第62回 大掃除と私

12月になると落ち着かなくなる。

なぜ落ち着かないのか?
それは周りが忙(せわ)しなくなるからだ。
自分はいつも通り平静でいようとしているのに、周りが煽(あお)ってくる。

テレビのニュースや情報番組では、やれ師走だ、やれ年の瀬だ、紅白歌合戦だ、年末特番だと言っている。

そしてコマーシャルは、年賀状は書いたか?、餅はついたか?、忘年会での飲みすぎ食べ過ぎにはこのクスリを飲めよ!とかお節介を焼いてくる。

百貨店や商店街では、歳末商戦が繰り広げられ、福袋の内覧会や予約も始まっている。(クリスマス商戦の激戦は11月中に終了した模様。わずかにクリスマスケーキやケン○ッキーがドップラー効果の残像のように残っている)

町内会では、年末の燃えるゴミは27日、燃えないゴミは28日が最後だと広報車を走らせている。(資源ゴミはいつまでなんだ?そして「資源」なのに「ゴミ」なのは何故だ?)

年末ジャンボ宝くじの発売は20日までで、あと2週間も余裕があるのに、買え買えってうるさく宣伝している。(あの新発売の「年末ジャンボミニ」って、「ジャンボ」なのか?「ミニ」なのか?はっきりしてくれ!)

海老の価格が高騰して、おせち料理の仕出し屋さんが頭を抱えているのはなぜなんだ?

宅配便の車両が街に溢れ出しているのは、お歳暮の配達なのか?それとも倉庫の冷蔵施設が足りないので車内で冷蔵保存してるのか?

気にしだすとキリがない。とにかく12月は忙しなくて落ち着かない。

そんな浮足立ってしまう12月だからこそ、落ち着いてやるべきことがある。

それは「お・お・そ・う・じ」。(○・川・ク・リ・ス・テ・ルみたいに書いちゃいました)

自慢じゃないが、私のToDoリストには「部屋を片付ける」と去年の6月3日から記載されている。1年半も前から「大掃除」のことを考えているとは、我ながら先見の明があると言えましょう(←ズバリ違うでしょう)。

さて、「大掃除」を始めるのあたって、まず大きな段ボール箱を二つ用意する必要がある。

巷で話題の「よろめき整理術」を実行するためだ。(説明しよう。「よろめき整理術」とは、部屋に溢れる捨てられないモノを一つずつ取り上げ、このモノが本当に必要か?ほかのモノに心を奪われ、浮気をしてしまうことはないか?

自分の良心に静かに問いかけてみる整理術のことである。この結果、たいていほかの新しいモノによろめいてしまうので、古いモノは捨てられることになる)

大きな段ボール箱はショッピングセンターに行くと手に入るので、早速出かけてみる。

ほとんどのショッピングセンターのレジを抜けたあたりに、折りたたまれた段ボール箱が置いてあり、買い物をした人は自由に利用できるようになっている。

買い物せずに黙って持ち帰ってもいいのだが、小心者の私としては、穏便に事を進めるために買い物をすることにする。

特に必要なものはない。
こういうときは、まず牛乳を買う。
なぜなら、牛乳は、つい買うのを忘れてしまいがちで、人に頼まれることも多い物ランキングの常に上位に入っているからだ。(おかげでいつも冷蔵庫は牛乳で溢れている)

そして、次に卵を買う。これもいつも買うけど、乱暴に扱うので、家に着くまでに10個中3個は割れて、歩留まり7割にしかならないからだ。(おかげでいつも買い物のあとは卵焼きを食べることになる)

それから、もやし。もやしは安くて栄養価の高いお得な食品だからだ。「もやしっ子」という褒め言葉もあるくらいだ。
もやしを買ったら、豚ひき肉も買って、きょうの夕飯のおかずはもやしの肉みそ炒めに決定だ。

夕飯のおかずが決まったところで、一安心。
ショッピングセンター内の散髪屋さんに向かう。

どうしても年末近くなると、新年をさっぱりとした髪の毛で迎えようとする人たちで散髪屋さんは混雑するのだ。
それを避けて早めに散髪をするのも12月を平静に過ごすコツの一つである。

行ってみると、予想通り空いている。
理容師さんに導かれるままに椅子に腰を掛け「いつものようにお願いします」と言ってみる。

案の定、「お客さん、はじめてですよね」と理容師さんは困惑気味だ。
そんなときは怯まずに、「大将のいつもの仕事振りを見たくてね。ハッハッハ」と言えればいいのだが、

小心者の私は慌てて「あ、適当に刈り上げてください」と言って、必要以上に毛髪を失うこととなる(髪の毛のドキドキ整理術)。

隣に座った紳士が「横と後ろは2センチ、前髪は1センチ切って、もみあげは耳たぶの横に揃えて」などと的確に指示しているのを聞くと、抜かりはないが杓子定規な人生を送ってきたのだなぁ、と思ったりするのも年の瀬です。

頭がさっぱりしたところで、帰宅するとやっぱり卵は3個割れていたので(たぶん散髪で洗髪台の角にぶつけたときに割れたと思われる)、きょうは卵焼きの代わりにポーチドエッグをつくることにする。

で、ポーチドエッグの作り方を調べるためにパソコンのある部屋に行くと、部屋の中があまりに乱雑だ。

しょうがないので、掃除をすることにする。
なんといっても12月は「大掃除」シーズンだ。まず大きな段ボール箱を二つ用意して・・・。(お、このくだり見たことある。デジャヴか?)

