Tom Waits 「Jockey Full Of Bourbon」(Waits) 85Island
自堕落さを偽悪的に嘯き、カラスがゴミを漁る路地裏で酔いつぶれているヒモまがいの男。
それがトムウェイツのパブリックイメージでしたが、30代半ばで一念発起。
自らのそんなどうしようもなさを、客観的に脚色したのが、傑作アルバム『レインドッグス』でした。
「ジョッキーフルオブバーボン」という曲名がそんな姿勢を表しています。
今までも酒焼けしたしわがれ声でしたが、それを極端にデフォルメ。ある意味コミカルなほどですが、そこには、客観的な規律がしっかり窺えます。
ポイントはギタリストのチョイス。マークリボーの無国籍なフレーズも、やり過ぎないよう、勘所を押さえています。