第33回 「マジメな日本企業がお客様のハートを掴む方法 ~サービスサイエンスを活用する~」

突然ですが、「BE-KUWA」をご存知ですか?
クワッチとカブちゃんの専門誌として絶大なる人気を誇る季刊誌です。

ご縁があり、その記念すべきNo.50号に寄稿させていただきました☆彡

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発行元の東京・中野のむし社は、「世界クワガタムシ大図鑑」でも有名な老舗。

なんと言っても、解剖学者で「バカの壁」で有名な東大名誉教授の養老孟司先生に「日本の図鑑が世界の水準を抜き、もはや独走体制に入ってしまった!」と言わしめた、知る人ぞ知る昆虫界の金字塔なのです☆彡

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そんな大図鑑を発刊するむし社の旗艦誌に、今回、土屋編集長と飯島さんのご配慮でクワリウムについて4Pほど載せさせていただきました。

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パパクワッチとしては、良い記念になりました。家宝にします(笑)

さて、これまでソーシャルメディア×サービスサイエンスでインバウンドマーケティングを実践する方法を5つの法則としてシリーズで紹介してきました。

図マジメな日本企業がお客様のハートを掴む5つの法則201401slide1

今回は、これらの法則を実践する上で重要な考え方について紹介したいと思います。

■サービスサイエンスの活用
~ソーシャルメディアで事前期待を読むことが勝負の分かれ目~

マジメな製造業がお客様のハートを掴む5つの法則の実行に当たって、是非、実践して欲しいことがあります。

それは、サービスサイエンスの実践です。

サービスサイエンスは、アメリカ発の新しい学問分野ですが、日本で国際学会が立ち上がり、文理融合のコンセプトの元で4月には第二回国内大会も開催されます。

筆者は、発起人として参加し、机上の空論の研究ではなく実務に即した役に立つサービスサイエンスの実践をモットーにしています。

今、サービスサイエンス仲間で最もホットな議論は「お客様は、誰なのか?」ということです。

従来、マーケティングの世界では、ペルソナを設定することがお客様を理解する方法の1つとして提唱されてきました。

ペルソナでもある程度お客様を特定することは可能ですが、それだけでは不十分だと考えています。

サービスサイエンスの世界には、「事前期待」という考え方があります。
これは、まさに文字通りお客様の事前の期待ということでお客様がモノやサービスに抱く期待のこと。

企業や店舗は、お客様の事前期待を理解して最適なモノやサービスを提供しようという考え方です。

お客様の事前期待に応えるには、「共感性」が重要になります。
共感性とは、サービスサイエンスで定義される6つのサービス品質の1つです。

図:「共感性」で事前期待を読む
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そして、お客様の満足度を上げるために、事前期待に応える活動が基本的に必要だと考えます。

お客様のセグメンテーションにも、この事前期待の考え方を導入することで「お客様は、誰なのか?」という命題に応えることができるのではないでしょうか。

図:事前期待による顧客セグメント例
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事前期待によるセグメンテーションで見つけた特定のセグメンテーションにターゲットを絞り、商品を開発して提供することができれば、よりインバウンドマーケティングらしい取組みと言えます。

事前期待の持ち方には、「共通的な事前期待」「個別的な事前期待」「状況で変化する事前期待」「潜在的な事前期待」の4つがあると言われていますが、お客様の事前期待に如何に応えるかによってサービスの評価が決まります。

図:事前期待の持ち方とサービスの評価
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また、お客様が事前期待に対して過度の期待を持ってる場合には事前期待を冷ますことが重要です。

逆に、事前期待が足りないと感じた場合には、他のお客様の購入後の情報や客観的なライバルとの比較情報をそれとなく伝え、事前期待を向上させる
といった工夫も必要でしょう。

図:さまざまな事前期待のマネジメント
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■おわりに
企業のマーケターは、情報洪水の中で如何に自社のモノやサービスの価値を届けるかということに日々腐心しているかと思います。

景気低迷のために宣伝広告費が削減される中で、知恵を絞り、お客様のハートを掴まなければなりません。

アウトバンドマーケティング=”大声で叫ぶマス・マーケティング”から、インバウンドマーケティング=”お客様にわざわざ来てもらう”へ。

そして、今誰もが注目するインバウンドマーケティングの差別化の手法としてサービスサイエンスの事前期待の考え方を導入することを皆さんにご提案したいと思います。

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さて、連載してきた「マジメな日本企業がお客様のハートを掴む方法」は、これでおしまい。

次回からは、「街かどサービス探検隊♪」と題して、日常生活の中の、様々な出来事をサービスサイエンスの観点から紐解いて行きたいと思います。

(つづく)

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