第20回 facebookの学生向けオープンソースプログラム

明けましておめでとうございます。

2013年はスケジュールに追われていつも公開ギリギリになって本コラムを書いておりましたが、今年は余裕をもっていきたいと思いつつ、やはり締切の前日になって書き始めている次第です。

2014年もはりきってオープンソースに関するネタをお伝えしたいと思いますので、どうぞおつきあいください。

前回は、facebookやgoogleが公開しているオープンソースを改修して独自サービスとして利用し、さらにオープンソースとして公開しているrocksdbをご紹介しました。

また、モンスター企業のオープンソースへの取り組みとして以下のサービスについても触れました。

●Google Project Hosting
他のオープンソースプロジェクトが円滑に活動を行えるためのプラットフォームサービス

●Google Summer of Code
●Google Code-in
学生向けのオープンソース啓蒙と開発支援報奨金制度
詳しくは、前回のコラムをご参照ください。

今回は、facebookが行っているオープンソースへの取り組みをご紹介したいと思います。

900以上のプロジェクトをリリースしているgoogleにはかないませんが、実はfacebookも100以上のオープンソースプロジェクトをリリースしたり、コミットしたりしています。

以下URLで、プロジェクト一覧(英語)を確認することができます。
https://code.facebook.com/projects/

 

これらはただのオープンソースプロジェクトの羅列ではなく、実際に超大規模ユーザーをさばいているfacebookが利用しているプロジェクトの一覧という見方もできますので、非常に役立つのではないでしょうか。

●Open Academy
facebookもGoogle Summer of CodeやGoogle Code-inのように、学生の段階でオープンソースに携わる機会を提供しています。

オープンアカデミーとは、学生が社会に出てプロとしてIT系の開発に携わる前段階の経験として、オープンソースのプロジェクトに参加する実践的機会を用意するという趣旨のもの。日本でいうところのインターンシップ制度のようなものでしょうか。

こちらの制度はfacebookが開始したばかりの産学連携プロジェクトで、特徴としては、コンピューターサイエンス教育の一環として、大学と連携して行われているという点です。

このシステムを通じてオープンソースに参加して貢献する方法を体験したり、メンターを探す方法を提供するということが本プロジェクトのゴールだそう。

2012年にスタンフォード大学でパイロット的に本プログラムが行われ、2013年にMIT、コーネル大学、トロント大学、シンガポール大学、東京大学等に広がり、2014年からは、25の大学と22のプロジェクトとさらに本格的に大学&プロジェクトの幅を広げて行われるようです。

こちらも参加者の規模では「Google Summer of Code」や「Google Code-in」にはかないませんが、教育の質を保つために現時点では小さなグループで行っているようです。

今後はもっとオープンに様々な大学から参加できるようになることに期待ですね。

2014年に行われるオープンアカデミーの参加大学とオープンソースプロジェクト一覧は以下URLで確認することができます。

https://www.facebook.com/OpenAcademyProgram

現時点で、日本では東京大学がこのプロジェクトに加盟していますが、東京大学以外の学生はまだ参加できないようです。

しかし、研究室の担当教授経由で openacademy@fb.com に連絡してもらい、待ちリストに大学を追加してもらうことはできるようです。

googleもfacebookも大規模な分散データを取り扱う有名企業で、どちらもオープンソースとしてプロジェクトを公開し、学生がオープンソース開発に携わる機会を設けていますが、そのアプローチの方法に大きな違いがあるように思います。

どちらの企業もオープンソースの参加者を増やすための学生向けのプログラムをスタートし、実験的な活動をするフェーズを終え、本格稼働を始めました。

学生時代に企業のオープンソースプロジェクトに携わる経験を経て、それから本格的にソフトトウェア開発に就く世代が増えると、オープンソースの活用度が上がるだけでなく、プロジェクトの進め方やチームの作り方など、様々な文化が企業にも持ちこまれることが期待できます。

このような若者が増えると、仕事のスタイルにも影響してくるのではないでしょうか。楽しみですね。

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