Kate Bush 「Cloudbusting」(Bush)85EMI

ポップミュージックのソングライターとしては異質なほど、中世~近世の欧州の佇まいを纏っているケイトブッシュ。

英米のロックは、ブラックミュージックのシンプルさを過剰に増幅して、攻撃力を宿したわけですが、ケイト嬢は、シンプルさに身を任せるには、伝統に根ざした知性が強すぎたということでしょうか。

シンプルではない、という資質は、自我が幾重にも錯綜しているということであり、彼女はその錯綜にひるむことなく、個的な表現を深く紡いでいきます。

慄然とさせるストリングスに導かれて進行する、「クラウドバスティング」は、エキセントリックな魔女のような気配を漂わせながらも、その声には少女性と母性、娼婦性が渾然となって一体化しているようにも感じられます。

http://www.katebush.com/