第13回 暮らすように滞在するヨーロッパ ~アイスランド・ドイツ編

イギリスのロンドンを後にした私達は、飛行機で3時間ほど離れたアイスランドへ向かった。アイスランドは自然の豊かな場所というイメージで、日本からは直行便がないこともあり、おそらくこの機会を逃したらなかなか行くことがない場所なのでは、と思い物価の高さは気になりつつも訪れることにした。

6月の前半だったが、アイスランドは気温が9度程しかなく、ロンドンとの差が激しかった。ロンドンでは、ロンドンらしくない晴天と暑さで薄着で過ごしていたが、一気に冬に逆戻りだった。たしかによく考えたら北極がすぐそばなので、寒いはずである。

アイスランドでは、物価が高いから自炊生活と思って宿を予約したが、部屋に入るとキッチンがなかった。予約サイトをよく見なおしてみるとたしかになく、勘違いしたようだ。これくらいの小さい失敗は旅の間何度も経験した。それでも共用のキッチンのようなスペースがあり、トースターとお皿、コーヒーとホットチョコレートが飲み放題で滞在中に何度も利用した。ちなみにシャワーはお湯を出すと硫黄が含まれていて、温泉の匂いがした。日本から遠く離れた場所でまさかシャワーから箱根の大涌谷で嗅ぐあの匂いがするとは思ってもいなかった。

アイスランドは4泊の滞在で、バスツアーを活用しながら島内を観光した。ダイナミックな自然があちらこちらに広がっていて、滝や間欠泉、火山灰の砂浜など自然を肌に感じられるスポットをたくさん回った。特に滝の裏側に入ることができるセリャラントスフォスの滝やグトルフォスの滝と呼ばれる巨大な滝は圧巻だった。人生初の氷河も観ることが出来た。自然を肌に感じたい人にはお勧めの場所である。

また、ブルーラグーンと呼ばれる、温泉も訪れた。ハンガリーで訪れたセーチェーニ温泉よりもさらに温泉らしく、乳白色のお湯である。

水着を着て入るところはやはり海外だなという感じがするが、温度も場所によっては日本の温泉に近いくらい温かさも感じられた。外気温が6度程しかない中で大自然に囲まれながら入るのはとても最高だった。しかもお酒も飲みながら入ることが出来る。

日本の温泉はいろいろと制限が多いが、海外からの観光客が増えていることを考えると日本の温泉地にもこういう場所があったらより入りやすいだろうなと思いつつ、日本文化という意味ではそれを守っていくのも大事なことなのかなと感じた。

ちなみにアイスランドでの食事はスーパーと外食だったが、なかなか高かった。ハンバーガーのセットが二人で6,000円くらいした。
アメリカの物価が高いとこの時も言われていたが、大差ないくらいの物価の高さだった。そんな中でもたまたまスーパーの閉店間際に訪れて値引きをしていて、お寿司を食べれたのはとてもラッキーだった。この旅で食べたお寿司の中で一番おいしいサーモン寿司だった。

アイスランドは幸福度が高い国としても有名であるが、スーパーが閉まったのは確か18時頃だったり、首都レイキャビクの中心街にいってもあまり娯楽施設のようなものはなく、街自体がとてもコンパクトで、主に観光客向けのお店が少し並んでいる程度だった。便利さよりも家庭や日々の暮らしを重んじる国なのかなと感じた。普段東京で暮らしていると便利さを快適に感じるものの、大自然に囲まれて多少の不便さがある暮らしも良いものだなと思った。

4泊の滞在中、アイスランドはずっと白夜だった。人生で初めての経験だったが、不思議だった。深夜0時を回っても外は明るく、カーテンをしないと寝られない。これもここならではの経験なので、季節にもよると思うがぜひ体験してみてほしい。夏の時期は白夜、冬の時期はオーロラが見えるらしい。アイスランドで心残りなのはオーロラが見える時期に行けなかったことなので、また機会を改めてぜひ訪れたい。

アイスランドを4日間満喫した私達は1回目の旅の最終目的地であるトルコへ。
トルコへはドイツのフランクフルトとシュトゥットガルトを経由して向かった。二つの街ともあまりのんびり滞在している余裕はなく、移動のみだった。

同じドイツの街でもだいぶ様子は異なっていて、フランクフルトはやや治安が悪そうな雰囲気があったが、シュトゥットガルトは平和な街だった。フランクフルトは夜に到着して繁華街だったこともあるのか、街中に女性がたくさん立っていたり、酔っぱらった人たちがやや大声で叫んでいたりと、なかなか危なそうな空気だった。一方でシュトゥットガルトは街中もとてもきれいで緑にあふれ、おしゃれな雰囲気の図書館があり、ヨーロッパの郊外の街という感じだった。同じドイツでも本当に印象の違う街である。ちなみにこの二つの街をなぜ経由したかと言えば、そのほうが航空券が安かったから。時間に余裕のあるこの旅は本当によく乗り継ぎをしたものだ。そして私たちはイスタンブールへと向かった。トルコ10日間の滞在についてはまた次回。