第17回 トラブルは旅の醍醐味?! ~ニュージーランド編

「もう振替できているんだからいいじゃない!証明書は出せない!」

メルボルンのカウンターでイライラした航空会社の人にそう告げられた。「いや、欠航は欠航でしょう」と押し問答をして粘ったが結局その場で証明書はもらえなかった。
欠航の原因はスタッフの人員不足らしい。完全に航空会社の問題なのに…。英語でクレームを言いきれず、悔しかった。

メルボルンから23時55分発のフライトでニュージーランドのクライストチャーチへ向かい、そこからバスに3時間ほど乗って世界で一番きれいに星が見えるテカポという街にお昼頃到着予定だった。が、チェックイン開始の瞬間、フライト案内板に表示されたのは「CANCELLED」の文字。

頭が真っ白になったが、航空会社のサイトとにらめっこして振替便の表示が出たので、23時45分発のオークランド経由クライストチャーチ行きの便に振り替えた。10分早い出発になったが乗り継ぎなのでテカポに向かうバスには間に合わずキャンセル、テカポの宿も1泊はキャンセル。クライストチャーチに1泊して翌日バスでテカポに向かうことになった。

フライト欠航が原因なので海外旅行保険でカバーされる想定で、クライストチャーチの宿も少しいいホテルを選んだ。その保険の補償を適用するための欠航証明書をもらいにカウンターで言われたのが冒頭の一言だ。

日本だったらもう少し客の思いに寄り添った対応をしてくれそうだが、ここはオーストラリア。そして利用したのはLCC。

「こんなこともあるさぁ」なんて思いながらクライストチャーチに朝9時過ぎごろ到着すると、気温は5℃の極寒だった。荷物を下ろしにホテルに向かうとありがたいことにチェックインさせてくれて、しかもアップグレードのおまけつきだった。テンションが下がっていたが、良いこともあるもんだと気持ちを切り替える。

クライストチャーチは元々テカポの後に滞在予定だったので、とりあえず1泊は疲れをとることに集中して、のんびり過ごした。長い旅では肉体的な疲れを溜めないこととストレスを溜めずに自分で自分の機嫌を取ることが実は重要だ。

翌日バスで3時間程かけてテカポへ向かった。
車窓からは広大な牧場と畑、雪山を見ることができて飽きることもなくあっという間に到着した。水色の湖と山に囲まれたテカポの街は絵に描いたような絶景でしばらくぼーっと眺めていられた。結局テカポは2泊の滞在となったが、小さい街なので十分楽しめた。

街中をぶらぶらしたり、マウントジョン天文台という小高い場所にあるところまでハイキングをしたりして、夜は星空観察を楽しんだ。

街全体がのんびりとしていて、歩いていると野生のウサギに出会うこともあった。ちなみに宿泊先ではニワトリとビッグバニーと呼ばれる巨大なウサギを飼っていて、たまに柵を乗り越えてニワトリが脱走していた。実にのどかだ。夜の星空観察も一面星が広がっていて、南十字星と天の川が肉眼ではっきり見えて絶景だった。

クライストチャーチに戻ってからは東日本大震災の一ヶ月前に起きた地震で倒壊した大聖堂の代わりとして紙管で作られた仮設の大聖堂を訪れた。

とても紙でできているとは思えない作りで、かつモダンで優しいステンドグラスの色合いが復興の象徴となっているのも納得である。

日本人の建築家が設計したそうで同じ日本人として誇らしかった。

また、それ以外にもケーブルカーで登れる展望台があると聞いて向かった。

結局節約のため1時間くらい山を登り、途中駅で買った絶品サンドイッチを山頂で食べるという冬のピクニックとなった。展望台にはなぜかたどり着けなかったが、頂上からは街全体が見渡せて海も見えて、自然に囲まれた素晴らしい場所だった。

ちなみに食の方はテカポでは自炊メイン、クライストチャーチではタイ料理のキッチンカーやスーパーで購入、駅のサンドイッチで食いつないだ。お店がだいたい20時くらいで閉まってしまうのと観光客向けの所はお財布の問題で手が出なかった。

クライストチャーチは、南島の中心的な都市でありながらも自然が近くにありゆったり過ごせるのがいい。オーストラリアより少し物価が安いのも利点だ。またゆっくり訪れたい。

ニュージーランドの次はアメリカに向かった。

クライストチャーチ→ブリスベン→ロサンゼルス→ラスベガスと向かう予定だったが、ブリスベン発のフライトが4時間半遅延。自動的にロサンゼルス発ラスベガス行きのフライトにも乗れなかった。1週間以内に飛行機の遅延、欠航に見舞われ散々だった。

この辺の行程は、日本に一時帰国中余裕があった中で、練りに練った。ただ、いくら練ったとしても、思い通りに行かないことはある。逆に行き当たりばったりでも上手くいくときは上手くいく。旅の醍醐味はこういうところなのかもしれない。

次回は疲れ果ててたどり着いたアメリカ編。