第82回 よおく、知りたい!!

9月になりました。
毎度、言ってますが、早いですね。月日が経つのは。

タイのバンコクへ行ったのは6月のことでした。
その時のエピソードを書くのも今更と言う気もしますが、いくつかご紹介をしましょう。

と、バンコクのことを思い出そうとしていたのは、8月の末、奥尻島へ向かう途中のことでした。

奥尻島は北海道の南西部にある周囲67kmほどの島で、北方領土を除くと北海道にある2番目に大きな島、とウィキペディアには書いてあります。
なぜ、そんな離島に向かっているのかというと、毎年恒例の中年おじさん(畳語?)のオフ会の旅なのでした。

奥尻島へ行く方法は4つあります。
1つは空路で函館から奥尻空港へ、2つめは、せたな町からフェリーで渡航、3つめは江差町からフェリーで渡航、4つめは自力で泳いで。(泳いで行く人はあまりいないようですが)

今回はせたな町からフェリーで渡りました。
そのフェリーに乗る前に、せたな町の近くの島牧町にある「賀老の滝」へ寄り道をしました。

賀老の滝は、高さ70m、幅35mの勇壮な滝で「日本の滝百選」にも選ばれています(とウィキペディアにも書いています)。
滝と言えば、パワースポットです。パワーを貰うべく、山の中深く分け入って行ったわけですが、車で近くまで行けるのかと軽い気持ちで行ったのは大間違いでした。
駐車場から案内の→に従って、ヒグマの出そうな道を500mほど歩くと下りの階段(らしきもの)がありました。
そこを下りだしたのですが、九十九折りの細道を下っても下っても、目的の場所に到達しません。

平地を歩くスニーカーに軽装で、軽い気持ちでおじさん仲間と冗談を言いながら、下り出したのに5分もしないうちに、みんな無口になり、汗だくで、表情からは笑いは消えています。唯一笑っているのはヒザだけです。

永遠に続くかと思われた下りがようやく終わって、滝特有の音が聞こえるほうに歩いて行くと、ありました!立派な滝が。
なるほど、確かに素晴らしい景色です。
でも、誰がこんな山奥の滝を見つけたのでしょう?
後で知ったのですが、下りの降り口から滝が見える底までの高低差は150mです。

平地で150mならば、15秒ほどで走れる距離ですが(ボルトなら)、上下の150mは滑落でもしない限り、それなりの時間がかかります。

そして、帰り道は、来た道を登るしかないのです。エレベーターやエスカレーターを探しているおじさんもいましたが、もちろんそんな文明の利器はありません。

記憶がなくなるほど辛い思いをして、高低差150mを登っていきました。
最初は7人で登り出したのですが、そのきつさに耐えかねて、立ち止まったり、細い道の端に座ったりしているうちにバラバラになっていました。

上から降りてくる人と数人すれ違いましたが、中にひとり若い女性が白いフワッとしたワンピースにサンダルのようなものを履いて降りてきたのには、驚きました。

「その格好じゃ大変だから、引き返した方がいいよ」と言おうと思っているうちにその女性は音もなく降りて行ってしまいました。
若い人との体力差を痛感していると、今度は若い色黒の男性が降りてきました。

あれ、どこかで見たことがあるな、と思ったら、バンコク旅行のときのガイドさんに似ていたのです。

バンコクのガイドさんは日本語がペラペラで、メガネをかけたその顔は日本人と変わりなく、思わず「日本のかたですよね?」と聞いたくらいです。

すると彼は、「日本に3年間住んでました。ポンと言います」「ポン?」「はい、名前がポンです」

名前を聞くまで、タイ人とはわかりませんでした。「名はタイを表す」、昔の人はうまいことを言ったモノです。

そんな妄想に導かれて、ようやく出発点に戻ってきました。
そこで合流したおじさん仲間に、途中で軽装の若い女性とすれ違ったね、と言うと、なんと8人のうちその女性を見たのは2人しかいませんでした。。。
(不思議ですよね?パワースポットなので、こんなことが起こるのでしょうか?7人で登り始めたのに、8人になってるなんて)

せたな町から奥尻島に渡るフェリーは14時発で一日一便です。
ということで、その日はせたな町の民宿に泊まりました。
せたな町も海に面していますから、夕食は海鮮づくしです。とれたてで触手が動いているウニに、刺身に焼き魚に煮魚に天ぷらに・・・もう食べ尽くせません。

バンコクで食べたプーニムパッポンカリーに匹敵、いやそれ以上の美味しさです。
(プーニムパッポンカリーは日本人観光客が好むタイ料理で、ソフトクラブシェルをふわふわな卵と炒め併せてカレー味をつけたものです。ソフトクラブシェルは渡り蟹を脱皮した瞬間に捕まえて冷凍保存するとかしないとか、脱皮の瞬間を監視する仕事があるとかないとか。世の中、よくわからないことばかりです)

翌日はせたな町にある太田山神社に参拝に行こうということで、途中までついていきましたが、よくよく聞くと太田山神社は日本で一番参拝するのが危険な神社、標高600mの太田山の中腹にあって、その参道はすべて斜度40度以上、最後の7mは垂直の壁に張り付いて登っていくとのこと。

前日の賀老の滝より厳しい行程で、パワースポットではあるけれど、適当な気持ちで登り始めると途中でスポッと落ちて、パワーを失いかねないので、行くのはやめて、近くの北ひやま温泉で、まったりと過ごしました。

そして、フェリーの乗船時間となって、いよいよ奥尻島へ向かいます。
風は強いものの雲ひとつない快晴です。

このあと、フェリー船上に襲い来るカモメと戦ったり、宇宙人のような奥尻島のゆるキャラ「うにまる君」を無視したり、テレビでお馴染みの大食い女性と遭遇したり、奥尻ワイナリーで試飲責めにあったり、ウニとアワビの総攻撃にあったりするのですが、その模様は次回に続きます。。。

。。。to be inconvenienced

※「よおく、知りたい!」は「よ!奥尻・タイ」みたいな、もやっとした感じです。

201509f

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