『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』
実際に我々自身が体験してきたニュースが、俯瞰され、再構築され、小気味よい文体のエキサイティングな歴史読み物に転換されるのだから、これが面白くないわけない。ページを繰る手が止められなくなるのだ。
『新書 世界現代史』は、トランプのアメリカ、プーチンのロシア、そして習近平の中国、それぞれの「レコンキスタ(失地回復)」をキーワードに、「力こそ正義」がスタンダードとなりつつある現代を読み解いていく。テロとの戦いで疲弊し、貧富の差の増大で国力が削がれてきたアメリカ、ソ連崩壊で超大国の地位を失ったロシア、20世紀に諸外国に蹂躙されてきた中国、再び世界に君臨すべき強大な国家を目指す3つの強国は、いずれももともと持っていた地位を回復したい、という思いに突き動かされ、国際秩序を無視した行動に走る。それぞれの指導者の心理や思想を読み解き、ここ数年のこれらの国の行動を突き動かしている原理を理解すれば、ロシアのウクライナ侵攻も、敵対する国々への(そして同盟国への)トランプの理不尽なふるまいも、中国の南シナ海や台湾への対応も、すっきりと読み解ける。
本書を読めば、今後、南シナ海と台湾が焦点となるのは疑いがないように思える。戦後に構築された国際秩序を無視し、互いに勢力圏を確保し、力をぶつけあう未来、そして日本をはじめ多くの国が、超大国のパワーバランスに翻弄される未来を、われわれはどう生き抜けばいいのかーーそのガイドブックにもなりうる一冊だ。
『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』川北省吾著 講談社現代新書

