第10回 ユーザー会主催の勉強会に参加しよう!

オープンソースの製品完成度や認知度が高まってくると、それをインストールする人、カスタマイズする人、実際に使う人など、興味や関わりを持つ人が増えてきて、自然と「ユーザー会」という組織が形成されるようになります。

大きなところでは、以下のようなユーザー会があります。

OpenOffice.org日本ユーザー会
日本PHPユーザー会
Firebird日本ユーザー会
日本Sambaユーザー会
等々。

「日本」「ユーザー会」で検索してみると、オープンソースのユーザー会ばかりが出てきます。「日本」の「ユーザー会」は、オープンソース業界だけのしきたりなんでしょうか。

ユーザー会の活動はそのプロジェクトによって多少の違いはあるものの、

・そのOSSに関する情報を集めたユーザー会サイトの作成と情報の更新
・OSS展示会への出展
・勉強会の開催
・プログラムのコミット(新たに作成した機能やバグ修正を適用する)

というものが一般的です。

今回は、先日参加した「Adempiere」というオープンソースの勉強会&懇親会のお話をしたいと思います。

過去にウェブのCMS(コンテンツ管理システム)やEC(ショッピングカート)等々、勉強会に参加したことはありますが、オープンソース ERPシステムの勉強会は今回が初めての参加でした。

まずERPとは。

「企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のこと。ERPと略称される。これを実現するための統合型(業務横断型)ソフトウェアを「ERPパッケージ」と呼ぶ。」

「ERPが一般的に扱うものは企業における製造・物流・販売・調達・人事・財務会計である。ERPパッケージはこれらの基幹業務に関する業務活動の情報管理を支援する。」

※ウィキペディア引用

完全に企業向け、業務用のシステムです。

さて、今回の勉強会、パッと見年齢層は高く、平均30後半~40前半ぐらいじゃないかなという感想。

そして、事前準備がかなりしっかりされているというのに驚きました。
レジュメが用意され、勉強会の目的、想定参会者、前提知識、目次構成、参考資料など、仕事に近い労力が費やされ、きっちりと構成されていました。

次に、コンテンツ。
私がこれまで参加してきたオープンソースの勉強会は、インストールの仕方(phpのバージョンがxxx以上とかxxxのextensionが必要とか)、プログラムの拡張機能の作り方(このクラスを使ってこうするとか)、デザインの仕方(共通のcssがここにあるのでこれをいじってこんなことができます)等々、プロダクトベースのものがほとんど。

しかし、今回参加したプロジェクトの勉強会では「導入目的や範囲の策定」、「会計業務の現状把握」、「他システムとの連携」、「管理会計の適用」、「連結決算への対応」などなど、業務視点、SE視点でのテーマが多く盛り込まれていることに、今まで参加してきたオープンソースの勉強会とのカラーの違いを感じました。

そして参加者の内訳ですが、懇親会でどんなことをしている人なのかを聞いたところ、10人前後の中にエンドユーザー(IT技術者ではいが会社で使うために自分で構築しようとしている人)や、商用の他のERP製品の営業やSEを行ってきた人、開発に手を加えている人やオープンソースシステムの保守サポートサービスを生業としている人など、様々な立場の人がいることに驚きました。

ちなみに私の参加目的は、Asteriskという電話系オープンソースとのシステム間連携ができないかの模索でした。

また、ついでにこのメルマガのテーマとなっている「変人列伝」の「変人」がいれば話を聞きたいという目的もありました。

おや、もしや?という人はいたのですが、新参者の立場で「オープンソースに関わる変人を探しているので、貴方から是非話を聞きたいです、メルマガで流します。」と依頼するには、アルコールの量が少し足りませんでした・・・。

参加者層のバランスが絶妙であった今回の勉強会。
様々な立場の人が参加する勉強会ということでいろんな視点から話を聞くことができました。

オープンソースに関わらず、製品のライフサイクルにおいて、作る人、売る人、使う人、構築する人、保守する人それぞれにとって扱いやすいということはその製品の普及に重要なこと。さらにデザイナー等も加わるとさらに活動が活発になるだろうな、と、そんなことを実感した勉強会でした。

今回、自分の関わっていないオープンソースの勉強会に参加することにより、専門分野ではない業務に関する知識や、ユーザー会のメンバーの多様性によるプロジェクトの広がりに触れることができました。

ビジネスでITに携わっていても、自分の業務範囲外のシステムや業務知識を仕入れる機会が少なく、問題意識を持ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

そのような方は、視野を広げるためにも、普段触れ合うことがないオープンソース製品のユーザー会主催の勉強会に参加されてみてはいかがでしょう。

商用製品の展示会やセミナーでは、どうしても売り込み要素が強くなるものです。そういった点では、目的が大きく違うこのような勉強会もアリかもしれません。

また、「オープンソース geek(変人)列伝」では、変人を探しております。
自薦他薦は問いません。

我こそは!という方は、私、または当メルマガ編集部までどうぞお声掛けください。( 連絡先はこちらです )

ちょっとした菓子折りを持って取材に伺わせて頂きます。
但し、オープンソースに関係のない変人の方は、ご遠慮させて頂きたいと思います。

オープンソース geek(変人)列伝 バックナンバー