小沢健二「天気読み」(小沢健二)93東芝EMI

もう15年前の作品となる小沢健二の1stソロアルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』。

このアルバムの聴後感は、小説の読後感と似ているかもしれません。

当時20代前半の小沢が何を感じ、考えていたのか、アルバム全体を通してじんわりと伝わり、そのニュアンスが聴いたあと2~3日は、心の中にうっすらとですが、ズシンと残っている。もう1回、2回と聴くごとにその「ズシン」はしっかりと心に根を張り、精神のどこかに確実に作用してきます。

「天気読み」はホーンのイントロに導かれ、ベースがうねり、ドラムがタイトな2曲目。

朴訥なヴォーカルも、人懐こいメロディーも、シンプルなアンサンブルも太いリズムも、内へ内へ向かい、その内向性が決して自己満足に陥らずきっちりポップに着地しています。

決して華やかではない、地味な曲です。
しかし、芯は太く、力強いポジティブさをカッチリと内包しています。