第21回 雄大な自然を肌で感じた南米 ~ ボリビア・チリ編
ウユニの街に後ろ髪をひかれつつ、私達は2泊3日でチリのサンペドロ・デ・アタカマという街に向かうツアーに参加することにした。決め手は2泊3日食事込みで2人で33,000円という破格の値段だった。ウユニからアタカマは直接向かえばバスで12時間ほどで着く場所だが、このツアーだと途中昼のウユニ塩湖や国立公園に立ち寄ることもできた。
出発の朝は10時半に集合。
ツアー参加者は6名。スイス人の母娘とブラジル人の女性、ウユニ塩湖ツアーで一緒だった名古屋から参加のFさんと私達という組み合わせだった。
ブラジル人の女性は陽気なキャラクターでツアーのムードメーカー。出発後は英語でお互いの自己紹介。スイス人の母娘は2人旅でアタカマの後は車を借りて南米をじっくり回るそうだ。ブラジル人の彼女は、心理カウンセラーの仕事をしていて、1か月の夏休みを使ってボリビアの友人に会うついでに、とウユニ塩湖を訪れたとのこと。


「1か月の夏休みなんて日本だとなかなか取れないんだよ。なので思い切って仕事を辞めて旅に出た」と話したら非常に驚きつつ「世界一周は羨ましいけど、私は今の仕事が本当に好きだからこの仕事は辞めたくない」と言っている彼女を、逆に羨ましく感じた。また、彼女は母国愛も表情豊かに話してくれて「ブラジルは最高よ!食べ物も文化も人も最高なのよ、私も最高でしょ。ブラジルが大好き。」というようなことを全く嫌味なく言っていて、ラテン文化の陽気さを肌に感じた。こんな人たちに囲まれたら日本人ももっと陽気にオープンマインドになるのかもしれない。
2泊3日で過酷だったのは何より移動と宿。
初日ウユニ塩湖を走っている時は平坦でよかったが、チリに抜ける間に立ち寄ったいくつかの湖と国立公園までの道のりはアップダウンの激しいデコボコ道で、ランドクルーザーでなければ決して乗り越えられない道のりだったに違いない。
何度も身体が座席から浮いて疲れた上に、1日目も2日目も過酷な宿だった。
初日は塩のホテルと呼ばれる塩でできたホテル。塩のテーブルと椅子はまだいいが、部屋の壁も塩、ベッドも多分塩で、床は全体的に砂、そして空調がなく極寒だった。200円出してシャワーを浴びたが、お湯がほぼ出ず逆に風邪をひきそうなくらいだった。一応私だけ浴びてはみたものの、結局再度服もコートもすべて着た。ちなみに電源も共有部にあるのみで、Wi-Fiもなくやることもないので早々に寝るしかない。






2日目は国立公園内にあるホテルで、こちらは普通の床とベッドにはなったものの、Wi-Fiは有料、シャワーはなしだった。気持ち1日目よりは暖かかったが暖房が効いているという感じではなかった。このあたりは砂漠地帯で電気と水がとにかく貴重なようだ。が、スイス人母娘とブラジル人は2日とも私達とは別のエリアの部屋に通されていて、日本人のFさんと私達のみ過酷な部屋だった。世知辛いものだ。


そんな過酷な環境ではあったが、立ち寄るところすべてが絶景だった。昼間のウユニ塩湖と鏡張りではなく乾季の乾いた塩湖、列車の墓場、インカワシ島というサボテンの島、そしてカニャパ湖やエディオンダ湖、コロラダ湖などピンクに染まった湖やフラミンゴの群れ、天然の温泉や間欠泉なども訪れた。どれも絶景で自然が雄大だった。






おそらく一生分のフラミンゴを見たような気がするし、それ以外にもヴィスカチャというウサギのような小動物やリャマの群れ、キツネなど野生動物にたくさん出会うことができ、南米の自然の豊かさと雄大さを肌に感じた旅だった。アタカマに着いた頃には疲れ果てていたものの、それでもいい経験と出会いになった。



アタカマでは猫がリビングを自由に出入りするのんびりとしたAirbnbに2泊した。到着の日はのんびり街を散策することに。街の中心街は観光客が多いものの、砂漠なのでカラッと晴れて暑いくらいの気候は気持ちよくとても気に入った。街中ではまずはSIMを買ってみたがスマホに設定してもうまくいかず、結局たまたま街中で再会したFさんに助けを求め、別の店で最終的に買いなおした。Fさんがいなかったら途方に暮れていただろう。ウユニでの出会いに感謝である。



その後、街中でツアーを探して翌日は月の谷のツアーに参加した。これも本当に月面にいるかと思うくらいの絶景だった。ちなみにこのツアーは終盤でピスコサワーとおつまみを楽しめて、その後サンセット見学までがセットでとても楽しめた。






ガイドが陽気なチリ人で、チリ流の乾杯コール「チ・チ・チ、レ・レ・レ、VIVAチレ!」で盛り上げてくれ、そのノリについついのった結果だいぶ飲みすぎた。それもそのはず、ピスコサワーとは40度くらいあるお酒なのである。ただ自然に囲まれた中で飲むピスコサワーは最高だった。
若干の二日酔いを感じつつ、翌朝早朝凍りつくような寒さの中バスターミナルに向かいまた新たな街へと移動した。