第7回 暮らすように滞在するヨーロッパ ~ハンガリー編

今回はついにヨーロッパへ。中東の国ヨルダンから次の行き先を決めたのはエジプト滞在中だったと思う。夫がヨーロッパに行ったことがなかったのでまずはヨーロッパへと考え、Skyscannerという航空券検索サイトとにらめっこした。このサイトは目的地を「すべての場所」という設定が可能なので格安航空券を狙うのには最適なのである。結果、2人で32,000円の航空券を見つけ、東欧のハンガリーをヨーロッパ最初の地とした。

首都ブダペストに到着したのは23時近く。歴史を感じる建物と、石畳の道、オレンジの街灯、近代的な広告。ヨーロッパらしいおしゃれな街並みという雰囲気に私達の土埃まみれのバックパックはやや浮いていた。

宿は交差点の角に位置する4階建てで中庭を囲むようなおしゃれな建物だった。プタペストでお世話になったこの部屋、今回の旅で1番と言えるくらい素晴らしい部屋だった。大型テレビにゆったりとしたリビングとキッチン、しかもロフト付き。家具もおしゃれだった。シャワーの水圧、お湯加減も完璧。トイレはもちろん紙も流せて詰まる心配もなさそうだ。インド、エジプト、ヨルダンあたりのトイレは紙が流せないことも多く、シャワーもチョロチョロだった。そのちょっとしたストレスから一気に解放された。

そして観光を織り交ぜつつ暮らすような滞在(NHKの超人気番組「チョイ住み」的な生活)が始まった。まずは久しぶりに洗濯機をフル稼働させ、備え付けの物干し台に干していった。これが、実に快適。
なぜなら、インドのバラナシ以降、洗濯機のない宿だったので、2、3日に一度洗面台で手洗いし持参の物干しロープを取り付けて干していたからだ。
事は足りるが、綺麗になっているのか微妙で、さらに手動脱水は乾きが悪い。
やはり文明の利器はありがたい。

これでやっと2日間着たTシャツや下着もきれいになった。余談だが、元々私は1回着たら基本洗濯するスタイルだったが、洗濯物が増えるとプチ夫婦喧嘩のネタになるため、この旅では「1回着たら洗濯する」スタイルから「汚れたら洗濯する(汚れてなければ、まだ着られる)」スタイルへの変更を余儀なくされたのである。

洗濯の間に買い出しへ。廊下に出ると隣のおじいちゃんが上半身裸で椅子に座っていた。何をしているのかと思ったら日光浴だった。平和で豊かだ。朝からほっこりとした気分になりつつ宿から徒歩1分のスーパーへ。ここはとても良かった。すべて値段がついていて、品揃えが豊富。焼き立てのクロワッサンもとっても美味しかった。毎日通い、朝は焼き立てのパンを買ってきて、昼は外食、夜は自炊の定番パスタとワインという生活でのんびり過ごした(ちなみにワインとジュースの値段が変わらなかった)。日本ではあまり見かけないコーヒー味のヨーグルトもこのスーパーで見つけた。想像どおりの味だが、とってもハマってよく食べた。

ちなみに観光はフリーツアーで中心地の主要な観光地を巡りつつ、自分たちでも街歩きをした。フリーツアーは初めてだったが期待以上だった。2時間半ほど街を歩きながら名所をまわり、かつ歴史的背景や名物も説明してくれる。説明はすべて英語なので若干理解しきれない部分もあるが、街の全体像をざっと把握するにはちょうどよく、料金はチップのみなので私達の旅には最適だった。フリーツアーの後はちょっと奮発して名物のフォアグラやシュニッツェルを食べに行った。美味しかったが、限られた予算で旅する私達にはミスマッチだったのかもしれない。

ブダペストは温泉も有名で、中心地からそう遠くないところにいくつかあるので足を伸ばしてみた。宿からバスで20分くらいのところのセーチェーニ温泉は、ずっとバスタブのない宿が続いていた私たちにとって、久しぶりにお湯に浸かることができるだけでも最高!
プールみたいに水着を着用し、男女混浴ではあるがちゃんと温かい。少し暑くなったら温泉から上がりプールサイドのようなところでお酒とサンドイッチを楽しんで、またお湯に浸かるという贅沢な時間を楽しんだ。
日本の温泉とは全く違うが、海外にいることを考えたら満足できる体験だった。

ブダペストは中世ヨーロッパの雰囲気が漂う国会議事堂や鎖橋、聖イシュトヴァーン大聖堂などが点在しており、街歩きだけで十分楽しめる。3日間の滞在だったがもっとのんびり滞在したかった街である。特筆して何があるというわけではないのだが、ただ暮らすように滞在するだけでゆったりと豊かな気分になれるのだ。後ろ髪を引かれつつ、次の国オーストリアへ移動したが、それはまた次回。