第12回 暮らすように滞在するヨーロッパ ~イギリス編

今回はスイスからイギリスへ。

ツェルマットからはジュネーブの空港まで電車移動だったが、チケットの確認をしに来た乗務員さんに「このチケットではダメだ」と言われ結局16,000円程その場で払うことになった。アプリで事前購入したチケットには時間の記載はあったものの他の時間でも乗れるように読めた(英語力…)ので、1本後の列車に乗ったのである。それが間違いで時間指定のチケットだったというオチである。節約旅を心がけたツェルマット滞在が吹き飛ぶ痛い出費だった。

飛行機で1時間程でジュネーブからロンドンに到着し、電車とバスを乗り継いでAirbnbまで向かった。二階建てのロンドンバスを見かけたり、様々な人種の人が街を行きかっていたり、スーツを着ているビジネスマンも多く見かけたりしてバスからの車窓もとっても楽しめた。滞在先のAirbnbは少し郊外の住宅街にあったので、空港からは1時間半くらいかかる長旅だった。安さ優先なので致し方ない。

英国風のお庭もある一軒家が今回の滞在先だった。部屋の中もカントリー調に見えつつモダンな雰囲気もありとってもおしゃれな雰囲気だった。到着した日は夕飯を食べるくらいで終わってしまったが、残り2日間はロンドン市内観光に街中を歩き回った。ロンドンブリッジやビッグベン、バッキンガム宮殿など歴史的建造物や大英博物館、ナショナルギャラリー、ロンドン自然史博物館など無料開放している施設、アビーロードなどあちこち回った。

どれも素晴らしかったのだが、ここでちょっとした喧嘩をして険悪な雰囲気がしばらく漂った。

夫婦で世界一周旅というと、「喧嘩しないの?」とか「ずっと一緒で二人きりとかムリ…」とよく言われるが、旅をしてみると逆に仲間はパートナーしかおらず、喧嘩したところで自分が困ることもわかっているので、意外と大きな喧嘩もせずにここまで来ていた。が、たしかロンドンブリッジを観た時についポロっとでた一言が夫の怒りを買ってしまった。お互い疲れも溜まってきていて、24時間一緒なので、多少思ったこともこらえていた部分もあったのだろう。丸1日は重苦しい空気が流れつつもロンドンの街並みに救われた気がした。

さて、ロンドンの食事について。ロンドンと言えば食事はおいしくないというイメージを持っている人も多いと思うが、美味しいものもある。バラマーケットで食べたパエリアは、ロンドン名物ではないものの魚介の味がしっかりしみ込んでいて食べ応えもあり、美味しかった。3日目に訪れた別の市場のフードコートで食べたステーキやハンバーガーも美味しかった。だが、名物フィッシュ&チップスは微妙だった。基本的に白身魚のフライもポテトフライも大好物のはずなのだが、残念ながら味がまったくなかった。食べ終えるころにこれは塩を振ったり、マヨネーズやケチャップをかけて自分なりに味付けを楽しんで食べるものなのかもしれないと気がついた。バラマーケットにある全国1位のフィッシュ&チップス店ということもあり期待しすぎてしまったのかもしれない。

ちなみに一番ロンドンで美味しかったのは、Airbnbの近くにあった中華のテイクアウトの店である。Airbnbの近くは住宅街で、小さなコンビニ風のお店とカフェしかなかったが、中華のテイクアウトはお客さんがいつもひっきりなしでとても賑わっていた。一人2,000円くらいはかかるロンドンの街中での食事だったが、ここのテイクアウトは二人で2,000円で収まりとっても助かった。チョウメンという焼きそばみたいなものがおいしく、結果二日連続でこのお店に通った。お店の常連さんも二日連続で来ていてばったり会って声をかけてもらったりして、ちょっとこの町で生活している感じが味わえた。

Airbnbのホストも本当にいい人だった。初日着いたときに翌日洗濯機を貸してほしいと伝えたところ、洗濯機の使い方が丁寧に書かれたメモとともにどこに入れればいいのかまで丁寧に書いて準備してくれていた。洗剤や冷蔵庫の食材からもオーガニック、エコナチュラルな暮らしを実践しているのが伺えて、私が同じ年代になった時にこんな丁寧な暮らしが出来るのだろうか、と思った。憧れる年の重ね方である。

そんなホストに世界一周をしていて、次はアイスランドに行くと言ったら、「物価は高いところだけど、素晴らしいじゃない!!」と驚かれたのが印象的だった。そのリアクションを見て、あらためて貴重な体験をしているんだなと感じた。ロンドンはまたきっと来れると思いながら、次なる目的地アイスランドへ向かった。