第3回 「パパクワッチの友達ってどんな人!?~ペルソナを考える~」

8月もお盆を過ぎてクワッチとカブちゃんのシーズンもいよいよ後半戦に。
カブちゃんやノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなど、冬眠をしない種はこのひと夏が勝負だ。

樹液酒場での争いも、生きていくためのえさ場の確保というよりは、子孫を残すための種族存続を掛けた縄張り争いといった方が、彼らの生態を考えると正しいのかもしれない。

と、いうことで、パパクワッチはこの一カ月間、産卵セットから初令幼虫を割出し(産卵木を割る)と菌糸ビン(オガクズにキノコの菌を植菌したもの)への投入に没頭していた。

オオクワッチのブリードサービスとして、ブリードに関する情報提供と飼育した個体のオークションでの販売の仕組みをスタートしたことは、前回のコラムでご紹介した通り。

そんな中、娘から

「パパクワッチの友達ってどんな人!?」

と言われたことをキッカケに

「ペルソナを考えてみよう!」

という気になった。

つまり、オオクワッチのブリードサービスの利用者であるクワ友が一体どんな人なのか?イメージしてみようと考えたのだ。

ペルソナとは、もとはと言えばコンピュータソフトウエアの世界で製品やサービスをデザインする際に、ターゲットとして想定する、いわば架空のユーザー像のこと。

実在の人々を調査・観察し、得られたデータに基づいて典型的ユーザーを定義して、特定のユーザータイプのニーズに沿ったものを作るために利用される手法だそうだ。

マイクロソフトにいたアラン・クーパー氏が、『コンピュータは、むずかしすぎて使えない!』(山形浩生訳、翔泳社)という著書の中で、ソフトウェアの開発手法として2002年頃に紹介している。

さて、オオクワッチのブリードサービスを利用するクワ友はどんなペルソナを持っているのか?

僕が、クワッチを趣味に交流を開始して感じたクワ友は、まず、こんなイメージ。

・子供の頃に、田舎で野山を駆け巡ってクワッチを採集した原体験がある。
・クワッチの採集や飼育を自分の子供の情操教育の一環のつもりで始めた。
・オオクワガタは、図鑑でしか見たことが無く幻のクワガタだと思っていた。
・幻のオオクワガタを飼いたくなり、子供をその気にさせて一緒に飼育を開始した。

なんだ、パパクワッチのことを言っているだけじゃん(笑)

そう、私のプロフィールに非常に近いのだ。
年齢は、30歳~40代が中心で、ほとんどが男性(チラホラ女性)。
職業は、会社員を中心に自営業(学者、医師、研究者)の方々と多岐に渡る。

では、よりイメージしやすいよう、実際のクワ友(お客様)とのやりとりのメールを紹介しよう。

”柴崎様

○○です。
初めて、生のオオクワガタを手にして息子と共に興奮しました。

HPを少し覗かせていただきましたが、実は私もオリンピック生まれです。
小学生の息子とカブト虫を採りに行くようになって、この世界に戻って
きてしまった口です。”

この方は、世代もキッカケも全く私と一緒。
まったく、僕と同じような輩が世の中にはいるんだなぁと共感した。

”柴崎様

ひょんなきっかけで今年の春からオオクワガタを飼いはじめました。
すっかり忘れていた子供の頃のクワガタ熱を、20年ぶりに再熱しまた。

当時と現在とのクワガタ界とのギャップに、しばらく戸惑いもしました。
このところ幼虫の販売をしているショップやオークションに出品されて
いるものをいろいろと探していました。柴崎さんの出品個体やHPを拝見
し、とても均整のとれた美しいクワガタたちばかりで、何か自分の探して
いたものを、やっと見つけたような気がしました。
長くなりましたが、何卒よろしくお願い致します。”

このお返事を頂いた時は、正直鳥肌が立ちましたね(笑)

そんなやりとりも参考に具体的なペルソナとして作成したのが下のスライド。

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※画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

このペルソナは最も代表的なお客様の例なのだが、もう少しカテゴリを細分化してあと何種類かペルソナを創ってみたいとも思っている。
ペルソナを作成してみて感じたことは、

1.顔の見えないお客様をイメージしやすくなった。
2.お客様の考えていることや行動パターンが予想できるようになった。
3.お客様の立場に立って物事が考えられるようになった。

さらに、複数人数で進めるプロジェクトのような場合には、

4.サービスや商品を開発しているチームの意識合わせが容易になる。

といったところがメリットになると感じた。

実は、「2.お客様の考えていることや行動が予想できるようになった。」ことは、後のサービスサイエンスによる分析に大きく影響してくるのだ。

次回は、その”サービスサイエンス”との出会いについて、簡単に紹介していきたいと思う。

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