顔」の意味のほかに、「クロマニョン人の類」なんて意味もあります。(たぶん新人とチヤホヤされるのも一瞬で、すぐに歴史の中に埋もれてしまうのでしょう)

ついでに「新人」を現代語裏辞典(筒井康隆著)で引いてみると、「新人・・・いちばん評価されたのはこのときだけ」とのことでした。(グサリと胸に突き刺さりますね。ちなみに「社長」は「キャバレーの太った客」とのことです)

新年度のスタート日にもかかわらず、つまらぬことばかり考えてしまうのは、今日がエイプリルフールだからでしょうか?

気持ちを新たに頑張ろうと思っているのに、しょうもないウソで足元をすくわれてしまうのです。
(国会で、4月1日のウソを禁止するか、新年度のスタートを4月2日に変更するかしてほしいものです。新年度初日がエイプリルフールということについて、いずれ違憲判決が出るに違いありません)

すでに、ネットでauのベッド型スマートフォン新発売の記事に騙されました。

記事によると、ベッド上でしかスマートフォンを使っていないことに気づいた開発者が、いっそベッドをスマートフォンにしてしまえと開発したのがauの「zzzPhoneBed」。

無反発有機ELを搭載したディスプレイにそのまま寝ることができ、ベッド本体が「3Dサラウンドアラーム」の爆音の目覚ましになり、本体をランニングマシンとして利用することにより、ダイエットしながら画面をスクロールする。
夢のようなベッド型スマートフォン。
絶対ほしい!と思ったら、エイプリルフールのウソなのでした。。。

気を取り直して、ビジネス書でも探そうと講談社の電子書籍サイトを覗いたら、「世界初。有機筐体型電子書籍専用端末、発売」の文字が。その端末は「iKA(アイカ)」というイカ型の筐体で(というか生きたイカのボディを利用してる)、写真はどう見ても「イカ」。

カタログには「理想の電子書籍を追い求めたら、すべての答えは「イカ」にありました。」「本の魅力をいかに伝えていくかを考えて、講談社の総力を「一杯」に込めました。」等のコピーがあり、イカ墨による高精細画面や神経節の3.5イカバイトの記憶容量、夜の読書をサポートするフロントライト「ホタルミネーション」を搭載等、魅力的な新機能を各種提供しながら、価格は1,909円と激安!!(但し、生きたイカを使用しているため連続稼動は一週間というのは、ちょっぴり残念)

初回購入特典として「烏賊レシピデータを同梱」とあれば、もう買わずにはいられません。

で、「今すぐ購入」のボタンをポチっと押すと、「講談社を騙ったイカ釣り詐欺にご注意ください」(「イカ釣り」には丁寧に「フィッシング」のルビ入り)と、またまた騙されたのでした。。。

もう騙されないぞ、と次に開いたサイトが「ぐるなびウェディング」。

トップには「ぐるなびウェディング3分でできる「今でしょ婚」サービス開始!?」の文字があり、その下には、「結婚式いつやるか?今でしょ!」を実現する、ぐるなびウェディングの挑戦。とあります。

そして、サイトにはプロポーズから結婚まで3分で実現するというシミュレーション(リアル?)が詳細に記載されていて、そろそろ結婚をしたいなと思っていた私の心を揺り動かしたのでした。

よし、このサービスを利用して結婚しようと決意したその直後、サイトの最後尾にこんな文字が。。。

「以上、2013年のエイプリルフール企画でした!」って、これもウソかい!!

もうネットは信じられないので、テレビジョンのスイッチを入れてみる。すると、絶妙のタイミングでニュース速報が。なんと「長嶋茂雄氏と松井秀樹氏に国民栄誉賞を授与」という、これまた本当っぽいウソをニュース速報で流すとは、日本のマスメディアもしゃれたことをするものです。

ミスターが巨人軍に入団したのが55年前で、ゴジラの背番号が55なので、5月5日までに師弟同時受賞、とな。
「5」で揃えてきましたか。

昔の人は「ウソの五三八(ごさんぱち)」と言って、ウソをつくときの数字は5と3と8が多いと警鐘を鳴らしてくれたのでした。

ゴジラが55、ミスターの現役時代の背番号は3(永久欠番でしたが、「新巨人の星」で復活した星飛雄馬に提供されました。ってどうでもいいですね)、若大将・原監督の現役時代の背番号は8(関係ないけど)。

4月1日はウソばかりで、もうなにも信じられません。

きょうから社会に出る新人もこんなウソばかりの世界で揉まれて大人になっていくのでしょう。真実を見抜く目を養って大きく羽ばたいてほしいものです(後半、棒読み)。

ウソの話ばかり書いて終わるのも気が引けますので、最後に最近読んだ本の中から、新人のみなさんにも役に立ちそうな、あるいは楽しんでいただけそうな本を3冊紹介させていただきます。

一冊目は「プロパガンダ経営大全」(アヘローク・ウーセドス著 東洋経営社刊)。

ボリュームのある経営書ですが、現代進行中の不況と格差社会をコインの裏表に見立てて、ネットワークゲームのコマーシャリズムとマスメディアのマネタイズを発展的に解消していく構造をコインゲーム理論として確立した画期的な書籍です。現代社会を傍観するのに大変参考になるはずです。

二冊目は「【図説】青い目が見た日本の社交」(米良田デーテベス著 淡水パブリッシング刊)。

キブロス人と日本人のハーフの著者が見た日本人の社交に関する奇妙な風習。
「政治家のパーティで初対面の人同士が交わすお辞儀の回数は平均3.8回」「フィンガーボールの水を飲む人は約85人に1人」「日本でもっとも洗練された優れたサービス業はアレ」等々。日本在住の我々が社会生活で気づかないことや、普通と思い込んでいることを、宇宙から盗み見たかのようにイラストと写真とエレガントな文章で表現。ビジネスマナー研修より役に立つかも。

三冊目は「第13会議室の咬ませ犬」(豊前響子著 Hayashiミステリー刊)。

大手商社に入社したばかりの新入社員・吉草(きつそう)が、「開かずの第13会議室」で起こった密室不倫殺人事件と連続放火オカマ事件と政府高官に配られたお食事券の汚職事件を並行して解決するミステリー界初の3D小説。横田順彌の「まだらのひもの」を超えたとの呼び声の高いトリックで、気分転換には最高の一冊です。

というわけで、今月の締めの一句

「おもろうてやがて悲しき四月馬鹿」(なんのこっちゃ)

※著者紹介:アヘローク・ウーセドス(Aherok Usedosu・・・けっしてローマ字を逆に読まないでください)
米良田デーテベス(めらたでーてべす・・・けっして後ろから読まないでください)
豊前響子(ぶぜんきょうこ・・・けっしてアナグラムじゃありません)

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