第14回 オープンソース×コワーキングスペース

下北沢駅西口から徒歩7分ほど、閑静な住宅街に突如あらわれるとてもおしゃれなカフェ、その名も下北沢「オープンソース」カフェ。

ギーク案内人としては前から気になる名前のカフェでしたが、先日遂に足を運んできました。

このカフェはただの喫茶店ではなく、「コワーキングスペース」とカテゴライズされるもので、仕事の場所に縛られない「ノマドワーカー」達がノートパソコンを持ち寄り、共同の仕事、もしくは単独の仕事をすることができるワークスペースなんです。

もちろん、電源や無線LAN環境も整っています。

まずカフェの目の前にくると、入り口から分かれた2つのワークスペースがあります。右側が雑談しながら仕事ができるスペース、左側が黙々と仕事をするスペースになっています。

XoopsCubeコミュニティの活動をしている人に案内してもらい、右側の会話してもOKなスペースに入り、運営者を紹介してもらいました。

運営者の河村奨さん自身の経歴を聞くと、予想通り、いや予想以上。

過去にオープンソースのCRMであるSugarCRMの開発を行っていたり、現在、CMS「concrete5」の日本法人向けサービスを提供するコンクリートファイブジャパン株式会社の取締役の顔を持っていたりという、いくつものオープンソースの活動をしている人。

さらには、一般社団法人 オープンビジネスソフトウェア協会の会長の顔も持つという、まさにオープンソース系ギーク。

このカフェでは、共有スペースを提供しているだけでなく、カフェを拠点に「オープンソースの部室」という部活動、サークル活動のようなものを曜日ごとに催していて、誰もが参加が可能とのこと。

WordPress部やEC-CUBE部、concrete5部といったオープンソースを主軸とした部活動もあれば、ボルダリングをする部活や歴史部などオープンソースに限定されない活動も存在している。

中でも特に興味深いのは、毎週日曜日に行われている「CoderDojo Tokyo」というもので、小中学生に無料でプログラムを教えるという部活動。

つまり未来のギークを育てるギーク養成所として、OSS業界、IT業界、地元地域への社会奉仕活動拠点の役割も持っている。すばらしい。

実際、ここのカフェに滞在中、15時過ぎに学校帰りの小学生が店前に設置されたオープンベンチに立ち寄っていく姿も見られました。

私の子供のころは、学校帰りに立ち寄る場所といえば、駄菓子屋やゲーセン。
ここ下北沢ではオープンソースカフェなのか!

ここが「オープンソースカフェ」たるゆえんはこれだけにとどまらない。
何がオープンソースかというと、実はこのカフェのウェブサイトのソースプログラム一式や、それぞれの企画、イベントのレシピ、開店時や閉店時のマニュアル、ドリンクの仕入れや作り方などなど、このカフェのノウハウ一式がオープンソース化され公開されているのです。

サイトのトップに書いてある「Fork me on GitHub」のリンク先からそれら一式をダウンロードすることができるので、これからコワーキングスペースを開設しようと考えている人は、この「下北沢オープンソースカフェ」からフォーク(のれん分け、分岐のようなもの)することができる。

例えば「秋葉原オープンソースカフェ」を開いて、サイトやメニューも同じものを使ってもOK!ということ。

その他、オープンソースの展示会やコミュニティのカンファレンスなどに出張カフェとして出展する活動なんかもされているようです。

私がいる間、コーワキングスペースをこれから開こうと思って見学に来ましたと言う人や、黙々と自分の仕事をしている人、オープンソースとは無縁そうな下北沢っぽいかわいらしい女性などいろいろな人が立ち寄っていました。

自分はオープンソースとか全然詳しくない、という人でも全然気軽に立ち寄れる、おしゃれなコワーキングスペースなのでした。

URL:http://www.osscafe.net/ja/

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