第20回 出会いこそ旅の醍醐味~ボリビア編
2週間近く滞在したクスコを出たのは22時半。向かったのはボリビア、世界一高い場所にある首都ラパス。
ラパスには翌日の13時半に着いた。2時間遅れで14時間のバス旅だった。
着いた日の21時のバスでウユニに向かったので、結果バス車中泊は2連泊となった。
本当はラパスにも宿泊したかったが、後の予定と予算を鑑みた結果そのようなルートになった。ただ、南米のバスは座席が飛行機のビジネスクラスのようにゆったりしていて、座席も160度程倒れる仕様になっているので快適だ。とはいってもここは南米。調べているとデサグアデーロという街では国境警察官により手荷物や貴重品の盗難があるという記事やバス車内で盗難に遭ったという記事も多数見たので、クスコの長期滞在でだいぶ緩んだ気持ちを引き締めなおして向かった。
ラパスは10時間ほどの滞在だったが、せっかく来たので月の谷という月面のような不思議な光景が広がる場所を訪れた。まさに月面にいるのか、と思うくらい不思議な光景が広がっていた。
中心街に戻ってからはラパス名物のロープウェイにも乗った。
街がすり鉢状のつくりになっていて、いくつもロープウェイが走っている。地元民の生活の足となっているが、ロープウェイから見える景色と夜景が有名でせっかくならぜひ見てみたいと思っていたのだ。特に夜景が絶景で暗闇にオレンジ色の灯りが無数に広がり、上から見ると絵本の世界にいるような幻想的な景色が広がる光景は素晴らしかった。
あっという間のラパス滞在を終え、またバスで9時間揺られてウユニの街に朝7時に到着した。
標高3,700mのウユニの朝は極寒だった。街は全体的に砂と砂利っぽい道で野良犬が気持ちよさそうに寝ていた。南米はどこも野良犬が多く、人懐っこくくっついてきたかと思いきや、いきなり吠えたりする。犬は好きなのだが、動物を飼った経験がない私達は狂犬病リスクにビビりながら、筋肉質の「ザ・野犬」という感じの犬達からなるべく離れた道を選びながらホテルへ向かった。ホテルは早朝にもかかわらずチェックインさせてくれ、暖房をしっかり効かせて、温かいシャワーも準備してくれていた。ウユニではホテルによってはお湯のシャワーが出ない所もあるので冷え切った体にはとてもありがたかった。
ウユニに来た目的はもちろんウユニ塩湖を見たかったから。テレビで観て一生に一度は行ってみたいと思っていた場所だった。街から多数のツアーが出ており、何軒か話を聞いた結果、日本人に人気の「ホダカ」というツアー会社に決めた。窓口のスタッフが日本語を話せるのは驚きだった。
私達が参加したのはサンセットツアー。15時頃に街を出発して塩湖に向かった。
途中から真っ白の景色が続き、ウユニ塩湖の上をひたすら車で走った。そこから日没まで湖の上で過ごしたが、湖面に映る景色がどこを切り取っても絶景で、この旅で一番写真を撮った。
時期的には乾季なので湖面に水が張るか怪しかったが、前日に少し雨が降ったようでラッキーなことに少し水が張って鏡張りの景色を観ることができた。この鏡張りをずっと見てみたかったのだ。夕焼けも星空もまさに絶景なので、ぜひ写真を見てほしい。星空は自分ではうまく撮影できなかったが、ガイドがカメラやライトを準備してくれて、星空もきれいに写真に残すことが出来た。
ちなみにこのツアーは私達夫婦含めて日本人4人とチリ人夫婦2人の6人だった。ウユニ塩湖のツアーは若者が多そうでノリが合うかなと思っていたが、ここで出会った日本人は40代男性、チリ人夫婦も50代で何とも馴染みやすかった。ツアーが終わった後に日本人4人で近くのリャマ料理BBQ店で食事をしたが、それをきっかけに今でも連絡を取り合う間柄となった。
1人は会社を退職して1年かけて中南米を回っている男性。3か月ほどグアテマラでスペイン語留学もしたそうで、スペイン語も話せる人だった。彼とはこの後も一緒のツアーで非常に助けられた。
もう一人は沖縄から来た男性で、直近は飲食店を複数経営していたがすべてやめて1年の旅に出たとのこと。奥様とお子様とはこの後ヨーロッパで合流して、それ以外は一人で旅するそうだ。旅の情報交換やお互いの仕事の話など話は尽きなかった。
旅をする理由は色々だが、みんな共通するのは「今を楽しみたい」というところ。
初対面の割になぜ旅に出たのかなど突っ込んだ話も面白くとても刺激を受けた。
ツアー自体は半日程度なので一緒に過ごした時間は長くないが、貴重な出会いだった。今年の10月には夫婦でこの沖縄の男性に会いに行き、初めて会ったウユニの地球の裏側にあたる日本で再度乾杯をした。もう一人の男性は単身中国に留学中だが、帰国した際にはまたそろって乾杯予定だ。
ウユニの街はこのツアーと街ぶらで市場を歩いたり、塩まみれになった服を洗濯に出したりしながらのんびり過ごした。
名残惜しみつつ、次なる目的地チリへ向かった。