第3回 「デジタル技術を利用したDX」と「プロセスの変革を担うためのDX」

元信金マンのDX営業雑記もいよいよ第3弾となりました。

第1回、第2回とDXの根底について触れてまいりましたが、今回は最新のIT技術や注目度の高まりを見せるAIを活用した「デジタル技術を利用したDX」と、「プロセスの変革を担うためのDX」を合わせた活用方法を、事例を交えてご説明させて頂けたらと思います。

繰り返しになりますが、デジタル技術を利用したDX促進とは最新のデジタル技術であるRPAやAIを利用して業務を変革するということ。簡単に言うと、今まで人が行っていた作業をロボットによる自動化を進めるといった内容です。
自動化することによって、人は時間を創出することができ、今までできなかった「やるべき仕事」、「やりたい仕事」といった新たな業務へ取り組むことが可能になります。

また、このコロナ禍で多くの企業が直面した突然の「プロセスの見直し」。
今までのプロセスでは業務が遂行できず、突然、今までの業務を見直す必要に迫られました。

例えば、在宅ワークにより通常業務が行えない状況で、リモート環境でも対応できるよう急ピッチで業務システムをクラウド化し、リモートで作業できる環境が整備されました。こちらが「プロセスの変革を担うためのDX促進」にあたります。

業務プロセスを変化せざるを得ない状況下で、流されるがままに技術変化に対応しなければならない今だからこそ、DXが急ピッチで促進されることは間違いないのではないかと思います。

セールス側も変化がありますよね。
従来はアポ取りをしてお客様の会社に訪問して、対面で商談するのが「営業」の姿でしたが、ここ最近は、自宅でもどこでも商談ができる、いわゆるニューノーマルとして定着したWEB会議が当たり前となりました。

また、コールセンターの自動応答や飲食業界のデリバリーなど、日々サービスの形態が変化してきているのを皆様も実感されているのではないでしょうか?

働き方の変化に対応し、新たなサービスやビジネスを生み出していくこと。コロナ禍がすべてのきっかけではないですが、身近に実感できるDXの例と考えるとわかりやすいのではないかと思います。

そんなニューノーマルを強いられる今、私がお客様に推進しているDXの活用事例をご紹介したいと思います。

【事例】某メーカー

【業務】FAXによる受注処理業務

営業事務グループ20名でほぼ半日以上の時間を費やしている状況。

・FAXで注文書を受領し、事務担当者が内容を確認して受注システムに注文内容を入力。

・基幹システムで顧客情報を検索し、受注処理システムに顧客コードや属性情報、その他必要情報を取得して、転記入力。

・注文処理完了後、FAX注文用紙をPDF化してデータ保存、原本は紙ベースで保管する。

【受注件数】1日 3,000件のFAX注文

【活用ツール】RPA、AI-OCR

【変化後の業務】

・FAX受注時に、ファイル名を自動で作成して共通のフォルダにPDFデータとして自動で格納。

・RPAで共通のフォルダから自動でFAXの注文書PDFを取り出し、AI-OCRにアップロード。AI-OCRへは20分おきにまとめてアップロードし、AI-OCR側で顧客ごとにフォーマットの異なる注文書をAIが種類ごとに分類。

・分類されたものは、そのまま自動でAI-OCRのアップロードへ移行し、テキスト化。

・テキスト化をされたものを、AI-OCRの機能で確認・修正およびベリファイを行う。(人的確認)

・確認・修正後のデータをRPAが自動でCSVデータにダウンロード。

・ダウンロードしたCSVデータを、RPAで基幹システムより不足情報を自動で取得し、ダウンロードされたCSVを最終的に受注処理システムに取り込める形式に自動で加工。

・加工されたCSVデータを、RPAが受注処理システムにアップロード入力して完了。

【得られた効果】
・人的作業がAI-OCRでテキスト化された文字の確認、修正作業だけになり、人員を半数以下に削減できた。
・確認修正作業については、アップロード後に確認者に通知。
空き時間を利用してできる人が積極的に取り組めるように、確認修正作業をポイント化し、給与評価に反映する仕組みを作り従業員のやる気向上に貢献。
・作業時間と人員の削減、物的な紙の削減より70%以上の削減効果を算出した。

【イメージ図】

※画像をクリックするとPDFが開きます。

 

このようなDX事例はほんの一部でありますが、あくまでもRPAやAI-OCRといった「ITツール」を活用したにすぎません。実際、基幹システムや業務そのものを変えず、デジタル化ツールをプラスしてプロセスの一部をDX化しただけでこれだけの効果が得られました。
最新デジタル技術はもっとたくさんあり、今後さらに変革の幅は拡大していくと思います。

ポイントは、いかに最新技術を取り入れて会社の財産であるデータベースを活用できるか。
そして「何ができるか」より、自分の会社が「何をしたいか」「どうしたいか」を考えることが最も重要です。その上で、必要なツールを選択すればいいわけです。

新しい働き方が定着し、多くのサービスが変化する今、まずは現状を踏まえて自分の会社が「何をしたいのか」を考えることがDX化の第一歩と捉えています。

~お知らせ~

12月も『DX WEBINAR』に登壇させて頂きます。
DXにご興味をお持ちの方のご参加をお待ちしております。

■12月17日開催
RPAだけでは対処できない「紙業務」~AI-OCRとRPAを使った解決方法~
https://asset.lmsg.jp/pdf/web/viewer?t=11946&f=20201217webinar.pdf_lfpdf

■12月10日開催
最新技術でどこまで受注業務の自動化ができるのか!?
FAX受注業務と人工知能AI-OCR、ソフトウェアロボットによるシステム間のデータ自動連携
https://www.usknet.com/seminar/20201208webinar/