第22回 オープンソースカンファレンス2014東京レポート

2014/02/28(金)~3/01(土)の2日間、「中央大学・明星大学」駅にある明星大学にて「オープンソースカンファレンス2014 Tokyo/Spring」が開催されました。

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写真:満員のセミナー風景

2年前、このメルマガの第2回で「オープンソースの展示会は全然オープンじゃない!!」というタイトルで、このオープンソースカンファレンスをご紹介をしましたが、あれから2年、状況がどのように変わっているかを確認すべく、久しぶりに足を運んできました。

前回はどちらも休日の土日開催でしたが、今回は、金曜日と土曜日の開催。
私は土曜日に足を運んできました。

あいにくの雨天でしたので、来場者は少ないだろうと予想してましたが、その予想は外れ、体感的にはこれまでの中でいちばん人が多く、賑わっていたというのが到着したときの最初の感想です。

休日に来場者が集中したのか、純粋に来場者が増えたのかは現時点ではわかりません。後日、来場者数が発表されたら確認することとしましょう。

ちなみに今回は、開催100回記念とのことです。すごいですね。

○出展者のトレンド分析

まずは、今年の出展者の分類とトレンドを確認してみます。

今回のオープンソースカンファレンスへのブース出展者を分類してみます。

1. 無料で出展できるボランティアベースのコミュニティ77団体。全体の63%を占めます。

2. 出展費用がかかる協賛企業:36団体。全体の29%。
3. NPO法人等の後援団体:7団体。全体の6%
4. メディアスポンサー:2団体、全体の2%

今回も、企業ではなく、ボランティアベースのコミュニティの出展が目立ちますね。

では次に、上記1位の「コミュニティ出展者」の展示カテゴリの分類です。

1. WEBアプリ(CMS含む):19社
2.運用管理:9社
3.クラウド:7社

2.の運用管理は、全て運用管理ができるオープンソースのシステム紹介でした。

一方、出展者2位、「協賛企業」の展示カテゴリは、以下の通り。

1. クラウド:17社
2. 仮想化:8社
3.運用管理:8社
4.ハードウェア:5社

企業の出展ブースでは、オープンソースを動かす「クラウド」や「仮想化」のインフラサービスの紹介がメインで、来場する技術者をターゲットに、技術者が開発を進めるプラットフォームや、顧客にシステムを提供するためのサービスプラットフォームを展示するという流れになっているようでした。

また、両者に出てくる展示カテゴリ「運用管理」は、コミュニティでは「オープンソースのシステム・ツール」を紹介している一方で、企業では「運用管理の有償サポートサービス」を展示しています。

出展者と展示カテゴリ、展示内容の一覧がこちらから確認できます。
http://goo.gl/8PqVt0

○初出展のOSS紹介
さまざまなジャンルの出展がある中で、出展者の顔ぶれはあまり変わらない、というのが通例だったOSSですが、今回初出展のオープンソースコミュニティがありました。

いくつかあった新顔の中で日本OTRSユーザー会というコミュニティを運営&初出展をした竹原会長に、出展の動機や今後の展開について伺ってみました。

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写真:日本OTRSユーザー会 竹原会長

Q.今回出展しているOTRSはどういったシーンでどのように使うものなのかを教えてください。

A.サポート業務を行うコールセンターで、お問い合わせに対して複数のオペレータが対応をする場合に、質問内容と、これまでどのように応対をしてきたのか情報を共有し、素早く解決するためのシステムです。

日本を含む海外での実績としては33ヶ国語に翻訳されており、165万ダウンロード、11万インストールの実績があります。

Asteriskを始めとしたPBXと連携して、コールセンターシステム、サポートデスク向けのツールとして多く使用されています。

実績としては、NASA、Washington State University、IBM USA、Nokia、Accenture、Philips Technologie、About.com、Boeingなどが導入しています。

Q.いつ、どのような経緯でユーザー会を発足したのですか。

A. 昨年からお客様の要望でOTRSを扱いだしたのですが、日本の商習慣向けのローカライズはまだまだ必要で未翻訳部分などもあります。

このOTRSを日本で広く普及させるための活動を行う場として、ユーザー会を設立しました。

実は、ユーザー会は2014年2月に発足したばかりなんです。

Q.ユーザー会の目的や活動内容を教えてください。

A. 目的はシンプルに日本でのOTRSの普及です!

ただし、オープンソースを育てて普及していくためには、ビジネスも絡める必要がありますので、ビジネス面での活動にも力を入れたいと考えています。

主な活動としては、月1回程度の勉強会を開催したり、言語ファイルの日本語翻訳、マニュアルの日本語化などを主に行っていきます。

この会のユニークな特徴としては、技術に長けた人とオープンソースの営業に長けた人がいることです。

この2本柱があるからこそ、ビジネス面での要求を拾い上げ、OTRSに反映していくことが出来るのです。

これからもっとメンバーを増やして活動を加速させていきたいと思っているので、メンバー絶賛募集中です!!^^

Q.今回はオープンソースカンファレンス初出展とのことで、どのような動機で出展されたのか教えてください。

A. まずは会の発足とOTRSを皆さんに広く知って頂く必要があると考え、出展を決意しました。

他のオープンソースコミュニティ(XOOPS Cube)の運営も行っているので手続きは分かっていたのですが、出展を決意したときには申込みの期限を過ぎていたんです。

恐縮しながら申込みをしたのですが、事務局である「びぎねっと」さんは快く受け入れてくださいました。感謝しています。

Q. コミュニティへの参加はどのようにしたら良いですか?

A. まだシンプルなサイトですがユーザ会のサイトを立ち上げています。
このサイトに参加方法を掲載しておりますので、下記へアクセスしてください。

http://otrs-japan.co/modules/pages/index.php?content_id=4

Q.差し支えなければ、代表の普段の仕事内容を教えてください。

A. 現在は企業や自治体におけるシステムの監視・運用のアウトソーシングを請け負っており、24時間365日の体制で対応しています。

また、同様の体制でサポート窓口業務も展開しています。

他に、OTRSやiDempiere、Zabbix、JobScheduler、XOOPS Cube、プライベート仮想環境の導入などの案件を主に扱っています。

Q.ユーザー会を立ち上げたばかりかと思いますが、今後オープンソースに関わっていこうと思っている人や、ユーザー会を立ち上げようと思っている人、または他のオープンソースコミュニティに対してメッセージがあれば教えてください。

A. 大げさな話ではなく、いまやオープンソースは必要不可欠な人類の資産だと私は思っています。

これからもまだまだ成長が必要ですし、そして必ず成長していくでしょう。

ただし、ビジネスとしても成り立つということも大切です。

そのためには、コミュニティ活動がとても大切だと、これまでの経験から強く感じています。

自分が使おう!関わろう!と思ったオープンソースで日本のコミュニティがなかったら、ぜひ勇気を出して立ち上げてみて下さい!

もし相談したいことがあればどうぞ声をかけて下さい。もちろん私も、そしてオープンソースの諸先輩方もきっと力を貸してくださるでしょう。

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今回のインタビューで、竹原さんはオープンソースに対するとても強い信念と志を持ってユーザー会を発足されたことが伝わってきました。

目的もかなり明確ですね。

このインタビューが、これからオープンソースのユーザー会を立ち上げて、オープンソースカンファレンスに出展してみようと考えている方への道しるべになればと思います。

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