第7回 「サービスをモデル化する」

今年もあっという間に月日が流れてもうクリスマス。

春には、震災の影響もあり、オオクワッチのブリードを中断しようか迷った末に例年より少し遅めでブリードを開始したのでした。

一般的に、年末年始はクワガタブリーダーはヒマなのではないか?と考えられがちですが、どうしてどうして結構忙しいのだ。

というのもステージの異なる成虫(~今夏羽化))と幼虫(今春孵化)の越冬のためにいろいろな準備が必要なのです。

まず、成虫ですが、冬場は特に深めに針葉樹のマットを入れて越冬させます。

念のため餌ゼリーを入れて保管します。寝ぼけて起きてきたときのための非常食という訳です(笑)温度は、エアコンの電源を切った常温ですので零下になることはありません。

そして幼虫は、冬の間はエアコンとサーキュレータの環境下で21~22℃で管理をしています。但し、2月になるとエアコンをOFFにして”冬”を感じ
させます。これは、来春無事に蛹化~羽化させるための大切なプロセスなのです。

幼虫の冬眠前に、ビンを3本目に交換しますので大忙しとなるわけです。

さて、本題に移りましょう。前々回から、オオクワッチのブリードサービスを題材に、サービスサイエンスの具体的な実践方法をご紹介しています。

前回は、2.サービスを分解するということで提供するサービスをプロセスに分解してみました。

提供するサービスをプロセスに分解することで、どのプロセスに問題があるかが見えて来ることを紹介しました。

1.サービスを分類する。
2.サービスを分解する(前回ご紹介)。
3.サービスをモデル化する(今回ご紹介)。

今回は、サービスを分解した次のステップとして、提供するサービスをモデル化してみたいと思います。

前回ご紹介したプロセスの分解と6つのサービス品質をマトリックスで整理します。

サービスをモデル化する方法は他にもありますが、この方法が最もわかりやすいですね。

プロセスと6つのサービスをモデル化をすることで、どのサブプロセスで、何をしなければならないかが明確になり、サービスの品質向上の議論を具体的に進めることができます。

わかりやすい例として、定食屋さんでの昼食の例を紹介しましょう。

これは、以前ご紹介した
顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント
諏訪 良武 (著), 北城 恪太郎 (監修) ダイヤモンド社 でも紹介されているのでご存知の方も多いかと思います。
201112slide01

※画像をクリックするとPDFファイルが開きます。
このモデルでは、顧客を待たせることなく、早く食事を出してくれること(迅速性)が一番重要であることは皆さんもご自身の体験からも判るかと思います。

また、正確性では、”飲み物や料理を提供する”サブプロセスに◎がついています。

これは、注文した料理を正確に出すことよりも、注文した順番通りに料理が出てくることが重大な関心事であることを示しています。

さて、例題はこれぐらいにして、前回紹介したオオクワッチのブリードサービスのプロセスのモデル化を検証してみたいと思います。

 

201112slide02

※画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

順を追ってサブプロセスを検証してみましょう。

まず、”情報公開”サブプロセスでは、初めての方に共感を抱いていただき、好印象を持ってもらう必要があります。

オークションへの”出品”のサブプロセスでは、飼育データの正確性や共感性、ネットならではの留意事項として安心感をお客様に伝える必要があります。

前回もお話しましたが、僕は、このオオクガタのブリードサービスのプロセスで重要に感じているのは、多くのお客様とのファーストコンタクトとなる”一時
返信”だと考えています。ここでの第一印象が、今後の取引を左右します。

”出荷”のサブプロセスでは、やはり正確性と安心感、それと柔軟性が必要となります。

お客様によっては時刻指定やご家族への配慮から運送会社のセンター止めを希望される場合があるからです。

”発送のご案内”は、初期のころから実施しているサブプロセスです。

生体を扱っている関係から、いつ出荷していつ着くのか?という情報は誰もが気になるところだと考えられるからです。

そして”到着後のお礼”は、お客様への感謝と今後のお付き合いを継続する上でも重要なプロセスとなります。

ここでは一時返信同様、共感性と好印象が重要だと考えています。

このように全体のプロセスと各サブプロセスを俯瞰しながら、6つのサービス品質でプロセスをモデル化することで対象となるサービスのツボがどこにあるのか見える化して見えるようになります。

是非、貴方の利用する身近なサービスで実践してみてください。

次回は、いよいよサービスサイエンスの中核となる考え方である事前期待のマネジメントについて紹介をしたいと思います。

(つづく)
≪お知らせ≫
来年2月1日の情報処理学会「ソフトウエアジャパン2012」のサービスサイエンスフォーラムにて『サービスを買ってもらう前にファンにしてしまう』とい
うテーマで講演することになりました。

http://www.ipsj.or.jp/event/sj/sj2012/itforum_ss_program.html

このイベントはITプロフェッショナル(実務家)のためのシンポジウムとして、2004年度から毎年開催しているものです。

サービスサイエンスの最近の動向を知りたい方にはちょうどいい講演会かと思います。よろしければご参加ください。
がんばれパパクワッチ バックナンバー