第8回 「サービスサイエンスの”エンジン”」

新年あけましておめでとうございます。

みなさんお正月はいかがお過ごしでしたでしょうか?
パパクワッチは、元旦から始動!もちろんクワッチのお世話ですよ(笑)

幼虫が入っている菌糸ビンは、生きもの。一つの生態系です。

菌糸の劣化や喰いあがりによってバランスの崩れたビンは、たとえ元旦であろうとも交換してあげる必要があるということです。

過去に大晦日の交換は恒例になっていましたが、さすがに元旦の交換ははじめてでした(笑)

今回は、ちょっと自宅の廊下のワックスがけと屋根裏の大掃除に時間が取られてしまったので。家庭を大切にするのがパパクワッチへの道の第一歩(笑)

さて、このメルマガのコラムも早いもので8回目。サービスサイエンスの具体的な話になるにつれていろいろとご意見やアイデアを頂くケースが増えて
来ました。

前回の「サービスをモデル化する」では、昼食時の定食屋のプロセスとサービス品質の関係を例にオオクワガタのブリードサービスのモデル化について紹介しました。

各プロセスのサービスレベルがどの段階にあるか、サービスレベルを見極めて対応を考えた方が良いのでは?とのご提案もいただきました。

これは、CMMIやITILのように成熟度で分類方法も考えられますが、サービスサイエンス実践の最前線では、まだまだ試行錯誤の途上で実験段階です。

また、定食屋の例では、”私は、迅速性だけではないですよ!”といったご意見もありました。確かに個人差はありますね。

実は、この個人的なニーズ(期待)への対応方法を考えることが僕はサービスサイエンスの醍醐味だと思っています。

そろそろ、そのあたりの核心部分に触れていきたいと思います。

これまでの紹介では、

1.サービスを分類する。
2.サービスを分解する。
3.サービスをモデル化する。

という流れでサービスを客観視するための分類方法を紹介してきました。

今日は、これまでの説明をベースにお客様の心を惹きつけるような素敵なサービスを実現するにはどうしたらよいか?考えて行きたいと思います。

ところで、”サービス”の定義ってご存知ですか?。

2007年に情報処理学会で行われたサービスサイエンスに関するディスカッションでは、「人や構造物が発揮する機能で、ユーザやの事前期待に適合するものをサービスという」と定義されています。

つまり、人が提供するものだけでなくコンピュータや機械などが提供するものもサービスだということです。

そして”事前の期待に合わないものはサービスではない!”ということになります。この事前期待という言葉を初めて聴いたときに自分の持ってい
たイメージに妙にフィットして、納得してしまった記憶があります。

僕は、サービスサイエンスのもっとも大事な部分=”エンジン”は、この事前期待の考え方にあると言っても過言ではないと考えています。

では、この事前期待の内容はどんなものでしょうか?

本コラムで度々ご紹介している『顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント』の著者である諏訪さんによると、
「事前期待の内容」、「事前期待の持ち方」、「ユーザのサービスへの関わり方」、「ユーザの属性」の4つを挙げています。

そして、事前期待の持ち方には、以下の4つがあると言われています。

1.共通的事前期待
2.個別的な事前期待
3.状況で変化する事前期待
4.潜在的な事前期待

1つめの共通的な事前期待とは、そのサービスを利用しようと考える誰もが必要としている内容になります。

クワッチの世界では、オオクワガタを手に入れるお客様の心理を考えると採集者の確かな血統やその個体の詳しい飼育データを期待します。

2つめの個別的な事前期待とは、お客様それぞれの固有のニーズです。
これは、お客様個人の好みをデータベース化することで応えることが可能になります。

スラッとした大あごよりも湾曲した大あごが好きとか、体長よりも幅のある厳つい個体が好きといった個体そのものの好みに加え、取引方法や支払い方法に関する条件なども含まれます。

3つめの状況で変化する事前期待は、お客様との会話やメールのやり取りから判明する場合が多いです。

少ない会話の中から的確にお客様の期待を読み取らなければなりません。
僕は結構この行間を読み込む行為が楽しみです。

最後の潜在的な事前期待はお客様本人が気づかない場合も多く、お客様のペルソナを具体的にイメージし、お客様の立場に立って考えることでお客様にとってふさわしいサービスを考えることができるようになると考えています。

クワッチのコレクターには、間違いなくパターンがあります。お客様のことを好きになって考えてあげることで次に必要なアクションが見えてくる場合があ
ります。

 

事前期待の持ち方

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※画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

さて、サービス提供の結果、お客様が感じる顧客満足は、この事前期待とどのような関係にあるのでしょうか?

それは、お客様の事前期待と実績評価(結果)との相対関係で決まると考えられています。

つまり、事前期待を実績評価が上回ると、”これは素晴らしい!”ということでリピート客化やクチコミが期待できます。

また、事前期待を実績評価が大きく下回ると。”あー、損した!”ということでお客様を失いかねません。

事前期待と実績評価がほぼ同じであれば、印象が薄く何もなければそのままサービスが継続利用されることになります。

次回は、このサービスサイエンスの醍醐味ともいえる事前期待のマネジメントについて具体的な事例を交えて紹介をしたいと思います。

 

(つづく)

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