それにしても何故、部屋が汚いのか?
もちろん「掃除をしないから」という解答でも、部分点で5点はもらえるが、正しくは「整理整頓をしないのにモノを買うから」。(これで9点もらえる。マイナス1点は反省の色が見えないから)

今年一年を振り返ってみると、捨てられないものを結構たくさん買っている。

捨てられない筆頭は本だ。最近ようやく雑誌類を捨てるのにあまり躊躇しなくなったが、単行本や文庫本は相変わらず捨てられない。ブック○フに持って行ったこともない。

今年1月から11月までに買った本(雑誌を除く)は178冊で、そのうち読んだ本が51冊。(年々読書量は落ちていくorz)

読了率2割8分6厘では、メジャーの打者としては通用しない。ポスティング制度も揉めるわけだ。

しかし、本は読んでも読まなくてもその数だけ増えていく。本棚にスペースはないので、床に直置きされた本がニョキニョキと塔をなすことになり、ただでさえ狭い部屋の中の動線がドンドン失われていくのだ。

次に買ってしまうものが、PC関連の小物や電子機器類だ。
今年はテレビ関連のモノをいくつか買ってしまった。
以前から言っているが、私はテレビは好きではない。あまり見ることはない。

でも、どんな番組をやっているかは気にかかる。
それで地デジ移行前までは、某社のXVIDEO Stationという機器でHDDに24時間すべての地上波を録画していた。

約3週間分の地上波全局の放送が手元にあると、決まった時間にテレビのスイッチを入れることがなくなった。好きな時間に話題のテレビ番組を早送りで流し見をして、内容を確認できるからだ。

しかし、3週間はあっという間で、見る前に新しい番組が上書きされることも起こりうる。

そこで消える前に番組をDVDに移すことになる。実際は見もしないDVDがウン百枚、部屋の片隅に積まれることになる。

地デジに移行してからは、24時間録画の悪夢から解放されて、しばらく平和な日々を送っていたが、今年になって地上波のデジタル放送全局を24時間録画する安価な機器が現れた(前からあったけど、私は気づかなかっただけだが)。

ワンセグ映像ながら3か月分録画できるというガラポンTVだ。
テレビは好きではないが、情報入手にはまだまだ利用価値が高い。それで6月のある日の深夜にポチッとしてしまった。

しばらくこの機器で地上波を楽しんで、じゃなくて、チェックしていたが、衛星放送のチェックもする必要があることに気付いた。

さすがに全局すべての時間を網羅するのは不可能だ。すでに2チャンネル同時録画の機器は居間にあるから、追加で自分の部屋に一台あれば、多少は便利になるかもしれない。

それで10月のとある深夜に某社のナスネをポチッとした。これはスマホから録画予約ができて、家庭内LANでPCやスマホで録画を視聴できるすぐれものだ。でも、折角なので録画した衛星放送はPCじゃなくて、部屋のテレビで見たい。

それで11月のとある深夜に某社のPlaystation VITA TVをポチッとした。この機器があれば、ナスネで録画したものをLAN経由でテレビで見られるのみならず、衛星放送のアンテナのない部屋でも衛星放送の視聴が可能になるのだ。

そして、テレビが好きではない私でも多少テレビを見ることになってしまったのでした。

テレビ関連の機器だけでなく、今年は超小型リモコンヘリコプター・ナノファルコンをポチっとしたし(購入後、3回飛行して墜落破損(涙))、増え続けるiPhoneを音楽プレーヤーとして活用するためのスピーカーシステムもポチッとした。

ほかにもたくさん捨てられないものを買い続けているが、考えてみると10月以降に購入してるものが多い。

某NHKの「○まちゃん」の放映が終わった時期と一致している。
もしかして、これが「○まロス」?

こうして今年も部屋は掃除されることもなく、ゴミ屋敷と化していくのであった(部屋だから「ゴミ部屋」か?)。

それでも12月は「大掃除」をしなければ、いけないのだ。
自分の部屋の掃除ができないのなら、「大掃除」の対象は「居間でしょ」。
(なんのこっちゃ)

というわけで、居間の大掃除をしつつ、今年も暮れていくのでした。
皆様、よいお年を。って、まだ早いっ。

やはり落ち着かないですね、12月は。

201312f

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