第32回 「マジメな日本企業がお客様のハートを掴む方法 ~【法則5】大前提として誰にも負けない、いいモノを創る~」
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
さて、新年早々、母校の立教大学で講義をさせていただきました。
経営学部の「情報産業論」の授業でお題は、”「コトづくり」で創る豊かな未来社会-いま、日本企業がすべきこと”でした。
モノづくりで世界を席巻した日本企業は「コトづくり」で改めて世界に打って出るべき、といった内容でした。
このコラムで連載している内容も深く関係します。
実は、この授業を管轄する経営学部の佐々木先生は、なかなかのアイデアマン。
みなさんは、ヤマザキのランチパックをご存知でしょうか?
現在、4大学(立教大学、早稲田大学、明治大学、法政大学)とのコラボレーション企画を展開中なのです。
昨年から始まったこの企画、昨年度は378万個も売り上げたというから驚きです。
あの有名なランチパックに、大学の名前を入れることで卒業生や在校生に「おっ?」と思わせ、さらに受験シーズンと絡めたこの時期に受験生も意識して展開していることも「コトづくり」の視点からも素晴らしいアイデアだと思います。
さて、ソーシャルメディア×サービスサイエンスでインバウンドマーケティングを実践する方法を5つの法則としてシリーズで紹介してきましたが、いよいよ最後、5つ目の法則です。
図.マジメな日本企業がお客様のハートを掴む5つの法則
今回は、コアとなる大前提について考えてみたいと思います。
■法則5:大前提として誰にも負けないいいモノを創る
この5つの目の法則は、実は最も重要な条件となります。
それは、「誰にも負けないモノを作るということ」です。
よいモノやサービスだからこそ「お客様がわざわざ来てくれる」ための施策が活きるのです。
拙著でご紹介した様々な企業や店舗は、いずれも品質やデザイン、機能や味に拘りを持った所が多く、どれも強いモノやサービスを提供していました。
自信をもって「お客様自ら来てもらう」ためには拘りのモノやサービスの提供は外せない条件となっています。
しかし、良いモノを作るだけでよいでしょうか?
ここで重要なのは、「コトづくり」の発想です。
「コトづくり」をひと言で言えば、モノやサービスでイノベーションを実現するビジネスモデルそのもの。
コトづくりの具体的な事例としては、Apple社の事例「ipod+iTunes」が有名ですが、日本企業も早急に「モノづくり」から「コトづくり」への視点の転換が求められます。
図.【事例】シームレスな音楽体験(iPod +iTunes)
「コトづくり」という表現に対して、もう「モノ」は不要になったのか?
という誤解がありますが、「モノ」は、「コト」の一部(モノのないコトは実体がない)であり、お客様が感じるのは、「コト」で実現する総合的な価値(ビジネスモデル)にあります。
そして「コト」は、ストーリーやライフサイクルで考えるべきであり、ユニークな「コト」の提供に結び付く「モノ」と「サービス」の融合が求められるのです。
図.コト(ビジネスモデル)で対価を得るサービスへ
そしてコトの提供には、状況変化を捉えて、出来事を文脈の中で結びつける関係性を読み取るプロデューサが必要となります。
実は、ライバル企業と差別化を図ることができる企業にはこの”関係性を読み取るプロデューサ”が存在していると感じています。
2020年に東京でオリンピックが開催されることになり、日本企業のみならず日本全体に共通の目標が設定されました。
今から7年後の2020年の東京オリンピックに向けて日本企業は何をすべきか?
「技術で勝って、ビジネスモデルで負ける」と言われる日本企業にとって重要な視点は、「モノからコトへ」の転換だと考えています。
(つづく)
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