Mary Hopkin「Lord of the Reedy River」(Donovan) 69Apple

60年代以降、現在に至るまで、英国音楽は全世界のスタンダードの一つであり続けているわけですが、その音楽性は、ドメスティックな独自性を色濃く有しています。

UKのなかでも、言語や文化の異なるウェールズ出身のメアリーホプキンは、60年代末にポールマッカートニーのプロデュースでデビューします。

その姿かたちはスィンギングロンドンの喧噪とは、全くかけ離れており、浮き沈みの激しい20世紀の文化をひっそり拒絶して、屹立しているかのようです。

ハイトーンな歌声は、中世の森林に潜む妖精を想起するような佇まいで、どこまでも透き通って響きます。

「Lord of the Reedy River」では、幽玄とさえいえる音世界のなか、この世のものとは思えない程無垢な声が、有史以前から澱み続ける沼沢から静謐に滲み出てくるかのようです。

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