キャロル 「憎いあの娘」 (ジョニー大倉-矢沢永吉) 72Philips

矢沢永吉、といえば「成りあがり 」ですね。
「ロック」というビジネスでBIGになった成功者。その矢沢がキャリアの最初期に粗野な音楽的衝動をピュアに爆発させていた!のがキャロル時代です。

初期にピュアな才能開花→後にビジネス成功、大御所化といったパターンは、以前書いたユーミンと良く似たキャリアです。
ユーミンの場合は、細野晴臣率いる東京系インテリミュージシャンがバックアップし、矢沢の場合はミッキーカーティスや、キャロルの仲間等、神奈川系不良バンドマンがいた。

一聴で聴くものを虜にさせる魔力を持った矢沢のメロディー。絶対に難しい言葉を使わずに、ダサさと紙一重の独特の世界を築く、ジョニーの歌詞がそこに絡む。
ビートルズを正確に理解し、ワイルドに増幅させ、かつハイセンスにコントロールされたバンドサウンド。ブライアンセッツァーの先輩のような内海のいなたいリードギター。グルービーなアクセントを絶妙に刻む矢沢のベース。英国グラムロックとの同時代性もくみとれます。
そして何よりも、「貧乏」と「暴力」と「純粋」を孕んだ矢沢のギラギラした獣のようなボーカル。

「憎いあの娘」はそんな矢沢のバイオレンスな声の最高峰。イントロのリフの後、「チュー」だか「シュー」だか叫んでいますが、わけのわからない衝動が炸裂!危険度ぶち切れです。

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