The Beach Boys 「Don’t Talk」 (Brian Wilson) 66capitol
今年40周年記念の再発CD+DVDが出たアルバム『Pet sounds』。巷間いわれるとおりビーチボーイズといえば『Pet Sounds』でしょう。
人間の感情は本当に複雑で繊細だと思いますが、その繊細さをこうまで美しく表現できるものなのか。繊細な感情は実は間抜けだったり、薄汚くあったりもするものですが、そういう要素さえも音楽で濾過して美しく表現してしまう。
ビーチボーイズは若く明るく力強いアメリカを象徴し、鼓舞する存在として登場したわけですが、そういうポジティブさの裏側には、止むに止まれぬ混沌がしっかりと根付いていた。そうした混沌がじわじわと美しく露呈してきてしまった。しかし、ポジティブな明るさのコーティングは剥げ落ちておらず、むしろ磨かれている。
「Don’t Talk」はとにかくメロディーが凄まじい。格調、荘厳、甘美、官能。
おそらくはつらいことがあった恋人と自分。恋人の気持ちが痛いほどわかるのか、恐ろしくてこれ以上知りたくないのか。とにかく言葉を排除して、感傷の時間を過ごしたい。結構青臭いものですが、そんな繊細な青春を高度に美しく抽象化しています。