第53回 ラジコの時間

3月です。
春です。
(目の前には、いつ融けるかもわからない大雪がありますが、3月だから春なんです!)

決算期の会社も受験生もラストスパートです。
(と言っても、今から頑張っても限度があるわけですが・・・)

ラストスパートで運良く大口の取引が決まって売上目標をクリアしたり、一夜漬けで張ったヤマが当たって合格したりすることもあるかもしれませんが、ふつうはうまくいきませんね。
基本的には地道な努力の積み重ねが大願成就につながることになっています。

「人事を尽くして天命を待つ」(※注1)ということです。

※注1
「人事を尽くして天命を待つ」・・・自分のできる限りのことをし尽したうえで、あとは天命に任せる。(努力した人には結果がおのずとついてくるのです。・・・昔の人の言葉は概ね正しいです)

※注1の関連キーワード
1.「人事を騙して閑職につく」・・・なんの努力もせずに上司におべんちゃらを使い、人事面接で適当にごまかしても、もともと実力がないので、簡単に左遷されるのです。

2.「人事を探って地雷を踏む」・・・異動の時期が近いので、人事部の同期にしつこく探りを入れたりすると、南極出張所に飛ばされたりします。

3.「仁義を欠いちゃ御仕舞よ」・・・と、寅さんが言いそうなセリフですが、なんの意味もありません。。。

「地道な努力」と書いてはみたものの、自分自身の受験生時代は「地道」も「努力」も無縁の言葉でした。

一応、その当時は、受験勉強の真似事はしていました。
でも、その実態は勉強部屋に閉じこもり、ラジオを聴きながら、好きな推理小説を読みつつ、お腹がすいたらマルちゃんのダブルラーメン(※注2)か、サッポロ一番味噌ラーメンを食べるというものでした。
(ときどき明星チャルメラやホンコン焼きそばも食べてましたが、どうでもいい情報ですね)

※注2
「マルちゃんダブルラーメン」は、「やきそば弁当」と同じく北海道限定商品(ということを今はじめて知りました)で、一つの袋に二人前のインスタント麺とスープが入っていて、安価で満腹感を手に入れることができるコスパに優れたインスタントラーメンです。

ちなみにエスビー食品の「ホンコン焼きそば」も地域限定商品で、その特色は「日清チキンラーメン」と同じく、インスタント麺自体に味付けがされていることで、フライパンの中でコップ一杯の水を使ってほぐしながら焼き上げ、青のりとゴマの特製ふりかけをかけて仕上げます。味は微妙ですが、中毒性を秘めているため、身体が定期的に要求してきます。

インスタントラーメンの話はさておき、ラジオの話です。

小学生のころ、キットのゲルマニウムラジオを自作したものの、感度が良くないため、アンテナをコンセントの口の片側に挿して、ようやくNHK第一と第二放送をキャッチできて、ラジオの面白さにはまりだしました。

その頃は、テレビもよく見ましたが、ラジオもよく聴いてました。
ラジオのイヤホンを片耳に入れながら、テレビを見るのが日課でした。

中学生になると、ゲルマニウムラジオでは物足りず、叔父さんから古いトランジスタラジオを貰いました。

でも、なにしろ古いラジオだったため、ときどき「なにも聴こえないなにも聴かせてくれない」状態になり、ようやく「壊れかけのRadio」だと気づいたのでした。

その当時流行していたのが、BCLラジオ(AM/FMだけじゃなく海外の短波放送も聴くことができるラジオ)で、友人達が持っていた、ソニーの「スカイセンサー」やナショナルの「クーガ」(※注3)が羨ましくて、英語の勉強に必要だと、親を騙して(!)、ナショナルの「ワールドボーイGXO」を手に入れたのでした。

※注3
ソニーの「スカイセンサー」、ナショナルの「クーガ」「ワールドボーイ」はBCLラジオの名称です。これらのラジオは海外短波放送を聴くためのレーダー型アンテナやFMトランスミッター機能、受信感度を検知するメーターなど子供心をくすぐるアイテムやギミックを満載していたのでした(もちろん子供には使いこなせません)。
ほかに東芝の「サウンドナナハン」やサンヨーの「パルサー」なんてラジオもありました。

「ワールドボーイGXO」を手に入れて、最初はイギリスBBCのビッグベンの鐘の音を聴いたり、オーストラリア放送のワライカワセミの声を聴いたりしていました。

でも、英語がわからないのと、微妙なチューニングが上手くいかなくて、ノイズ交じりの中国語や韓国語の放送、そしてソ連からの暗号を傍受したことにより、公安当局、KGB、CIA、MI6(※注4)などからマークされるようになり、海外短波を聴くのを断念したのでした(後半部分ウソ)。

