第10回 「事前期待のマネジメントの反響」

いよいよ三月もおしまいですね。

お仕事されていらっしゃる方は年度末で何かと忙しいのでは?
パパクワッチも今年は例年にもまして忙しい日々を送っております。

さて、前回のコラムもたくさんの感想やコメントをいただきました。
改めてお礼申し上げます。

特に事前期待のマネジメントについては、様々なご意見を頂きました。
今回のコラムでは、「事前期待のマネジメントの反響」と題して皆さんと共有させていただきたいと思います。

まずは、クワッチについてのコメントに関連して、少しクワネタをご紹介します。

“クワッチって、越冬する種としない種があるのですね。すべて越冬するものと思っていました。”

これとは逆に

“クワッチが越冬する事を知りませんでした!”

とおっしゃる方もいらっしゃいました。

Dorcus種と呼ばれる黒く平べったいクワッチ(オオクワガタやヒラタクワガタ、コクワガタ)は、越冬します。その一方で、一般によく知られているノコギリ
クワガタやミヤマクワガタは、短い夏を過ごして子孫を残すと★となり、越冬することはありません。

「成虫になるために羽化して数ヶ月で亡くなってしまうなんて!」

と少々感傷的になってしまいますが、そこは摩訶不思議なドラマが隠されています。

実は、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、発生する前の年の夏に羽化しているのです。

「えっ!どういうこと?」

と言う声が聞こえて来そうですが、実はこれらの種族は、羽化した夏には蛹室(さなぎから羽化まで過ごす部屋)からは脱出することなく、飲まず食わずでジッとして翌年の夏まで過ごすのです。

なぜ、このような修行僧のような習性になったかは諸説あるのですが、元々四季のない南方から黒潮に乗って生息域を広げて来たノコギリクワガタは、日本の四季のリズムに合わせて羽化後の蛹室の脱出時期を見合わせているという説があります。

何とも不思議な話ですよね。

さて、いよいよ本題に入りたいと思います。

今回は、事前期待のマネジメントに関する読者の皆さんからのコメントをご紹介してまいります。

“第9回拝見しました。事前期待のマネジメントはほんとうに大切ですね。完全にマネジメントできていないとしても、事前期待を想定し、手を打つこと
に価値があるのだと最近思っています。これがある意味昔から言われている気配りだったり、おもてなしの心に通じているのかもしれません。”

そうなんですね。何か新しい概念と言うより、昔から言われていた事を改めて体系立てて整理したと言っても良いかもしれません。

そして、「事前期待をマネジメントしなければ!!」と力むのではなく、「まず、事前期待があることを意識すること」が重要ではないでしょうか。

“事前期待と言っても、事前だけでなく、サービス途中、後とすごく解釈は広いんですね。

期待値を調整しつつ、調整においてもガッカリさせないこと、そして情報を知った上で自分が選んだという気持にさせることが大事なのかなと思います。

逆にセミナーなど申込が早すぎて、参加したかった意欲が薄れてしまう場合もありますよね。そんな時に、タイミングを見て期待値をあげる活動は効果的だろうと思います。”

セミナーの申込者に対して、タイミングを見て期待値を維持するアクションはグッドアイデアですね。
事前期待のマネジメントのツボを押さえています。

“自分が今一番サービスしてる対象は彼女かもしれないですね。もうすぐホワイトデーですし、なにかしら、お返しはしますけど、こういう時も事前期待のマネジメントが生かせそうです。親しい相手にあんまり計算高いのも、良くないかもしれませんが・・・・・・。”

実は、恋愛は究極のサービスサイエンスの対象かもしれませんね。恋の駆け引きはお互いの期待値の探り合い、騙し合い(笑)
知らず知らずの内に皆さん実践しているのでは!?
もしかして、サービスサイエンスの考え方を採用すれば、恋愛ゲームの勝率も上がるかもしれません。

“仕事上いつも考えることは、お客様は何を望んでいるのか、何を求めているのか、それに対する付加価値は何か…等を先読みすることだと思っています。

-中略-

情報収集、心配りから始まり…。困っているお客様を助けたい、これをこうしてほしいと思うお客様、それ以上に何を望むか…真の顧客理解、まごころをこめて体現するということも大切なことだと思っています。”

まさにお客様の事前期待が何かを知ることがまず大切です。
その意味で”日々周りにアンテナを張ること”が事前期待のマネジメントへの近道かもしれません。

“事前期待の話を読んで、最初に頭に浮かんだのはアップル社(戦略、ビジネス状況など)です。

アップルファンとしてのひいき目もありますが、製品への機能の実装、新製品の発表の仕方やシンプルな製品体系など、そこには常に顧客の事前期待を巧妙に操っている戦術が感じられます。

そして、アップルの凄いところは、その戦術にいやらしさがなく、逆に顧客側からその戦術にはまっていく傾向すらあるということです。

少し話がそれますが、時価総額40兆円を越えた原動力も、iPad3などへの事前期待が大きなウエイトを占めていると思いますが、それ以上にアップルという会社に対する事前期待が大きいのだと思います。”

なるほど。私もアップルのユーザの一人として納得してしまいますね。
市場空前の時価総額を突破した企業の戦略が、実は、サービスサイエンスで説明出来たら面白いですね。

“面白く読ませていただきました。コンサルティングでいう期待値の調整という重要なフェーズですね。

期待値のテーマには、期待値の「把握」と、「調整」の二つのテーマがあると思います。また、期待値は「事前」があるなら「途中」と「最終」があり、
さらに期待値に対する施策としては「越える」「満たす」「下げる」があると思います。

「越える」「満たす」は当たり前ですが、過剰な期待を実現可能(運用を含む)なところまで「下げる」のも期待値の調整の施策として難しいけれど大切な
ことだと思います。

これらをどのように整理し、サイエンスにもって行くか、柴崎さんに対する期待値があがってきています。”

先輩のコンサルタントの方からコメントをいただきました。ほぼ同じ考え方だと思います。最後に大きな宿題をいただいた感じです(笑)

“私は、事前期待していなかった時にサービスがあり、感動をしたことがあります。それは、新婚旅行でホテルに泊まった時に部屋にプレゼントの花があったことです。”

記念日のサプライズは最近いろいろな所で実践されていますね。さらに一歩上を行くと、感動のサービスにつながると思います。

いかがでしたか?

今回は皆様の反響を中心にご紹介しましたが、事前期待のマネジメントについて、より具体的にイメージできたのではないでしょうか?

(つづく)

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