Morrissey 「Late Night, Maudlin Street」 (Morrissey/Street) 88EMI

ザ・スミス解散直後のモリッシーの1stソロアルバム『Viva Hate』収録。
当時、発売と同時に買って聴いた印象は正直言って「悪くはないんだけど薄いな。無難な線をついたな」でした。

ザ・スミスの魅力は、ジョニーマーのフォーキーなのに攻撃的かつリリカルなギターワークとモリッシーのひねくれた英国的「弱さ」の存在感でしたが、『Viva Hate』はマーの不在によって、モリッシーの存在感まで薄まった感触がしたのです。しかし、曲そのものは悪くはなかった。

それから19年。今聴いてみると、妙に心が安らぐ。
ザ・スミスの音楽、は世界に捨て身で挑戦して、聴き手の感情を逆なでする種類のものでしたが、『Viva Hate』はそういった表象を残存しつつも、モリッシーの素直な人間性が少し滲んできているような気がします。

クラプトン、マッカートニー、ポールウェラー、キースリチャーズ。英国ロックのグレイトたちのソロ1Stアルバムが決して名盤ではなく、パーソナルな親しみの持てる「好盤」でした。『Viva Hate』もそんな印象を最近になって持てるようになりました。

「Late Night, Maudlin Street」の優しさ、哀しさは決して自虐的でも露悪的でもなかったのです。

http://www.morrisseymusic.com/