第11回 暮らすように滞在するヨーロッパ ~絶景!スイス編

今回はイタリア・ミラノからスイスへ。

ミラノからは特急列車に乗って向かった。日本でいうロマンスカー的な電車である。Airbnbを朝の7時ぐらいに出発しトラムでミラノ中央駅までのんびり向かった。ミラノ中央駅は中世の建物で、これが駅なのかと思うくらい立派な建物だったが、スリが多いことでも有名なので早朝から超警戒モードで向かった。30分以上前に到着したものの出発10分前くらいにどこのホームに電車が来るか表示される仕組み(空港にある出発案内と同様)で、しばらく通路で待機となった。「Delay」と表示されているものもあったりしてドキドキだった。

電車はミラノ中央駅からBingという街で乗り換えをして、目的地ツェルマットにトータル4時間ほどかけて到着した。途中マッジョーレ湖のすぐそばを通ったり、山の中を登っていくような線路もあり、どこもかしこも絶景だらけだった。ちなみにこの電車移動、Bingまではイタリアの列車、Bingからはスイスの列車でチケットはネットで分けて購入した。電車での国境越え、ヨーロッパとはいえスイスはEU非加盟国なので何か手続きが必要な気がしたが、意外とあっさりツェルマットまで来れてよかった。

ツェルマットの駅を降りると標高が少し高いせいか空気がとても澄んでいた。街はお店が立ち並ぶエリアもあるが、基本は山に囲まれていて、自然がすぐそばに感じられる気持ちの良い場所だった。宿は駅からすぐのところにあり、ミニキッチンのついたお部屋だ。やはり個室は落ち着く。しかも朝食までついていて最高だった。

初日はまず街中をブラブラして散歩をしつつ、ケーブルカーの乗り場などを下見した。恒例となったスーパーの物価調査ではその高さに驚いた。パンも生鮮食品もイタリアに比べるとやや高め、日本人が多いからなのか日本食も売っていたがおにぎり1個が750円ととても手が出なかった。さすがにパスタもやや飽きたので、スーパーで見つけた出前一丁シリーズと共に滞在を乗り切った。チキンラーメン、セサミラーメン、焼きそばとスーパーで少しカット野菜を買って栄養補給した。スイスでもそんな食事だったのかと思われそうだが、名物のチーズフォンデュを外で食べるなら一人4,000円は覚悟しなくてはならず、今回の旅では断念せざるを得なかった。ちなみに出前一丁は安定した美味しさだったが、ホテルの朝食が一番美味しかった。生野菜に卵料理、ヨーグルト、フルーツ、ごく普通のホテルのモーニングビュッフェが最高の贅沢だった。

ツェルマットではゴルナーグラート展望台とグレイシャーパラダイスを2日に分けて訪れた。言うまでもないが2つの場所とも本当に最高の場所だった。ケーブルカーで上がっていくゴルナーグラート展望台とリフトのようなものを乗り継いで向かうグレイシャーパラダイス。正直今回来るには予算オーバーな場所だったが、それでも本当に来てよかったと思った。交通チケットがほぼ半額になるハーフフェアカードを活用しても2人で4万円くらいかかった。チーズフォンデュにたどりつかないわけである。

訪れたのは6月だったが、展望台やグレイシャーパラダイスの周辺は雪がまだ残っていてアルプスの山々を見渡すことができ、絶景がすぐそばに見えた。自然の雄大さを肌に感じた瞬間だった。印象的だったのは、グレイシャーパラダイスの途中の展望台で聞こえてきたインドっぽい音楽だ。恐らくインド出身と思われる人たちが雪を見てテンションが上がったようで踊りながら盛り上がっていた。旅の最初のインドを思い出したが、たしかに雪は珍しいんだろうなぁと微笑ましく感じた。

山を見に行く以外の時間は街中の寝転がれるベンチでマッターホルンを眺めたり、学校の授業なのか部活なのかテニスをやってる学生の様子を見学したり、山肌に放牧される羊たちを見学しに行ったりしてのんびり過ごした。マッターホルンが見られるベンチは最高の場所で、滞在中何度も訪れ、その絶景に魅了され過ぎて動けなくなったことがしばしばあった。

ちなみに羊の放牧見学はインスタグラムのフォロワーの旅人が教えてくれた。旅の最中、家族への報告も兼ねて上げていたインスタとは別で使っていた旅人向けアカウントの方で『朝、外に出たら羊の鳴き声がした』とストーリーをあげたら教えてくれたのである。SNSの繋がりだけで最新の情報が入ってくる、とってもいい時代になったものだ。数が多いからかメェ〜というよりモォ〜に聞こえたが、羊はアルプスの山々にとってもマッチしていて、ずっと見ていられた。

スイスは物価を抜きにすれば最高で、何度でも訪れたくなる場所だった。自然のスケールの大きさが本当に桁違いなのである。スイスに後ろ髪を引かれつつ私達は次なる目的地イギリス・ロンドンへと向かう。