※注4
KGB、CIA、MI6は、それぞれソ連、アメリカ、イギリスの情報機関。
ご存じ007は、MI6の諜報部員。最新作の「007/スカイフォール」ではMI6に所属する諜報部員の情報が外部に漏れ、万が一、名前が公開されると諜報部員の生命が危険にさらされるので、007が漏えい情報を回収のために活躍するというお話でした。
名前の秘匿は、スパイの命綱なわけですが、007はいつも自ら「ボンド。・・・ジェームス・ボンド。」って律儀に名乗ってます(どうでもいい話ですが)。

海外短波の代わりに、AM放送を聴くようになりました。
その当時、よく聴いていたのは午後9時前後のニッポン放送でした。
タイプライターのオリベッティが提供していたラジオドラマ「江戸川乱歩読み切りシリーズ」(これを聴く度に意味もなくタイプライターが欲しくなりました)、愛川欽也の「ラジオ立川文庫」(豪傑マンの歌が懐かしい)、欽ちゃんの「ドンといってみよう」(※注5元祖「欽ドン」。テレビの「欽ドン」は欽ちゃんの「ドンとやってみよう」でした)などなど。

※注5
集英社提供の「欽ドン」は、毎日のお題に一般リスナーが投稿したハガキを欽ちゃんが読み上げ、面白いネタには「明星賞」や「ジャンプ賞」「ロード賞」などが贈られるというネタ投稿番組。
当時の欽ちゃんは酒井和歌子が好きだったらしく、なにかというと「和歌子ちゃん」と連呼していました。

そして、受験勉強の頃には、深夜放送を聴くようになりました。
「オールナイトニッポン」、「パックインミュージック」、「セイヤング」をパーソナリティ(※注6)によって聴き分けてました。

※注6
時期は不明ながら、記憶に残っているパーソナリティ
1.「オールナイトニッポン」・・・あのねのね、カルメン、笑福亭鶴光、タモリ、所ジョージ、松山千春、中島みゆき、ビートたけしなど。

2.「パックインミュージック」・・・愛川欽也、野沢那智&白石冬美(ナチチャコパック)、南こうせつ、山本コータローなど。

3.「セイヤング」・・・谷村新司、せんだみつお、さだまさしなど。

表面上は勉強と称しながら、実際は深夜放送を聴くために夜更かしをして、お腹がすいたらインスタントラーメンを食べて、朝方眠りにつくという毎日。

当然、睡眠不足になるため、授業中は体力回復を最優先に五感のレベルを下げて、エネルギー消費を最小限に抑える(疑似冬眠状態)。

その結果、試験では霊感・ヤマ勘・第六感に頼ることに。。。本末転倒でした。

あれからウン十年、リアルタイムに深夜放送を聴くことはなくなりましたが(※注7)、今どきの受験生は深夜放送を聴いているのでしょうか?メディアの選択肢が多様化してるので、ラジオを聴く若者の数は減っているのかもしれませんね。

※注7
ときどきポッドキャストでTBSラジオの深夜放送「ジャンク」を聴いています。
伊集院光と爆笑問題がお気に入りです。

2月の下旬にニッポン放送でオールナイトニッポン45周年企画「オールナイトニッポン45時間スペシャル」という番組がありました。

笑福亭鶴光とオードリーが総合司会で、新旧のパーソナリティ20名ほどが、1時間から2時間の枠をリレー形式で45時間ぶっ通し(途中、東京マラソン中継を挟みましたが)のオールナイトニッポンを放送しました(生放送もありましたが、大半が録音と思われます)。

冷やかし半分、懐かしさ半分でラジコ(※注8)で聴き始めたところ、坂崎幸之助と吉田拓郎の掛け合いにはまり、ビタースイートサンバを挟みつつ、おすぎとピーコ、ロンドンブーツ1号2号、松任谷由実、松山千春まで連続で聴く羽目に。

その翌日は、ビートたけしの相も変らぬくだらない話に大いに笑ったのでした
(高田文夫が欠席したのは残念でしたが)。

※注8
ラジコは、インターネット経由でラジオ放送を聴ける優れもののアプリケーション。PCではradiko.jpで聴取でき、iPhoneやAndroid端末では、AppStoreやGooglePlayで「radiko」を検索。

さらにAndroidには「raziko」という素敵なアプリもあります。放送エリアを越えてラジオが聴けるようなので、こちらを使っていたりします。

ラジコという今どきの便利なアプリでラジオを聴きつつも、実は「ワールドボーイGXO」も現役だったりします。

もう40年使用していますが、壊れる気配もありません(※注9)。
さすが Made in Japan なのだなぁ、とシミジミ思ったのでした。

※注9
使用者のほうが「壊れかけ」です。冥土 in Japan。メイド in Akihabara。(なんのこっちゃ)

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