Swing Out Sister「Surrender」(Connell/Drewery/Jackson)87Mercury
ポップミュージックの歴史のなかで最も洗練されていたのは、80年代中盤の英国だと思います。
パンクから派生したニューウェイブがアンチ米国の気分を漂わせる中、ソウル~ファンク~ヒップホップのリズムをポップに咀嚼し、打ち込み系のテクノロジーもようやくこなれて、聴ける音色を出せるようになってきた。
アンダーグラウンドとポップが通低した非米国テイストを武器にして、日米のセールスをも獲得した代表格がスウィングアウトシスターです。
デビューアルバム『It’s Better To Travel』収録の「Surrender」は12インチシングルのStuff Gun Mixヴァージョンが白眉。
無機的なシンセベースに導かれるミディアムテンポのタイトなドラム。ノスタルジックに印象的な間奏のトランペットとピアノ。低音と高音を伸びやかに行き来しながら、英国的な哀愁をうっすら漂わせるコリーンのヴォーカル。
洗練され、ポップな音楽。そこそこファンキーだけどヒートアップはしない。あくまでクール。そして英国的なメランコリーを少々。そんな空気が当時のロンドンに存在したのでしょう。