フリクション 「Automatic-fru.」 (Reck-Tsunematsu) 80pass

70年代末~80年代初頭の東京ニューウェーブシーンに君臨したフリクション。
ロンドン、ニューヨークの本場パンク~ニューウェイブをはるかに凌駕するレベルの音の「圧力」と「独自性」をクールに放射しています。

ネガティブな衝動を音に叩きつける。但し、ロンドンのB級と決定的に違うのは、稚拙な演奏を垂れ流す「アマチュアリズム礼賛」ではないこと。ノイジーな不協和音がザラザラした演奏ですが、それが高度に洗練されつくされている。

ギター、ベース、ドラムの3ピース。ロックのオーソドックスな基本最小構成での、ストイックな洗練。余計な装飾は絶対に施さない。豊潤ではなく、鋭利。包み込むのではなく、突き刺す。

決して聴衆をエンターテインすることなく、攻撃的に音を叩きつけてくる。

今年やっと再発された79年の京都「磔磔」でのライブをここのところ毎日のように聴いていますが、驚くべきは「聴き流せてしまう」ところ。こんなに鋭角的で、聴き手への妥協を拒んだ音なのに。

尖った不協和音でも高度に洗練されれば、美しく、耳触りが滑らかになってしまうのです!