椎名林檎 「丸の内サディスティック 」 (椎名林檎) 99east world
才能と情念が迸り、物凄い。常人ではない人が音楽の才能を授かり、荒っぽくそれを育て、おそらくは自分を傷つけながらも、その傷口に塩を塗りこむと、そこから物凄い音が現れてくるのでしょう。
椎名林檎の1stアルバムは恐ろしい音楽です。凶暴だけど、優しさとせつなさを併せ持つメロディー。エキセントリックで痛く、驚くべきことに、時にはキャッチーでさえある歌詞。この天才少女を音楽的にサポートしながら、結果的にはその悪魔性にヤられて、バランスと逸脱をさまよいながら演奏するミュージシャン。
「丸の内サディスティック」。
彼女自身のピアノがぐいぐい曲を振り回しながら牽引するこの曲では、こんな事が歌われています。『将来僧に成って結婚して欲しい』『ピザ屋の彼女になってみたい』『ベンジー、あたしをグレッチで殴って』『青噛んで熟って頂戴』。
どんな性欲、どんな自我なんでしょう。ただ一つ間違いないのは、こんな言葉が決して受け狙いや照れ隠しではなく、正直な吐露であることでしょう。
恐ろしい。