第11回 「目的達成」と「快適性」の関係

先日、グーグルマップで銭湯を調べていたら、岩盤浴付きの銭湯が近くにあることを知りました。早速、その日のうちに行ってみることに。
都心でなくとも、最近の銭湯は電子での支払いはもちろん、タトゥーがあっても入浴できる場所が増えていたりして、ふとしたことで時代の流れを感じました。

目的の銭湯に着いてタッチパネル式の券売機で料金を払ってから、岩盤浴用の服を借りにフロントへ行ったところ、「貼り紙にも書いてありますけど、岩盤浴は予約制なので、券を購入する前にフロントへ来てください」とキツめのひとことが・・・。

そのときは他に予約が無かったようですぐに入ることができましたが、同じく張り紙に気づかなかった友人ともども「スタッフは怖いし、初見で何事も無くリラックスするには厳しいところだ・・・」と思ってしまいました。

初めての場所へ行ったり、新しい経験をするには下調べや準備が必要なこともあり、満足感よりも疲労が勝ってしまう経験をされたことがある方も少なくないかと思います。

それを繰り返すうちに、段々挑戦することが面倒になってやらなくなるのではないか、ネガティブな経験の積み重ねにより、自分から未来の機会を手放してしまうのではないか、と自身に対して危惧し始めています。

もしかしたら、「サイトに注意事項が書いてあったかもしれない」「店内をくまなく見ていれば防げていた」ことかもしれません。
でも、リラックスするために寄った近所の施設で「わざわざ気を張りたくない」というのが本音だったりします。

今回の経験により「次からは気を付けよう」という意識が私の中には生まれましたが、恐らく同じような人が今後も現れるかと思います。

では、提供する側に立ったときに「貼り紙を見ないユーザーにも何事もなく過ごしてもらう」にはどうしたらいいのか、「アクセシビリティ」の観点から考えてみました。

常連であれば、新しく券売機が導入されたり、張り紙が追加されたら変化に気づくかもしれません。しかし私は初見だったため、他の銭湯でのやり方をそのまま採用したら失敗してしまいました。

そこで、貼り紙ではなく、例えば券売機の購入画面など、「ユーザーが必ず見る部分」にポップアップを表示するのはどうでしょうか。

人は「自分が毎日必ず起こす行動」に対して「習慣づけたいこと」をセットにすると成功しやすいという事例があります。

例えば、「筋トレを習慣づけたい」という目的があった場合は、「トイレに行ったとき」に「スクワットを5回する」などが良いとされています。

これに倣い、「券を購入するとき」に「予約の有無を確認する」というアクションをセットに出来るとスムーズなのでは、と感じました。

このアクセシビリティの考え方ですが、先ほどの習慣付けの例のように、日常生活の中にも応用することが出来ます。

何か目標を立てる場合は、自分の普段の行動や癖と一緒に出来る導線を作ると達成しやすいかもしれません。

今回は、自らの失敗からアクセシビリティについて考えた、ある休日のお話でした。